2019年10月30日に東証2部市場へ上場する「恵和(けいわ)」について概要と期待度を見ていきたいと思います。
恵和の上場日は!?期待度は?
企業名 |
恵和(けいわ) |
上場市場 |
東証2部 |
銘柄コード |
4251 |
事業内容 |
光学シート、産業資材などの製造販売 |
所在地 |
東京都中央区 |
設立 |
1948年 |
従業員 |
393名 |
会社HP |
https://www.keiwa.co.jp/ |
監査法人 |
トーマツ |
上場日 |
2019年10月30日(水) |
主幹事 |
大和証券 |
BB期間 |
2019年10月11日(金)~2019年10月18日(金) |
価格決定日 |
2019年10月21日(月) |
購入申込期間 |
2019年10月23日(水)~2019年10月28日(月) |
同社はスマートフォンやタブレットに使われる液晶ディスプレイ用光学シート等の製造販売を行う会社です。
社歴の長い会社である一方、業績は頭打ち状態ですので今後の成長性については期待感に欠ける案件の上場です。
どんなことをしている会社なの?
(参照:https://www.keiwa.co.jp/product/?anc=c1&PHPSESSID=a1ef8grshssemf2f7hun9lceau)
同社は1948年に兵庫県神戸市にて「米国製ターポリン紙」の販売を目的として設立されました。ターポリンとは布を合成樹脂フィルムで包んだシートで、運動会などのテントに使わるシートを指します。
同社は創業後自社工場にてターポリン紙の生産を開始し、成長していきました。1990年以降は高機能フィルムメーカーとして、パソコンや携帯電話向けの液晶ディスプレイに使われる光拡散フィルムや偏光制御フィルムの製造を始め、現在ではスマートフォンやタブレット向けに需要を伸ばしています。
その他、創業来の機能製品事業として、防湿性や耐熱性、耐久性に優れたフィルム製品の製造販売を行っており、鉄や非鉄の防錆梱包や太陽光パネル向けに使われています。
同社の技術は他社に比べて強みがあり、樹脂からプラスチックシートを作るシーティング技術や、フィルムと合成樹脂の積層を行うラミネーティング技術等、他社には負けない商品競争力を有しています。
非常にニッチな市場にターゲットを絞りながらも、高付加価値製品を提供することで自社の優位性を発揮しています。
売上や成長性は?
|
2014年12月期 |
2015年12月期 |
2016年12月期 |
2017年12月期 |
2018年12月期 |
売上高(百万円) |
14,014 |
15,970 |
15,084 |
14,559 |
15,759 |
経常利益(百万円) |
515 |
135 |
△828 |
73 |
742 |
当期純利益(百万円) |
36 |
△45 |
△1,080 |
226 |
452 |
純資産額 (百万円) |
3,358 |
3,318 |
2,226 |
2,764 |
3,058 |
BPS(円) |
630 |
560 |
374 |
467 |
517 |
EPS(円) |
7 |
△8 |
△184 |
38 |
76 |
自己資本比率(%) |
22.3 |
19.6 |
12.9 |
18.8 |
21.8 |
ROE(%) |
1 |
– |
– |
8.7 |
15.5 |
配当性向(%) |
18.6 |
– |
– |
0.38 |
1.64 |
業績は正直伸びているとは言えない状況です。ニッチ分野に追及する企業戦略ですが、売上高は横ばいで、利益も上下しているところです。なお、2019年12月期の2Q(2019年6月)時点で、売上高は7,415百万円、経常利益は518百万円で、前期に比べて利益面の改善が見られそうですが、下期の動向が気になります。配当はこれまで業績によって出していましたが、上場後も出していく方針です。ただし、配当方針は特に示されていません。
公募株数 |
総数1,983,000株 (内、公募1,500,000株、売出483,000株) |
OA分 |
297,400株 |
発行済み株数 |
7,420,000株 |
想定価格 |
770円(100株単位・8万円) |
仮条件 |
700円~770円 |
初値予想 |
770円~850円 |
想定PER |
約13倍 |
想定PBR |
約1.3倍 |
配当利回り |
約0.03% |
想定時価総額 |
57億円 |
今回の上場にあたっての吸収金額は17.5億円で、時価総額が57.1億円です。社歴が長く東証2部上場とやや期待感にかける案件です。初値高騰は見込みにくいですが、ニッチトップ銘柄として堅実な株価を付けてくる可能性はあります。公募価格が3桁という点も手掛けやすく個人投資家や長期投資目線のファンドの買いは集めそうです。
株主名 |
保有割合 |
ロックアップ |
長村 惠弌 |
70.75% |
180日間 |
長村 みどり |
4.55% |
180日間 |
江田 徐紅 |
2.59% |
180日間 |
石田 憲次 |
2.30% |
180日間 |
足利 正夫 |
2.12% |
180日間 |
恵和従業員持株会 |
2.09% |
180日間 |
久保 武 |
1.65% |
180日間 |
中島 由起 |
1.61% |
180日間 |
東亞合成(株) |
1.12% |
90日間or1.5倍 |
野口 順次郎 |
1.04% |
180日間 |
同社の大株主は、創業家であり2代目社長である長村社長で同社株の71%を保有しているオーナーです。その他は従業員や役員が大半で、一部取引先も名を連ねています。
今回の売出は長村社長含めた2名で483,000株の売出です。
公募は11.4億円の資金調達で、シート機の建屋新設資金等、事業に関わる設備投資に充当する予定です。
今回は公募や売出を大きく上回る資金調達メインのIPOとなるため、市場からの評価は悪くないと言えます。大株主にはロックアップ制限がかかっているためエグジットリスクも低いと言えます。
また、今回の上場を機に長村社長の持株を減らすこととなるため、将来的な事業承継を踏まえた上場となると言えます。
どうやって&どこで新規上場銘柄を買えるの?
今回の「恵和」の取り扱い証券会社を以下にまとめましたので参考にしてください。
|
|
割当率 |
株数 |
主幹事 |
大和証券 |
95.66% |
2,181,400株 |
幹事 |
いちよし証券 |
1.74% |
39,600株 |
SBI証券 |
0.87% |
19,800株 |
|
東海東京証券 |
0.87% |
19,800株 |
|
エース証券 |
0.87% |
19,800株 |
今回の主幹事は大和証券が主幹事を務めます。その他いちよし証券を含めた中堅証券4社が幹事を務めます。
著者のまとめ
ニッチ分野で強みを持つ会社のIPOです。マザーズ上場に比べて人気度が低いですが、株価の手掛けやすさや、大きな事業環境の変化がなければ安定した業績が見込めるという点で、長期投資向けの案件となりそうです。
上場時点でも割安度が見て取れるため、4桁までは早く上がっていきそうな気配もあります。いずれにせよ上場後を楽しみにしたいところです。