2021年4月7日に東証ジャスダックスタンダード市場へ上場する「ファブリカコミュニケーションズ」について概要と期待度を見ていきたいと思います。
ファブリカコミュニケーションズの上場日は!?期待度は?
同社は中古車販売向け販売管理プラットフォームを提供している会社です。
中古車市場におけるDX化への推進に寄与するビジネスモデルで拡大してきており、注目を集める会社の上場となります。
今回は同社の概要を通して事業の成長性等分析していきたいと思います。
企業名 | ファブリカコミュニケーションズ |
上場市場 | 東証JQスタンダード |
銘柄コード | 4193 |
事業内容 | 業務支援システム開発・販売事業、SMS配信ソリューション事業、インターネットメディア事業、WEBマーケティング事業、自動車整備・レンタカー事業 |
所在地 | 愛知県名古屋市 |
設立 | 1994年 |
従業員 | 154名 |
会社HP | https://www.fabrica-com.co.jp/ |
監査法人 | PwCあらた |
上場日 | 2021年4月7日(水) |
主幹事 | 東海東京証券 |
BB期間 | 2021年3月23日(火)~ 2021年3月29日(月) |
価格決定日 | 2021年3月30日(火) |
購入申込期間 | 2021年3月31日(水)~ 2021年4月5日(月 ) |
どんなことをしている会社なの?
(参照:https://www.fabrica-com.co.jp/)
同社は1992年に愛知県春日井市にて自動車板金塗装業をスタートし、1994年に法人化した会社です。創業来自動車向けビジネスを行ってきましたが、自動車アフターマーケットにおけるITサービス提供をすることを目的に、2005年に現社名に移行し今日に至ります。
会社としては、同社とメディア4uの2社で事業を行っており、「U-CARソリューショングループ」、「インターネットサービスグループ」、「オートサービスグループ」、「SMSソリューショングループ」の4グループにセグメント分けしています。
「U-CARソリューショングループ」では、中古車販売管理システムと広告出稿プラットフォームを融合したクラウドサービス「symphony(シンフォニー)」の開発提供を行っています。全国の中古車販売店向けに提供し、利用料を徴収するサブスクリプションモデルです。
中古車販売業者の多くは、FAX等のアナログビジネスを行っている先も多く、当システムを導入することで、顧客管理から商談管理を一括して対応できる形となっています。
「SMSソリューショングループ」では法人向けのSMS送信サービスを提供しています。顧客向けに重要な情報を提供する手段としてSMSが近年利用されており、利用クライアントを伸ばしています。
「インターネットサービスグループ」では車買取一括査定サイトや自動車保険ポータルサイトなど、Webメディアを複数運営しており、エンドユーザーとクライアントをつなぐかけ橋となっています。
「オートサービスグループ」では、創業来の自動車整備事業や、事故によって損害を受けた自動車の修理(BP)や代車レンタカーの貸し出し等を行っています。
MaaSやCASEといった自動車業界における変革が起きている状況ですが、同社のビジネスをより深耕させ、自動車アフターマーケットにおける重要な位置づけを目指す模様です。
2016年10月期 | 2017年3月期 | 2018年3月期 | 2019年3月期 | 2020年3月期 | |
売上高(百万円) | 1,805 | 822 | 2,024 | 3,018 | 3,903 |
経常利益(百万円) | 22 | 18 | 42 | 155 | 341 |
当期純利益(百万円) | △7 | 6 | 49 | 109 | 113 |
純資産額 (百万円) | △275 | 37 | 85 | 219 | 352 |
BPS(円) | △44,660 | 3,871 | 8,809 | 103 | 170 |
EPS(円) | △1,119 | 742 | 5,016 | 56 | 57 |
自己資本比率(%) | △26.7 | 3.3 | 7.8 | 15 | 20.3 |
ROE(%) | – | – | 79.1 | 75 | 41 |
配当性向(%) | – | – | – | – | – |
業績は着実な成長が見られます。2017年3月期に決算期の変更を行っていますので、単純比較できませんが、売上高及び利益は右肩上がり成長を見せています。
