2021年3月30日に東証マザーズ市場へ上場する「スパイダープラス」について概要と期待度を見ていきたいと思います。
スパイダープラスの上場日は!?期待度は?
同社は建設業向けの建築図面・現場管理アプリ「SPIDERPLUS」を提供する会社です。
アナログな業界と言われている建設業においてDXを用いることで、効率向上に努めるなど着実に成長を遂げてきた会社の上場となります。
今回は同社の概要を通して事業の成長性等分析していきたいと思います。
| 企業名 | スパイダープラス |
| 上場市場 | 東証マザーズ |
| 銘柄コード | 4192 |
| 事業内容 | 建設業を主な対象とした建築図面・現場管理アプリ『SPIDERPLUS』の開発・販売 |
| 所在地 | 東京都豊島区 |
| 設立 | 2000年 |
| 従業員 | 95名 |
| 会社HP | https://spiderplus.co.jp/ |
| 監査法人 | EY新日本 |
| 上場日 | 2021年3月30日(火) |
| 主幹事 | 野村證券 |
| BB期間 | 2021年3月15日(月)~ 2021年3月18日(木) |
| 価格決定日 | 2021年3月19日(金) |
| 購入申込期間 | 2021年3月22日(月)~ 2021年3月25日(木 ) |
どんなことをしている会社なの?
(参照:https://spider-plus.com/functions/)
同社は2000年に創業した会社で、創業者であり現代表取締役の伊藤謙自氏が1997年に個人事業としてスタートしたことがきっかけで同社が誕生しています。
伊藤氏自身が熱絶縁工事を行う職人であったものの、これまで現場監督における図面のデジタル化を目指すことから、2010年以降より現在の主力事業である「SPIDERPLUS(スパイダープラス)」をスタートさせました。
現在同社の事業セグメントは2つであり、「ICT事業」と「エンジニアリング事業」の2本で運営しています。
ICT事業は建築図面・現場管理アプリ「SPIDERPLUS(スパイダープラス)」を提供しています。これまで紙で対応していた図面や写真等の管理をアプリで行えることで、ペーパーレス化かつ現場連携が容易になるという「建設DX」プロダクトです。
リリースより約10年経過した現在、大手企業を中心に約800社の導入が進んでおり、継続率は99%超となっています。
また、エンジニアリング事業では、創業来断熱工事を中心に手掛けており、アーマフレックスと呼ばれる「保温・断熱材」を用いた断熱工事に強みを持っています。
上場後は、いずれの事業も拡大していく方針です。
| 2016年9月期 | 2016年12月期 | 2017年12月期 | 2018年12月期 | 2019年12月期 | |
| 売上高(百万円) | 580 | 64 | 587 | 909 | 1,286 |
| 経常利益(百万円) | 7 | △60 | △46 | △124 | 59 |
| 当期純利益(百万円) | 6 | △166 | △50 | △125 | 63 |
| 純資産額 (百万円) | 29 | △136 | 108 | 283 | 347 |
| BPS(円) | 145,531 | △681,864 | 399 | 10 | 12 |
| EPS(円) | 28,779 | △827,686 | △216 | △5 | 2 |
| 自己資本比率(%) | 9.6 | △62.5 | 20.1 | 39 | 39.9 |
| ROE(%) | 21.9 | – | – | – | 20.1 |
| 配当性向(%) | – | – | – | – | – |
業績は着実に成長させている印象です。2016年12月期より決算期変更があったため、単純比較はできませんが、売上高は連続増収と右肩上がりです。利益に関しては、SPIDERPLUSが月額課金のサブスクリプションモデルであったことから、しばらく赤字を続けていましたが、2019年12月期で黒字に転じています。
尚、2020年12月期3Q(2020年9月)の売上高は1,454百万円、経常利益は179百万円と、既に前期決算を上回っています。引き続き安定した業績推移をしていくことが予想されます。
配当はこれまでも無配であり、上場後も内部留保や投資を優先するため当面無配が予想されます。
| 公募株数 | 総数7,645,200株 (内、公募3,220,000株、売出4,425,200株) |
| OA分 | 1,146,700株 |
| 発行済み株数 | 31,808,100株 |
| 想定価格 | 1,010円(100株単位:10万円) |
| 仮条件 | 1,010円 ~ 1,160円 |
| 初値予想 | 1,500円 ~ 2,500円 |
| 想定PER | 約509倍 |
| 想定PBR | 約10倍 |
| 配当利回り | なし |
| 想定時価総額 | 321億円 |
今回の上場にあたっての吸収金額は89億円で、時価総額が321億円と東証マザーズ上場銘柄としては大型案件です。建設業界案件はあまり評価されにくいものの、建設DXと話題性に富んだビジネスモデルであるため、ある程度の初値は期待できそうです。
| 株主名 | 保有割合 | ロックアップ |
| 伊藤 謙自 | 59.24% | 90日間 |
| (株)CHIYOMARU STUDIO | 6.16% | 90日間 |
| DCIベンチャー成長支援投資事業有限責任組合 | 5.53% | 90日間or1.5倍 |
| 安藤 龍平 | 4.56% | 90日間 |
| 増田 寛雄 | 2.81% | 90日間 |
| 大村 幸寛 | 2.71% | 90日間 |
| 野田 隆正 | 1.96% | 90日間 |
| 吉田 淳也 | 1.78% | 90日間 |
| 鈴木 雅人 | 1.53% | 90日間 |
| 村商(株) | 1.27% | 90日間 |
同社の株主構成ですが、筆頭株主は代表取締役の伊藤氏で59%を保有する大株主です。その他は役員及び従業員が株式を保有しています。VC等の出資が多く見受けられますが、中でも実業家である志倉千代丸氏が出資をしているなど、上場前より一定の評価を受けていたことが見て取れます。
今回の売出は伊藤社長やVCを含め16者で、4,425,200株の売出です。
今回は公募で30億円の資金調達を行い、調達資金はシステムリニューアル費用や広告宣伝費や人材採用費、借入金の返済に充てる予定です。
尚、大株主には90日または公募価格1.5倍のロックアップがかかっております。売出時にVC等のエグジットが多く見受けられるため、上場後のエグジットリスクはやや少ないと言えます。
今回は売出が公募を上回るエグジット案件で、既存株主であるVCや取引先によるエグジットが目立ちますが、合わせて資金調達を行っていることから、引き続きの成長を見込んだ投資ということで評価を集める可能性が高いです。
どうやって&どこで新規上場銘柄を買えるの?
今回の「スパイダープラス」の取り扱い証券会社を以下にまとめましたので参考にしてください。
| 割当率 | 株数 | ||
| 主幹事 | 野村證券 | 86.96% | 7,645,300株 |
| 幹事 | 大和証券 | 8.70% | 764,500株 |
| SBI証券 | 1.74% | 152,900株 | |
| いちよし証券 | 0.43% | 38,200株 | |
| 岩井コスモ証券 | 0.43% | 38,200株 | |
| SMBC日興証券 | 0.43% | 38,200株 | |
| 岡三証券 | 0.43% | 38,200株 | |
| みずほ証券 | 0.43% | 38,200株 | |
| 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | 0.43% | 38,200株 |
今回の主幹事は野村證券が主幹事を務めます。その他SBI証券を含めた5社が幹事を務めます。
著者のまとめ
同日にはAppier Groupが上場してきますが、それぞれ同程度の期待値のため、同社としても一定の評価は受けるでしょう。ただマザーズ上場銘柄としては大型であるため、公募価格2倍以上となる可能性は低いでしょう。
