【著名な日本人投資家|竹田和平】
竹田和平は「たまごボーロ」や「麦ファー」などのお菓子を製造販売する竹田製菓の社長であり、日本一の投資家としても知られている。
和平は1933年、愛知県の製菓業を営む家で8人兄弟の長男として生まれた。幼いころから祖父母が創業した製菓業を一家総出で手伝いながら、商売の感覚や経営のノウハウを学んでいった。日ごろから製造業者の心得として、目先の損得に惑わされて消費者の信用を損ねるようなことをしてはいけない、と肝に銘じて菓子製造に励んだと語っている。
その後、たまごボーロの製造をオートメーション化したことで製造量を増やし、なおかつ品質を落とさなかったことで多くの信頼を得て売り上げを伸ばしていった。
株式投資を始める前は、事業拡大や多角経営を積極的に行う勢いも持ち合わせていた。当時の時流をつかみ、レジャー産業が拡大すると確信してボウリング場経営に乗り出すなど、事業拡大によって株式投資の資本を増やしていった。
彼の投資スタイルは、一段と値が下がったときに株を買いそのまま手放さずに配当収入を基本にする長期保有型である。銘柄選びは会社四季報からPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)などを調べて、適正な価値がありながら株価が割安なまま放置されている会社を見つけて投資を決める。
しかし、過去には手痛い失敗も経験している。個人では筆頭株主となっていた山一證券が破たんして、株券すべてがただの紙切れになったのだ。巨大企業が経営破たんしていくさまを目の当たりにした和平は、自身が中小企業経営者であることを強みに中小企業に投資する方針に変えていった。
和平が株式投資をする意義は、自分が判断した優良企業の株主として企業経営に参加できることで、その会社の”旦那”という立場でいられるという妙味があるからだと語っている。
会社は利益を上げて生き残るものなのだから一生懸命頑張って利益を出し、社会的信用のために配当を出すことは企業として大切なのだ、という観点が彼の投資理論となっている。
また和平は、配当をもらったあとには投資先に感謝状を送るなど、頑張って利益を出してくれたことに対してねぎらいと感謝の気持ちを常に表している。このことから、竹田和平が人情味あふれる人物であることが伺える。
現在は、事業や株式投資で得た巨額の富を、レジャー施設やテーマパークを開設したり、時代のリーダーを育成するための講座を開くなどして社会還元をしている。
参考文献:『竹田和平の強運学』 竹田和平 著