スマートグリッド( smart grid)とは次世代送電網であり、IT(情報技術)を使って電力の流れを制御する送電網を指す。太陽光発電や風力発電、燃料電池など複数の分散電源と、家庭・工場・ビルなどの電力負荷を、電力と通信のネットワークで結び、電源と負荷双方をITで制御する次世代のエネルギー供給システムである。
家庭や工場に通信機能を持たせた電力計(スマートメーター)を設置、電線や通信回線経由で電力使用量を把握し、使用量にあわせて自動的に最適な発電量や蓄電量を調整する仕組みである。発電量が不安定な太陽光や風力などの自然エネルギーの有効利用ができる利点がある。
すでに複数の実証実験が始まっており、電力計や送電網に付随する変圧器の更新などで巨大市場が生まれると見られている。
日本版のスマートグリッドは再生可能エネルギーの導入、連携制御等のために推進されているが、米国や中国では事情が異なる。米国の場合は年間の事故停電時間が日本の約5倍で、停電などの障害を減らすといった電力網の信頼性向上と、再生可能エネルギーの導入といったさらなる高機能化のためにスマートグリッドが推進されている。
一方、中国では持続可能な経済発展の実現や温暖化問題への対応といった背景から、電力需要増大への対処や再生可能エネルギーの利用促進という電力利用上の課題を抱えている。このため、スマートグリッド整備の取り組みは基本的には発電から消費まで全体を対象としているものの、発電や送電の段階を重視している。