2021年6月18日に東証マザーズ市場へ上場する「Enjin[エンジン]」について概要と期待度を見ていきたいと思います。
Enjin[エンジン]の上場日は!?期待度は?
同社は法人・経営者、医療機関向けPR支援を手がける会社です。
主にPR支援やそれに伴うマッチングサービスによって拡大してきた会社の上場となります。
今回は同社の概要を通して事業の成長性等分析していきたいと思います。
企業名 | Enjin[エンジン] |
上場市場 | 東証マザーズ |
銘柄コード | 7370 |
事業内容 | 法人/経営者、医療機関/医師向けPR支援サービスの提供およびマッチングプラットフォームの運営 |
所在地 | 大阪府大阪市 |
設立 | 2007年 |
従業員 | 152名 |
会社HP | https://www.y-enjin.co.jp/ |
監査法人 | PwC京都 |
上場日 | 2021年6月18日(金) |
主幹事 | みずほ証券 |
BB期間 | 2021年6月2日(水)~ 2021年6月8日(火) |
価格決定日 | 2021年6月9日(水) |
購入申込期間 | 2021年6月10日(木)~ 2021年6月15日(火) |
どんなことをしている会社なの?
(参照:https://www.y-enjin.co.jp/)
同社は2007年に大阪にて設立した会社で、創業者は現代表取締役である本田幸大氏です。本田社長は元々広告代理店である「矢動丸プロジェクト」で勤務していました。
創業当初は、矢動丸プロジェクトが手がけていたテレビ番組「賢者の選択」のWebメディア版である「賢者.tv」をスタートし、自社メディアを含めPRサービスを展開してきました。
同社の事業セグメントはPR事業の単一セグメントで事業を行っていますが、主に①法人・経営者向けPR支援サービス、②医療機関・医師向けPR支援サービス、③メディチョク等サービス、④アポチョク等サービスの4サービスで運営されています。
まず法人・経営者向け及び医療機関・医師向けのPR支援サービスでは、自社のオウンドメディアやその他TVや新聞等の他社メディアを駆使し、クライアントのPR活動を行っています。成功報酬モデルを採用しており、クライアントが依頼しやすいモデルを構築しています。
メディチョクサービスでは、これまでのビジネスノウハウを生かしたビジネスを行っており、クライアントとメディアを直接繋ぐことができるマッチングプラットフォームとして「メディチョク」を運営しています。
また、2021年からスタートした「アポチョク」は、BtoB向けに、決裁者とクライアントを直接繋ぐプラットフォームであり、年間最低件数の「決裁者アポイント」を自動でセットする仕組みをとっています。まだ出始めのモデルですが、徐々に拡大していく模様です。
上場後は、プラットフォームサービスの拡充を計りつつ、既存のPR事業をより拡大していく方針です。
2016年5月期 | 2017年5月期 | 2018年5月期 | 2019年5月期 | 2020年5月期 | |
売上高(百万円) | 677 | 684 | 865 | 1,252 | 1,529 |
経常利益(百万円) | 38 | △1 | △3 | 157 | 310 |
当期純利益(百万円) | 23 | △12 | △8 | 92 | 300 |
純資産額 (百万円) | 438 | 426 | 418 | 510 | 810 |
BPS(円) | 729,714 | 710,042 | 696,983 | 85 | 135 |
EPS(円) | 39,059 | △19,671 | △13,059 | 15 | 50 |
自己資本比率(%) | 48 | 49 | 53 | 48.9 | 55.6 |
ROE(%) | 5.5 | – | – | 19.8 | 45.5 |
配当性向(%) | – | – | – | – | – |
業績は右肩上がりに成長させています。特に直近2期については利益を伸ばしており、業績の好調さを示しています。
尚、2021年5月期3Q(2021年2月)の売上高は1,547百万円、経常利益は271百万円と推移しており、前期を3Q時点で前期を上回る勢いです。引き続き業績が伸びていくものと思われます。
配当は創業来無配で、上場後も当面は内部留保確保を優先するため無配です。
公募株数 | 総数2,500,000株 (内、公募1,000,000株、売出1,500,000株) |
OA分 | 375,000株 |
発行済み株数 | 7,000,000株 |
想定価格 | 1,300円(100株単位:13万円) |
仮条件 | 1,290円 ~1,380円 |
初値予想 | 1,850円 ~2,500円 |
想定PER | 約32倍 |
想定PBR | 約5倍 |
配当利回り | なし |
想定時価総額 | 97億円 |
今回の上場にあたっての吸収金額は40億円で、時価総額が97億円と東証マザーズ上場銘柄としては中型案件です。PR事業やプラットフォーム事業で成長を見せているため、規模感は重たいですが、初値高騰には期待できそうです。
株主名 | 保有割合 | ロックアップ |
本田 幸大 | 49.31% | 180日間 |
(株)S&Sホールディングス | 49.31% | 180日間 |
平田 佑司 | 0.30% | |
多鹿 晴雄 | 0.30% | |
湯浅 直哉 | 0.20% | |
小川 浩平 | 0.20% | |
廣瀬 哲夫 | 0.10% | |
平田 里佳 | 0.10% | |
寺崎 祐樹 | 0.10% | |
添田 繁永 | 0.10% |
同社の株主構成ですが、創業者である本田社長で同社株の49%を保有しています。また、本田社長の資産管理会社でも49%を保有しており、同社株の98%を保有していることになるなど、同社の支配オーナーであります。その他役員が株式を保有しており、VC等の名前はありません。
今回の売出は本田社長のみで、1,500,000株の売出です。売出後も引き続き本田社長が同社株の5割以上を保有する支配オーナーとして同社を牽引します。
今回は公募で12.6億円の資金調達を行い、調達資金は採用活動費や人件費、広告宣伝費に充てる予定です。
尚、本田社長には180日のロックアップがかかっておりますが、上場時点での株主によるエグジットリスクは極めて低いでしょう。
今回は売出が公募を上回るエグジット案件ですが、本田社長のエグジットによる同社株の流動性確保と資金調達が合わさった形であり、市場においては前向きに捉えられることが予想されます。
どうやって&どこで新規上場銘柄を買えるの?
今回の「Enjin」の取り扱い証券会社を以下にまとめましたので参考にしてください。
割当率 | 株数 | ||
主幹事 | みずほ証券 | 95.65% | 2,750,000株 |
幹事 | SBI証券 | 3.48% | 100,000株 |
楽天証券 | 0.87% | 25,000株 |
今回の主幹事はみずほ証券が主幹事を務めます。その他SBI証券を含めた2社が幹事を務めます。
著者のまとめ
マザーズ中規模案件となりますが、プラットフォーム事業やPR事業など人気のある業種であるため、初値には期待が持てるでしょう。一方で、初値構成後の動きについては株主数の観点から上下動が激しいことが想定されるため、価格変動には注意したいところです。