2021年9月2日に東証マザーズ市場へ上場する「モビルス」について概要と期待度を見ていきたいと思います。
モビルスの上場日は!?期待度は?
同社はコールセンター向けソリューションを提供する会社です。
独自開発のAIを活用したチャットボットシステムを提供するなど、AI関連銘柄として注目が集まることが予想されます。
今回は同社の概要を通して事業の成長性等分析していきたいと思います。
企業名 | モビルス |
上場市場 | 東証マザーズ市場 |
銘柄コード | 4370 |
事業内容 | コンタクトセンター向けSaaSプロダクト(モビシリーズ)などのCXソリューションの提供 |
所在地 | 東京都品川区 |
設立 | 2011年 |
従業員 | 71名 |
会社HP | https://mobilus.co.jp/ |
監査法人 | PwC京都 |
上場日 | 2021年9月2日(木) |
主幹事 | 大和証券 |
BB期間 | 2021年8月18日(水)~ 2021年8月24日(火) |
価格決定日 | 2021年8月25日(水) |
購入申込期間 | 2021年8月26日(木)~ 2021年8月31日(火 ) |
どんなことをしている会社なの?
(参照:https://mobilus.co.jp/)
同社は2011年にラン・ホアン氏によって設立された会社です。その後2014年に現社長である石井智宏氏が社長に就任し、その後更なる事業拡大に努めてきました。
同社は「SaaSソリューション事業」単一セグメントで運営されており、主にコールセンター向けのソリューションをSaaSモデルで提供しています。
自社開発であるオペレーション支援AI「ムーア(MooA)」を使ったチャットボットを提供しています。自動対応のチャットボットと有人対応が可能な仕組みとなっており、従来の電話のみのコールセンターから、自動対応やネットでの対応など新たなコールセンター運営を可能としています。
同社のチャットボットは2019年度の実績で、国内チャットボットシェア15.2%と3年連続で国内シェアトップとなっています。
上場時点で契約数は200社を超えており、解約率も年々低下しており1%程度に推移しています。売上の内約4割はサブスクリプションによる売上となっており、顧客数の増加に伴い業績が積み上がる構造となっています。
上場によって顧客数の増加や、大会社との取引増を狙う見込みです。
2016年8月期 | 2017年8月期 | 2018年8月期 | 2019年8月期 | 2020年8月期 | |
売上高(百万円) | 261 | 422 | 680 | 741 | 953 |
経常利益(百万円) | △56 | △31 | 103 | △89 | 55 |
当期純利益(百万円) | △56 | △34 | 69 | △104 | 75 |
純資産額 (百万円) | 76 | 342 | 827 | 723 | 1,252 |
BPS(円) | △167 | △324 | △7 | 154 | 240 |
EPS(円) | △259 | △157 | 317 | △22 | 16 |
自己資本比率(%) | 46 | 74 | 81 | 74 | 76 |
ROE(%) | – | – | 11.8 | – | 7.5 |
配当性向(%) | – | – | – | – | – |
業績は拡大傾向にあります。売上高は5期連続増収で順調な業績です。一方で利益は赤字と黒字を行き来しています。順調な売上成長を見せているため、大きな心配はないと見られます。
尚、2021年8月期3Q(2021年5月)の売上高は899百万円、経常利益は120百万円となっており、既に前期業績を上回る見込みが高いです。
配当はこれまで無配で、上場後も当面は内部留保を確保するため無配方針です。
公募株数 | 総数1,101,800株 (内、公募360,000株、売出741,800株) |
OA分 | 165,200株 |
発行済み株数 | 5,570,844株 |
想定価格 | 1,060円(100株単位:11万円) |
仮条件 | 1,060円 ~ 1,280円 |
初値予想 | 1,500円 ~ 2,500円 |
想定PER | 約79倍 |
想定PBR | 約4倍 |
配当利回り | なし |
想定時価総額 | 59億円 |
今回の上場にあたっての吸収金額は13億円で、時価総額が59億円と東証マザーズ上場銘柄としては小型案件です。業種としては極めて人気が高く、上場後の成長性を考えれば初値高騰も見込めるでしょう。
株主名 | 保有割合 | ロックアップ |
ラン・ホアン | 31.12% | 90日間or1.5倍 |
阮 明徳 | 10.47% | 180日間 |
三菱UFJキャピタル5号投資事業有限責任組合 | 9.31% | 90日間or1.5倍 |
エヌ・ティ・ティ・コムウェア(株) | 9.10% | |
トランス・コスモス(株) | 6.39% | 90日間or1.5倍 |
グローバル・イノベーション・ファンドⅢ | 6.39% | 180日間 |
石井 智宏 | 4.50% | 180日間 |
(株)オウケイウェイヴ | 3.66% | 90日間or1.5倍 |
KSP4号投資事業有限責任組合 | 3.35% | 90日間or1.5倍 |
SMBCベンチャーキャピタル3号投資事業有限責任組合 | 1.70% | 90日間or1.5倍 |
同社の株主構成ですが、創業者であるラン・ホアン氏が筆頭株主で、同社株の31%を有しています。株主2位は従業員である阮明徳氏で10%を有しています。その他VCを中心に株式が保有されています。尚、石井社長は5%有しており、大きな株数を有しているわけではありません。
今回の売出はラン・ホアン氏やVCを含めた10者で、計741,800株の売出です。
今回は公募で3.7億円の資金調達を行い、調達資金はプロダクトのバージョンアップ費用と借入金返済に充てる予定です。
なお、大株主の大半に180日もしくは90日及び公募価格1.5倍のロックアップ制限がかかっています。VCが多くいるため、公開後エグジットリスクには注意したいところです。
今回は売出が公募を上回るエグジット案件で、VC等によるエグジットイベントとなっています。ただし、現在経営に関わっていない創業者のエグジットもあるため、比較的前向きに捉えられる売出となるでしょう。
どうやって&どこで新規上場銘柄を買えるの?
今回の「モビルス」の取り扱い証券会社を以下にまとめましたので参考にしてください。
割当率 | 株数 | ||
主幹事 | 大和証券 | 91.33% | 1,157,100株 |
幹事 | 野村證券 | 3.91% | 49,500株 |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | 1.74% | 22,000株 | |
SMBC日興証券 | 1.30% | 16,500株 | |
SBI証券 | 0.87% | 11,000株 | |
楽天証券 | 0.43% | 5,500株 | |
静銀ティーエム証券 | 0.21% | 2,700株 | |
極東証券 | 0.21% | 2,700株 |
今回の主幹事は大和証券が主幹事を務めます。その他を野村證券含めた7社が幹事を務めます。
著者のまとめ
AI関連銘柄として注目を集めそうでしょう。コールセンターのあり方が見直されている今日、業界シェアを獲得している同社の勝機は高いでしょう。初値高騰の可能性は高いですが、上場後の価格次第では既存株主によるエグジットの可能性があるので注意が必要でしょう。