2021年6月25日に東証マザーズ市場へ上場する「ステムセル研究所」について概要と期待度を見ていきたいと思います。
ステムセル研究所の上場日は!?期待度は?
同社は臍帯血の分離保管を行う「細胞バンク事業会社」です。
2020年3月に一度上場承認を得ていたものの、新型コロナウイルスによる市場変動によって延期となってしまった会社ですが、改めて上場となります。
今回は同社の概要を通して事業の成長性等分析していきたいと思います。
企業名 | ステムセル研究所 |
上場市場 | 東証マザーズ市場 |
銘柄コード | 7096 |
事業内容 | 再生医療を目的に、さい帯血及びさい帯の分離・保管を行う「細胞バンク事業」 |
所在地 | 東京都港区 |
設立 | 1999年 |
従業員 | 80名 |
会社HP | https://www.stemcell.co.jp/corporate/ |
監査法人 | あずさ |
上場日 | 2021年6月25日(金) |
主幹事 | 野村證券 |
BB期間 | 2021年6月9日(水)~ 2021年6月15日(火) |
価格決定日 | 2021年6月16日(水) |
購入申込期間 | 2021年6月17日(木)~ 2021年6月22日(火) |
どんなことをしている会社なの?
(参照:https://www.stemcell.co.jp/corporate/business/storage/)
同社は1999年に臍帯血の分離・保管を行う細胞バンク事業を目的に設立された会社です。
臍帯血とは、お母さんと赤ちゃんを繋ぐ「臍の緒」に含まれる血液を指します。
成人の血液に比べ、遺伝子変異が少なく、幹細胞の増殖性に優れていることから治療方法が確立されていない、中枢神経系疾患や自己免疫疾患、自閉症等への再生医療に用いることができないか研究が進められています。その他白血病治療にも使われています。
臍帯血が冷凍保存可能と言われており、出産のタイミングでしか採取することができないいうこともあり、臍帯血バンクの動きが進んでいます。
公的臍帯血バンクは全国6ヶ所で保管されていますが、いずれも「無償」で保管されており、本人や家族の意思で使うことができないというデメリットがあります。
一方民間臍帯血バンクであれば、有償となりますが、本人と家族の意思で利用することができるため、自身のために利用できるために保管しておきたいという妊婦さん向けに注目が高まっています。
現状、民間臍帯血バンクは同社を含め2社しかなく、同社が民間シェア90%以上を有しているなど優位性の高い事業展開をしています。
今後も引き続き臍帯血バンクへの需要が見込めれるため、IPOによって信用度を高め、更なる事業拡大を狙う見込みです。
2017年3月期 | 2018年3月期 | 2019年3月期 | 2020年3月期 | 2021年3月期 | |
売上高(百万円) | 755 | 807 | 862 | 1,150 | 1,676 |
経常利益(百万円) | 187 | 162 | 111 | 216 | 383 |
当期純利益(百万円) | 119 | 108 | 70 | 143 | 277 |
純資産額 (百万円) | 662 | 770 | 840 | 982 | 1,260 |
BPS(円) | 95,229 | 110,739 | 120,742 | 202 | 259 |
EPS(円) | 17,162 | 15,510 | 10,003 | 29 | 57 |
自己資本比率(%) | 36 | 37 | 36 | 34.9 | 35.3 |
ROE(%) | 19.8 | 15.1 | 8.6 | 15.7 | 24.8 |
配当性向(%) | – | – | – | – | – |
業績は概ね順調に推移しています。売上高は右肩上がりに成長しており、利益も直近期で増益基調に推移しています。
尚、2021年3月期3Q(2020年12月)の売上高は1,065百万円、経常利益は96百万円となっており、前期の数字にはやや足りない状況です。
配当はこれまで無配で、上場後も内部留保を確保を優先するため無配方針です。
公募株数 | 総数830,800株 (内、公募256,200株、売出574,600株) |
OA分 | 124,600株 |
発行済み株数 | 5,123,300株 |
想定価格 | 2,540円(100株単位:25万円) |
仮条件 | 2,540円 ~2,800円 |
初値予想 | 3,500円 ~5,000円 |
想定PER | 約47倍 |
想定PBR | 約7倍 |
配当利回り | なし |
想定時価総額 | 130億円 |
今回の上場にあたっての吸収金額は130億円で、時価総額が24億円と東証マザーズ上場銘柄としては中型案件です。事業柄人気を集めそうなため、初値高騰に期待できるでしょう。
株主名 | 保有割合 | ロックアップ |
(株)トリムメディカルホールディングス | 89.50% | 90日間 |
山本 邦松 | 1.77% | |
名古屋中小企業投資育成(株) | 1.73% | 90日間 |
森 雅徳 | 1.28% | 90日間 |
若松 茂美 | 1.06% | 90日間 |
シノ セル テクノロジーズ インク | 0.72% | 90日間 |
友清 彰 | 0.52% | 90日間 |
浅井 芳明 | 0.50% | |
野上 大介 | 0.29% | 90日間 |
森崎 弘司 | 0.29% | 90日間 |
同社の株主構成ですが、上場会社であるトリムメディカルホールディングスが筆頭株主で、同社株の90%を有しています。その他は、役員・従業員のほか、名古屋中小企業投資育成が大株主です。
今回の売出は、トリムメディカルホールディングスを含め計4者で、計574,600株の売出を行います。トリムメディカルホールディングスは上場後も筆頭株主として経営に関与していきます。
今回は公募で5億円の資金調達を行い、調達資金は細胞保管センターの拡充や顧客管理システムの導入費用に充てる予定です。
尚、大株主には90日のロックアップがかかっていますが、エグジットリスクはほぼ発生しないでしょう。
今回は売出が公募を上回るエグジット案件ですが、IPOによる株主数増加を目的に売出を行うため、将来性に向けた投資が見込まれます。
どうやって&どこで新規上場銘柄を買えるの?
今回の「ステムセル研究所」の取り扱い証券会社を以下にまとめましたので参考にしてください。
割当率 | 株数 | ||
主幹事 | 野村證券 | 91.31% | 872,400株 |
幹事 | 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | 3.47% | 33,200株 |
SMBC日興証券 | 1.74% | 16,600株 | |
東洋証券 | 0.87% | 8,300株 | |
いちよし証券 | 0.87% | 8,300株 | |
エース証券 | 0.87% | 8,300株 | |
SBI証券 | 0.87% | 8,300株 |
今回の主幹事は野村證券が主幹事を務めます。その他を三菱UFJモルガン・スタンレー証券含めた6社が幹事を務めます。
著者のまとめ
同日に日本電解が上場してきますが、同社への注目が高い模様です。臍帯血バンクとこれから伸びていく領域であるため、IPOによる信用度向上が見込まれるでしょう。