2020年3月19日に東証2部市場へ上場する「日本インシュレーション」について概要と期待度を見ていきたいと思います。
日本インシュレーションの上場日は!?期待度は?
企業名 |
日本インシュレーション |
上場市場 |
東証2部 |
銘柄コード |
5368 |
事業内容 |
耐火性能を有するゾノトライト系けい酸カルシウムを基材とする耐火・断熱材料の製造・販売・施工及びその他周辺工事の施工 |
所在地 |
大阪府大阪市 |
設立 |
1949年 |
従業員 |
373名 |
会社HP |
https://www.jic-bestork.co.jp/ |
監査法人 |
あずさ |
上場日 |
2020年3月19日(木) |
主幹事 |
みずほ証券 |
BB期間 |
2020年3月4日(水)~2020年3月10日(火) |
価格決定日 |
2020年3月11日(水) |
購入申込期間 |
2020年3月12日(木)~2020年3月17日(火) |
同社は建築・プラント関連工事および建材商品の製造販売行う会社です。
防災向けの耐火素材の開発によって耐火工事に対する商品提供を行っており、災害の多い日本の防災対策に寄与する会社です。
どんなことをしている会社なの?
(参照:https://www.jic-bestork.co.jp/modules/smartsection/item.php?itemid=6)
1914年に機械向けのパッキン製造販売を行う目的で個人事業として設立されたことが同社の創業のきっかけとなっています。1949年に現法人格に移行し今日に至ります。
同社の事業は、「建築およびプラント向けの工事」と「建材製造販売」の2本柱です。「建築およびプラント向け工事」は自社製造の建材を使った耐火被覆材設置やプラント向け保湿材の設置を行っています。
また、同社の主事業でもある「建材製造販売」では、「ゾノトライト系けい酸カルシウム材」を活用した建材の製造販売を行っています。
ゾノトライトは同社が世界を先駆けて開発した素材であり、世界のメーカーに技術供与をするなど世界的なイニシアティブを有している商品です。1,000℃の熱に耐える耐火性と保湿材として機能を有するなど耐火工事において鉄骨材の包装材として多く使われています。
災害の多い日本において、防災対策に向けた同社製品へのニーズは一定数あり、引き続き業界で高い優位性を有する可能性が高いです。
売上や成長性は?
|
2015年3月期 |
2016年3月期 |
2017年3月期 |
2018年3月期 |
2019年3月期 |
売上高(百万円) |
10,743 |
13,045 |
11,975 |
11,386 |
11,767 |
経常利益(百万円) |
911 |
1,786 |
2,021 |
1,626 |
1,510 |
当期純利益(百万円) |
492 |
1,132 |
1,427 |
1,457 |
980 |
純資産額 (百万円) |
4,182 |
5,245 |
6,542 |
7,679 |
8,382 |
BPS(円) |
547 |
686 |
856 |
1,005 |
1,097 |
EPS(円) |
64 |
148 |
187 |
191 |
128 |
自己資本比率(%) |
32.4 |
38.5 |
45.7 |
54.9 |
60.1 |
ROE(%) |
12.6 |
24 |
24.2 |
20.7 |
12.2 |
配当性向(%) |
15.5 |
13.5 |
13.4 |
15.3 |
24.8 |
業績はぱっとしない印象です。2018年3月期から連結決算としていますが、売上高・経常利益共に伸びていない状況です。尚、2020年3月期3Q(2019年12月末)の売上高は10,141百万円、経常利益は1,407百万円と進捗率ベースでは前期数字を超える勢いであるため、2020年3月期は上向く可能性は高いです。
配当はこれまでも出しており、2019年3月期は1株32円の配当を出しています。配当性向は24.8%で、上場後は内部留保の拡充を優先しつつも配当を出していく方針です。
公募株数 |
総数1,050,000株 (内、公募1,050,000株、売出0株) |
OA分 |
157,500株 |
発行済み株数 |
8,707,200株 |
想定価格 |
920円(100株単位:9万円) |
仮条件 |
920円~940円 |
初値予想 |
850円~950円 |
想定PER |
約8倍 |
想定PBR |
約0.8倍 |
配当利回り |
3.0% |
想定時価総額 |
80億円 |
今回の上場にあたっての吸収金額は11億円で、時価総額が80億円と東証二部上場銘柄としては小ぶり案件です。製品面では非常に優位性がある一方で、業績が伸び悩んでいるため公募割れも覚悟する必要があります。
株主名 |
保有割合 |
ロックアップ |
大橋 ゆふみ |
16.79% |
180日間 |
大阪中小企業投資育成㈱ |
11.42% |
180日間 |
大橋 健一 |
9.22% |
180日間 |
㈱日本政策投資銀行 |
6.54% |
180日間 |
㈱大垣共立銀行 |
4.57% |
180日間 |
㈱三菱UFJ銀行 |
4.57% |
180日間 |
日本インシュレーション社員持株会 |
3.72% |
180日間 |
三菱UFJキャピタル㈱ |
2.23% |
90日間or1.5倍 |
共友リース㈱ |
1.98% |
180日間 |
三菱UFJ信託銀行㈱ |
1.75% |
180日間 |
同社の大株主は、大橋会長の配偶者である大橋ゆふみ氏で同社株の約17%を保有しています。株主第2位はファンドである大阪中小企業投資育成㈱で11%有しています。
第3位には大橋会長で9%を有する他、金融機関が大株主として名を連ねています。一部従業員も有していますが、株主が分散しています。
今回は売出を予定していません。
公募によって8.7億円の資金調達を実施し、工場の設備投資および金融機関借入の返済に充てる予定です。大株主には180日ロックアップもしくは90日および公募価格1.5倍のロックアップ制限がかかっています。一部ファンドが入っていますが、エグジットリスクは目先低いでしょう。
今回は公募のみの資金調達案件で、事業拡大の資金調達を目的としたIPOとなります。
どうやって&どこで新規上場銘柄を買えるの?
今回の「日本インシュレーション」の取り扱い証券会社を以下にまとめましたので参考にしてください。
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割当率 |
株数 |
主幹事 |
大和証券 |
93.04% |
1,123,500株 |
幹事 |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 |
2.61% |
31,500株 |
SBI証券 |
2.61% |
31,500株 |
|
岩井コスモ証券 |
1.74% |
21,000株 |
今回の主幹事は大和証券が主幹事を務めます。その他三菱UFJモルガン・スタンレー証券を含めた3社が幹事を務めます。
著者のまとめ
世界的に優位性のある製品を生み出している会社である一方、業績面では伸び悩んでいます。事業のテコ入れのための資金調達となりますが、事業性の成長性が見込みにくいなど公募割れリスクが大いにあります。業績を慎重に見極める必要があるでしょう。