【著名投資家:ジョン・テンプルトン】
ジョン・テンプルトンは、投資のコロンブスとも言われるように、新興国の株式市場を探索して利益につながる産業に投資するグローバルな投資家である。
1912年、テンプルトンは米国テネシー州ウィンチェスターの小さな町に生まれた。父親のハーベイは勤勉な働き者で、母親のベラは賢明で信心深い女性だった。
テンプルトンの兄のハーベイ・テンプルトン・ジュニアによると、「ジョンは11歳のころからカネ持ちになりたいと考えていた」そうだ。テンプルトン自身も、投資はできるだけ若いうちから始めたほうがよい、と述べている。
高校卒業後、奨学金をもらってエール大学に進んだテンプルトンは、2年のときに株式市場に興味を抱き、経済学を専攻した。そしてクラスで2番目の成績で卒業すると、ローズ奨学金をもらってオックスフォード大学に入学した。
実際は、オックスフォード大学で法律を学びながら諸外国の研究をしたり、35ヵ国を旅してまわって将来的に投資カウンセラーになるための準備をしていたとのちに語っている。このようにしてテンプルトンは、世界の全産業について研究したのだ。
オックスフォードで法律の学位を取得後、テンプルトンはアメリカに帰国して証券会社の投資相談部で働いたのち、1940年に投資カウンセラーとして独立した。
テンプルトンは道徳や倫理的な価値観など精神世界を重んじる投資家でもあり、アメリカのファンドマネージャーの中ではいち早く日本企業への投資に乗り出したグローバルな投資家としても知られている。
彼の投資スタイルは、”失望売りが出ている時に買って、市場が買い意欲旺盛な時に売る”という逆張りで、多大な利益を生み出している。また、世界中を旅した経験から、他に先駆けて新興国へも積極的に足を踏み入れるグローバル投資を可能にしたのだった。先見の明が富をもたらしたと言える。
テンプルトンが実践する投資ステップは、1.情報を集める 2.情報を評価する 3.決断を下す の三つだけだが、情報を評価する際は売上高利益率やROE、貸借対照表などを見て緻密に判断している。
これらの投資ステップを踏んで成功を収めるための、テンプルトン流法則のいくつかは以下のとおりである。
・実質リターン(税金とインフレ率を考慮した投資収益)を最大にする
・投資に徹する(投機やトレーディングはしない)
・安値を拾う(逆張り戦法)
・良いもの(優良株)を、分散投資する
・失敗したら何がいけなかったのかを考えて明確に答えを出し、ミスを繰り返さないようにする
・祈りをささげて、落ち着いた気持ちで判断する
参考図書:「株の天才たち」 ニッキー・ロス 著