なお、2021年3月期第3四半期(2020年12月)の売上高は3,489百万円で、経常利益は453百万円と、前期を上回る勢いで業績を上げています。
配当はこれまでも無配で、上場後も事業成長を目的に当面無配が予想されています。
公募株数 | 総数511,500株 (内、公募100,000株、売出411,500株) |
OA分 | 76,700株 |
発行済み株数 | 2,175,800株 |
想定価格 | 5,500円(100株単位:55万円) |
仮条件 | 5,500円 ~ 6,000円 |
初値予想 | 6,200円 ~ 7,000円 |
想定PER | 約106倍 |
想定PBR | 約14倍 |
配当利回り | なし |
想定時価総額 | 119億円 |
今回の上場にあたっての吸収金額は32億円で、時価総額が119億円と東証ジャスダック上場銘柄としては中型案件です。サブスクモデルであるビジネス背景から期待感は高いものの、公募価格に大きさから、やや高い初値で着地する見込みです。
株主名 | 保有割合 | ロックアップ |
(株)カービュー | 30.34% | 180日間 |
(株)インディゴベース | 13.28% | 180日間 |
谷口 政人 | 11.56% | 180日間 |
奥岡 征彦 | 8.96% | 180日間 |
近藤 智司 | 8.40% | 180日間 |
(株)SKコーポレーション | 5.04% | 180日間 |
(株)新東通信 | 2.60% | 180日間or1.5倍 |
あいおいニッセイ同和損害保険(株) | 1.56% | 180日間or1.5倍 |
(株)エフケイ | 1.56% | 180日間or1.5倍 |
シナノベンチャーレーシング合同会社 | 1.56% | 180日間or1.5倍 |
同社の株主構成ですが、筆頭株主は2016年に資本提携を行った株式会社カービューで、30%の株式を保有しています。2位は創業者である谷口社長の資産管理会社で、個人分を合わせると約25%を保有しています。共同創業者である近藤副社長は、資産管理会社と個人分を合わせて13%となっており、その他は取引先や役員・従業員で保有されています。
今回の売出は谷口社長を含めた5者で411,500株の売出です。同時に売り出すカービューは、保有分の44%を売却するため、上場後は谷口社長が筆頭株主に変わる予定です。
今回は公募で5億円の資金調達を行い、調達資金はサーバー等の設備資金や人件費等の運転資金に充てる予定です。
尚、大株主には180日もしくは公募価格1.5倍のロックアップがかかっております。経営陣による保有が多いため、半年間はエグジットリスクは低いでしょう。ただし、少数株主である事業会社系の売却には注意が必要です。
今回は売出が公募を上回るエグジット案件で、カービューによるエグジットがメインとなったIPOとも言えます。事業の成長性は期待できますので、上場後の値動きは一定の期待が持てるでしょう。
どうやって&どこで新規上場銘柄を買えるの?
今回の「ファブリカコミュニケーションズ」の取り扱い証券会社を以下にまとめましたので参考にしてください。
割当率 | 株数 | ||
主幹事 | 東海東京証券 | 88.69% | 521,700株 |
幹事 | SBI証券 | 2.60% | 15,300株 |
野村證券 | 2.18% | 12,800株 | |
楽天証券 | 1.73% | 10,200株 | |
SMBC日興証券 | 0.87% | 5,100株 | |
いちよし証券 | 0.87% | 5,100株 | |
岡三証券 | 0.87% | 5,100株 | |
エース証券 | 0.87% | 5,100株 | |
マネックス証券 | 0.44% | 2,600株 | |
松井証券 | 0.44% | 2,600株 | |
水戸証券 | 0.44% | 2,600株 |
今回の主幹事は東海東京証券が主幹事を務めます。その他SBI証券を含めた10社が幹事を務めます。
著者のまとめ
同日には表示灯が上場してくる予定で、同じく名古屋の会社が上場するといったイベント日となります。事業性は引き続き期待が持てるものなので、初値はもちろんですが、上場後の推移に期待を持ちたいところです。
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