ナノテクノロジーの技術革新によって、医療の質が飛躍的に向上するのではないかという点でも医療関係者の間では非常に期待が高まっている。
ナノメートルという極小の分子ががん細胞などだけを攻撃できれば、周辺への影響が少なく済むため、効率の良い病気治療が可能となるのである。
薬や遺伝子を目的の細胞に届ける方法や、体内で何が起こっているのかを詳細にモニタリングする方法など、薬剤から医療機器まであらゆる側面からの研究開発が大学や医療関連企業で進められている。
日本化薬では、ナノテクを駆使した高分子ミセル化抗がん剤の研究開発に注力している。
創薬ベンチャーのナノキャリアでも、すい臓がん治療薬に関して台湾の企業と契約を結び開発資金を獲得するほか、すい臓がん治療薬の治験も開始している。
「ホウ素中性子捕捉療法」という中性子でがん細胞だけを狙い撃ちする治療法の治験を開始しているステラケミファや、がん治療にカーボンナノチューブを利用できるとして注目されているGSIクレオスも関連企業として挙げられる。