2020年4月6日に東証マザーズ市場へ上場する「松屋アールアンドディ」について概要と期待度を見ていきたいと思います。
松屋アールアンドディの上場日は!?期待度は?どんな会社か簡単にPR
企業名 |
松屋アールアンドディ |
上場市場 |
東証マザーズ |
銘柄コード |
7317 |
事業内容 |
自動車安全装置縫合システムの開発・製造・販売、レーザー裁断機の開発・製造・販売、血圧計腕帯の製造、カーシートカバーの生産など |
所在地 |
福井県大野市 |
設立 |
1982年 |
従業員 |
1,373名 |
会社HP |
http://matsuyard.com/ |
監査法人 |
トーマツ |
上場日 |
2020年4月6日(月) |
主幹事 |
野村證券 |
BB期間 |
2020年3月18日(水)~2020年3月25日(水) |
価格決定日 |
2020年3月26日(木) |
購入申込期間 |
2020年3月27日(金)~2020年4月1日(水) |
同社は自動車向けエアバックや血圧計腕帯の縫製を行う会社です。
福井県の会社で地方上場銘柄として注目される一方、事業柄地味な会社であるため今後の成長について見極める必要があると言えます。
どんなことをしている会社なの?
(参照:http://www.matsuyard.com/product/)
同社は1982年に福井県大野市で創業した会社で、元々は衣服用ミシンを作る「松屋ミシン商会」として個人事業で経営されていましたが、当時の自動車の普及に伴い事業転換をしたことがきっかけで設立されました。
創業当初は自動車の安全装置(エアバック・シートベルト)の縫製自動機の開発・製造・販売を行ってきましたが、同業他社が少ない中、自動車メーカーより裁断から縫製までを受注生産を受ける形をとり事業拡大を図ってきました。
2001年からは自動車向け以外にも事業を拡大していき、オムロンの血圧計腕帯の製造を受託するなど幅広い業種からの受注を伸ばしています。
現在は中国・大連を始め海外拠点での製造を行っています。主要顧客は、オムロンやトヨタ自動車グループといった大手企業で占められており、約88%が固定顧客からの売上となっています。
事業環境によって売上は増減する可能性はあるものの、一定の業績推移が行われるものと考えられます。
売上や成長性は?
|
2015年3月期 |
2016年3月期 |
2017年3月期 |
2018年3月期 |
2019年3月期 |
売上高(百万円) |
1,078 |
1,129 |
1,506 |
6,767 |
7,517 |
経常利益(百万円) |
49 |
△56 |
48 |
493 |
223 |
当期純利益(百万円) |
15 |
△49 |
59 |
207 |
114 |
純資産額 (百万円) |
426 |
383 |
442 |
1,758 |
1,778 |
BPS(円) |
189,526 |
170,190 |
196,383 |
781 |
790 |
EPS(円) |
6,825 |
△21,980 |
26,193 |
92 |
51 |
自己資本比率(%) |
32.4 |
31.3 |
30.8 |
51.6 |
43.5 |
ROE(%) |
3.6 |
– |
14.3 |
11.7 |
6.4 |
配当性向(%) |
– |
– |
– |
71.4 |
– |
業績は一進一退の状況です。2018年3月期より連結決算を取っているため一概に単純比較できませんが、売上高は概ね増加傾向にあります。経常利益については2016年3月期が赤字となったものの概ね黒字経営ができています。今後の顧客の受注動向によっては業績が変動する恐れがあります。尚、2020年3月期3Q(2019年12月末)の売上高は6,452百万円、経常利益は298百万円と、前年を上回る勢いですが、1月以降に発生したコロナウイルスの影響をどれだけ受けるかチェックが必要です。
配当はこれまで配当を実施したタイミングもありましたが、上場後は当面内部留保確保のため無配が予定されています。
公募株数 |
総数623,000株 (内、公募280,000株、売出343,000株) |
OA分 |
93,400株 |
発行済み株数 |
2,530,000株 |
想定価格 |
960円(100株単位:10万円) |
仮条件 |
910円~960円 |
初値予想 |
800円~960円 |
想定PER |
約21倍 |
想定PBR |
約1倍 |
配当利回り |
なし |
想定時価総額 |
24億円 |
今回の上場にあたっての吸収金額は7億円で、時価総額が24億円とマザーズ上場銘柄としては小ぶり案件です。製造業ということもあり初値動向にはあまり期待できないでしょう。
株主名 |
保有割合 |
ロックアップ |
後藤 秀隆 |
25.53% |
90日間 |
後藤 倫啓 |
23.40% |
90日間 |
後藤 匡啓 |
23.40% |
90日間 |
オムロンヘルスケア(株) |
10.64% |
90日間or1.5倍 |
CBC(株) |
4.26% |
90日間or1.5倍 |
ゴトウホールディング(株) |
4.26% |
90日間 |
NVCC7号投資事業有限責任組合 |
2.43% |
90日間or1.5倍 |
後藤 久代 |
1.83% |
|
中野 雅史 |
0.34% |
継続保有 |
長谷川 克人 |
0.34% |
継続保有 |
同社の株主構成ですが、創業者である後藤秀隆代表取締役社長が筆頭株主で、同社株の約26%を保有しています。続いてご子息の2名が23%ずつ保有していますが、当社への関与は不明です。また資産管理会社「ゴトウホールディングス㈱」が4%保有していますので、一族で70%以上を保有する形です。
その他オムロンヘルスケアが11%を保有する他、ファンドや事業会社が株主に名を連ねています。
今回の売出は後藤社長を含めた一族4名で、343,000株の売出です。
公募によって2.3億円の資金調達を実施し、設備投資や人件費、工場の移転費用等に充てる予定です。大株主には90日もしくは90日および公募価格1.5倍のロックアップ制限がかかっています。ファンドの持分が一部のためエグジットリスクは非常に少ないです。
今回は売出が公募を上回るエグジット案件で、一族経営の脱却への第一歩を踏み出した形です。しかしながら事業成長の見立てはしにくいため評価されにくいIPOとなりそうです。
どうやって&どこで新規上場銘柄を買えるの?
今回の「松屋アールアンドディ」の取り扱い証券会社を以下にまとめましたので参考にしてください。
|
|
割当率 |
株数 |
主幹事 |
野村證券 |
91.35% |
654,400株 |
幹事 |
SBI証券 |
2.60% |
18,600株 |
みずほ証券 |
2.60% |
18,600株 |
|
岡三証券 |
1.73% |
12,400株 |
|
東洋証券 |
1.73% |
12,400株 |
今回の主幹事は野村證券が主幹事を務めます。その他SBI証券を含めた4社が幹事を務めます。
著者のまとめ
コロナウイルスの影響が深刻になる中、自動車産業が製造を停止するなど同社の顧客からの受注がストップする可能性があり、今後の事業運営に影響がでそうな予感です。初値には全く期待できず公募割れも必至でしょう。