米国ではダウ・ケミカルやエクソンモービルがシェールガス成分のエタンによりエチレンを製造する計画があり、これにより2~3年後には日本の年間生産能力に匹敵する大型設備ができることになる。割安な化学製品の輸入が増えることを意識して、日本の化学メーカー各社は独自の戦略を練る必要に迫られている。
三菱ケミカルホールディングス(4188)は、米化学大手のダウ・ケミカルと提携してシェールガスを活用した石油化学コンビナートを構築することを決めている。自動車部品や液晶パネル用の樹脂工場を併設して、安価なシェールガスを原料にコストダウンを図るとともに付加価値の高い化学製品を量産できるとしている。
クラレ(3405)も、米テキサス州にシェールガスを活用した化学プラントの建設を決めており、三井造船(7003)が先行設計業務を受注している。この化学プラントでは、シェールガスを原料にポリビニルアルコール樹脂を生産する設備となる。
出光興産(5019)は三井物産(8031)と折半出資により合弁会社を米国に設立し、成長が期待されるαオレインの製造販売事業を行う契約を結んでいる。また、米国最大の化学メーカーのダウ・ケミカルと、原料となるエチレンの調達を行うとして基本合意している。
化学メーカー各社は、製品の原料となるシェールガスを安く調達することで、コスト競争力を高めるのが狙いとなっている。
<シェールガス関連銘柄>
『三菱ケミカルホールディングス』:4188
『クラレ』:3405
『三井造船』:7003
『出光興産』:5019
『三井物産』:8031