2021年4月8日に東証ジャスダックスタンダード市場へ上場する「アイスコ」について概要と期待度を見ていきたいと思います。
アイスコの上場日は!?期待度は?
同社はアイスクリームや冷凍食品の卸売やスーパーマーケットを運営する会社です。
コロナ禍で冷凍食品への需要が高まっており、注目を集める可能性が高い一方、事業としては成熟されているという点がやや気になる上場案件です。
今回は同社の概要を通して事業の成長性等分析していきたいと思います。
企業名 | アイスコ |
上場市場 | 東証JQスタンダード |
銘柄コード | 7698 |
事業内容 | アイスクリーム・冷凍食品卸販売をおこなうフローズン事業および生鮮食品スーパーの展開をおこなうスーパーマーケット事業の運営 |
所在地 | 神奈川県横浜市 |
設立 | 1952年 |
従業員 | 651名 |
会社HP | http://www.iceco.co.jp/ |
監査法人 | PwC京都 |
上場日 | 2021年4月8日(木) |
主幹事 | 野村證券 |
BB期間 | 2021年3月23日(火)~ 2021年3月29日(月) |
価格決定日 | 2021年3月30日(火) |
購入申込期間 | 2021年3月31日(水)~ 2021年4月5日(月 ) |
どんなことをしている会社なの?
(参照:https://www.iceco.co.jp/)
同社は1948年に横浜市でアイスキャンディーの製造販売を行う「相原冷菓店」としてスタートし、その後グループ会社であった高島物産と合併し、現在の社名となっています。
創業来のアイス製造から、アイスクリームや冷凍食品の卸売事業に事業展開し、関東・東海エリアを中心に、市販向けの商品の卸売を行ってきました。その後スーパーマーケット事業を行っていた大我産業を吸収合併し、スーパーマーケット事業にも進出しました。
同社の事業は2つのセグメントで成り立っています。主力である「フローズン事業」では関東・東海エリアにてアイスクリームや冷凍食品の卸売事業を行っています。物流センター13拠点、300台のトラックを自社で有しており、原則自社配車によって冷凍食品の配送を行っています。
特にドラッグストアでは、バックヤードが小さいなど冷凍食品の在庫が難しい中、同社では商品の配送から陳列までを行う「フルメンテナンスサービス」にて差別化を図っています。女性の社会進出もあり、冷凍食品への需要が高まっており、着実に業容を伸ばしています。
また、「スーパーマーケット事業」では、神奈川県内で「スーパー生鮮館TAIGA」を8店舗、テナント2店舗を運営しています。特に生鮮3品(青果・鮮魚・精肉)に特化しており、近隣店舗に比べても商品力と価格面で差別化を図っています。
中長期的には両事業ともに拡大していく方針です。
2016年3月期 | 2017年3月期 | 2018年3月期 | 2019年3月期 | 2020年3月期 | |
売上高(百万円) | 32,163 | 31,346 | 32,991 | 35,215 | 36,728 |
経常利益(百万円) | 261 | 435 | 831 | 419 | 212 |
当期純利益(百万円) | 165 | 229 | 417 | 223 | 144 |
純資産額 (百万円) | 698 | 1,078 | 1,498 | 1,718 | 1,834 |
BPS(円) | 6525 | 10,075 | 14,001 | 1,070 | 1,141 |
EPS(円) | 1563 | 2137 | 3,895 | 139 | 90 |
自己資本比率(%) | 7.1 | 9.7 | 12.3 | 13.9 | 13.4 |
ROE(%) | 27.2 | 25.7 | 32.4 | 13.9 | 8.1 |
配当性向(%) | – | – | – | 12 | 18.5 |
業績はやや横ばいです。売上高は直近ではやや微増で、経常利益は減益基調にあります。
なお、2021年3月期第3四半期(2020年12月)の売上高は31,515百万円で、経常利益は881百万円と、利益面では直前の決算の中でも高水準をつける見込みです。
配当は2期前より出しており、上場後も引き続く配当を出していく方針です。尚、前期では0.8%の配当利回りで、1%程度の配当が期待できそうです。
公募株数 | 総数533,000株 (内、公募217,500株、売出315,500株) |
OA分 | 79,900株 |
発行済み株数 | 1,822,500株 |
想定価格 | 1,750円(100株単位:18万円) |
仮条件 | 1,750円 ~ 2,000円 |
初値予想 | 2,000円 ~ 3,000円 |
想定PER | 約22倍 |
想定PBR | 約1倍 |
配当利回り | 0.8% |
想定時価総額 | 32億円 |
今回の上場にあたっての吸収金額は11億円で、時価総額が32億円と東証ジャスダック上場銘柄としては中型案件です。事業的には高い成長は望みにくいものの、冷凍食品等一定需要のある事業を営むため、安定推移が予想されます。
株主名 | 保有割合 | ロックアップ |
(株)KANコーポレーション | 38.70% | 90日間 |
相原 敏貴 | 21.07% | 90日間 |
相原 貴久 | 8.60% | 90日間 |
アイスコ従業員持株会 | 4.56% | 90日間 |
江崎グリコ(株) | 4.30% | 90日間 |
相原 久子 | 3.01% | 90日間 |
青木 哲也 | 2.58% | 90日間 |
野口 みゆき | 2.58% | 90日間 |
永野 泰敬 | 1.03% | 90日間 |
山本 宗男 | 0.95% | 90日間 |
同社の株主構成ですが、筆頭株主は相原社長の資産管理会社「株式会社KANコーポレーション」で、39%の株式を保有しています。相原社長個人分を合わせると47%を保有しています。相原会長は21%を有しており、家族分を踏まえると7割を保有しています。
その他は取引先や役員・従業員で保有されており、アイスクリームの仕入れ先である江崎グリコも株主に名を連ねます。
今回の売出は相原会長を含めた4者で315,500株の売出です。
今回は公募で3.5億円の資金調達を行い、調達資金はフローズン事業向けトラックの購入費用に充てる予定です。
尚、大株主には90日のロックアップがかかっております。経営陣による保有が多いため、エグジットリスクは低いでしょう。
今回は売出が公募を上回るエグジット案件ですが、今後の事業拡大に向けたIPOであるため、一定の期待は持てそうです。
どうやって&どこで新規上場銘柄を買えるの?
今回の「アイスコ」の取り扱い証券会社を以下にまとめましたので参考にしてください。
割当率 | 株数 | ||
主幹事 | 野村證券 | 95.69% | 586,500株 |
幹事 | SMBC日興証券 | 3.03% | 18,600株 |
SBI証券 | 0.42% | 2,600株 | |
楽天証券 | 0.42% | 2,600株 | |
マネックス証券 | 0.42% | 2,600株 |
今回の主幹事は野村證券が主幹事を務めます。その他SMBC日興証券を含めた4社が幹事を務めます。
著者のまとめ
冷凍食品へのニーズが高まる中、同社の事業は堅実な成長を遂げています。地味な業界であるため初値高騰は難しいですが、公募割れリスクは低い案件でしょう。