ビッグデータとは、文字通り巨大なデータ群のこと。大量のデータを集めて蓄積することで、その先に見えてくる方向性を社会生活に活かそうというIT戦略なのだ。データ量は数百テラバイト以上、新聞の朝刊にすると数十万年分もの膨大な量になる。ITの急速な進歩により、こういった膨大なデータの解析が可能になったのだ。
例えば、国土交通省や警察庁が持つデータを分析して交通渋滞などを減らすための高度道路交通システムや、橋や道路などのインフラの点検データを集積して維持管理などに役立つのだ。医療分野においても、厚生労働省の介護保険情報を利用して高齢者や要介護者の地域分布の把握によってきめ細かいサービスが実現できる。
一般的なインターネット上で行われる交流サイト(SNS)の書き込みや写真などを企業のマーケティングに利用すれば、売れ筋商品の把握がスムーズに出来てニーズに合った商品開発が可能になる。
また、農業分野においてもデータを利用すれば、栽培方法を共有して生産性向上や大規模化を進められるとされている。
【 データ解析関連銘柄 】
膨大なデータを集約して分析する作業は、データ量が多いほど時間がかかるものだ。ビッグデータを迅速に処理するためには、収集や解析を効率化する必要があるとして、各企業はさまざまな技術開発を進めている。
NTTデータ(9613)は、従来の数十倍のスピードで解析できる技術を開発している。「クラスタ分析技術」という分類システムと、「パーソナライズドページランク技術」という解析システムにより、高速処理のニーズに対応する技術開発を続けている。
ブレインパッド(3655)は、企業に蓄積された大量のデータを分析するデータマイニングというサービスを提供している。大手企業のデータ解析を請け負うなど実績を上げており、中国にデータ分析業の現地法人を設立するなど積極展開を続けている。
日本ユニシス(8056)は、ソーシャルメディアなどのビッグデータを自動収集して分析し、情報を共有できるシステム「トピックステーション」を開発し販売している。この製品は自社が保有しているコールセンター向けのテキスト分析エンジンをベースに開発されており、ビッグデータの情報を共有しながら誰でも簡単に分析できるものとなっている。
その他、ビッグデータ解析を提供する企業は、伊藤忠テクノソリューションズ(4739)、ネットワンシステムズ(7518)、オプト(2389)、日本オラクル(4716)などである。
【 ビッグデータによるシステム開発関連銘柄 】
政府や企業が保有するビッグデータを解析したものを、社会的に活用するためのシステム開発を行う企業も増えてきている。
NEC(6701)は、解析したビッグデータをもとに、橋やトンネルなどの社会インフラや大規模プラントの故障などを予測できるシステムを開発している。予知精度が高まれば改修コストの抑制につながるとして、インフラ関連での活躍が期待される。
同様に、ビッグデータ解析によるインフラの故障予知を手掛けるNTTデータ(9613)は、東京ゲートブリッジなどにセンサーを設置して、施設の状態を管理するシステムを提供している。
日立製作所(6501)と博報堂(2433)は、ビッグデータの情報解析事業で提携し、販売促進策などの分析から助言までを一貫して行うサービスを開始している。日立が技術やシステム提供により解析を行い、博報堂がそれぞれの商品に合うマーケティング手法を提案するというもの。
その他、ビッグデータ活用システムを提供する企業は、富士通(6702)、新日鉄住金ソリューションズ(2327)、ラック(3857)などが挙げられる。