2021年7月20日に東証マザーズ市場へ上場する「アシロ」について概要と期待度を見ていきたいと思います。
アシロの上場日は!?期待度は?
同社は弁護士業界をITで繋ぐWebメディアを運営する会社です。
同業には弁護士ドットコムがあり、同社も弁護士ドットコムに集まる期待を受けた株価動向が予想されます。法律業界は未だアナログな世界であり、デジタル化に寄与する会社として注目を集めるでしょう。
今回は同社の概要を通して事業の成長性等分析していきたいと思います。
企業名 | アシロ |
上場市場 | 東証マザーズ市場 |
銘柄コード | 7378 |
事業内容 | 弁護士業界とITを結びつけたリーガルメディアサイトの運営等 |
所在地 | 東京都新宿区 |
設立 | 2016年 |
従業員 | 44名 |
会社HP | https://asiro.co.jp/ |
監査法人 | EY新日本 |
上場日 | 2021年7月20日(火) |
主幹事 | 野村證券 |
BB期間 | 2021年7月2日(金)~ 2021年7月8日(木) |
価格決定日 | 2021年7月9日(金) |
購入申込期間 | 2021年7月12日(月)~ 2021年7月15日(木) |
どんなことをしている会社なの?
(参照:https://asiro.co.jp/business/)
同社は2016年に設立された会社ですが、創業は2009年で、現代表取締役社長である中山博登氏によって設立されました。創業当初はWebサイト運営や広告代理業務を手掛けていましたが、自社メディア運営をスタートし、2012年よりリーガルメディア「離婚弁護士ナビ」を皮切りに、弁護士と一般ユーザーを繋ぐビジネスをスタートしました。
同社は現在「リーガルメディア関連事業」と「リーガルHR事業」の2セグメントで運営されています。
リーガルメディア関連事業は、主力であるWebサイト運営を手掛けており、中でも弁護士のクライアントとしたWebサイトを複数運営しています。具体的には「離婚弁護士ナビ」や「交通事故弁護士ナビ」、「相続弁護士ナビ」といった、一般の方が法律に関わる内容に分けたメディア運営を行なっています。
一般の方にとって弁護士に依頼をかけることに対して一定のハードルを感じている方が多く、簡単に調べることができるサイトを提供することで、一般の方と弁護士をマッチングさせることができます。
こちらでは主に出稿する弁護士や企業からの広告収入を得ることでビジネスを行なっており、弁護士のマーケティング支援に活用されています。
もう一つの「リーガルHR事業」は、法律事務所や法務人材を求める企業と転職を検討している弁護士をマッチングさせるビジネスで、業界特化している分、信用度の高い転職活動を行える環境を構築しています。
上場を機に更なる事業拡大につなげていく模様です。
2016年10月期 | 2017年10月期 | 2018年10月期 | 2019年10月期 | 2020年10月期 | |
売上高(百万円) | 2 | 674 | 832 | 1,157 | 1,479 |
経常利益(百万円) | ▲44 | 77 | 2 | 246 | 323 |
当期純利益(百万円) | ▲34 | 6 | ▲56 | 156 | 208 |
純資産額 (百万円) | 782 | 788 | 733 | 897 | 1,120 |
BPS(円) | 39,083 | 39,281 | 36,604 | 150 | 187 |
EPS(円) | ▲2,277 | 297 | ▲2,777 | 26 | 35 |
自己資本比率(%) | 44 | 46 | 46 | 50 | 54 |
ROE(%) | – | 0.8 | – | 19.3 | 20.6 |
配当性向(%) | – | – | – | – | – |
業績は成長過程にあります。2019年10月期より国際会計基準を適用しているため、直近との単純比較は難しいものの、業績は概ね右肩上がりに成長しています。
尚、2021年10月期2Q(2021年4月)の売上高は736百万円、経常利益は191百万円となっており、前期を上回る勢いで業績を伸ばしています。
配当はこれまで無配で、上場後も内部留保の確保を優先するため当面無配予想です。
公募株数 | 総数4,203,200株 (内、公募829,000株、売出3,374,200株) |
OA分 | 630,400株 |
発行済み株数 | 6,829,000株 |
想定価格 | 1,120円(100株単位:11万円) |
仮条件 | 1,120円 ~1,160円 |
初値予想 | 1,250円 ~2,000円 |
想定PER | 約37倍 |
想定PBR | 約4倍 |
配当利回り | なし |
想定時価総額 | 76億円 |
今回の上場にあたっての吸収金額は54億円で、時価総額が76億円と東証マザーズ上場銘柄としては中型案件です。比較的ファンドの保有割合が高いため、初値高騰にはやや難しい印象を受けます。
株主名 | 保有割合 | ロックアップ |
J-STAR二号投資事業有限責任組合 | 39.25% | 90日間or1.5倍 |
中山 博登 | 26.15% | 90日間 |
MIDWEST MINATO, L.P. | 14.67% | 90日間or1.5倍 |
Pacific Minato Ⅱ, L.P. | 13.60% | 90日間or1.5倍 |
川村 悟士 | 2.35% | 365日間 |
河原 雄太 | 1.28% | 90日間 |
宮﨑 淳平 | 0.85% | |
竹田津 惇 | 0.43% | 365日間 |
丸田 泰広 | 0.43% | |
増山 雄大 | 0.43% |
同社の株主構成ですが、投資ファンドであるJ-STARのファンドで、同社株の39%を有しています。創業者の中山社長は同社株の26%を有する大株主第2位ですが、上位にVCが多く、7割近い株数をファンドが有しています。その他役員・従業員は保有するものの、ファンドの保有割合が気になります。。
今回の売出は3ファンドのみで、計3,374,200株の売出です。中山社長やその他株主の売出はありません。
今回は公募で8.4億円の資金調達を行い、調達資金は広告宣伝費や人材採用費、人件費に充てる予定です。
大株主には90日もしくは365日、ファンドには90日または公募価格1.5倍のロックアップ制限がかかっており、株価高騰後のVCによるエグジットには注意が必要です。
今回は売出が公募を上回るエグジット案件で、完全なファンドエグジット案件です。初値高騰はあまり期待できないでしょう。
どうやって&どこで新規上場銘柄を買えるの?
今回の「アシロ」の取り扱い証券会社を以下にまとめましたので参考にしてください。
割当率 | 株数 | ||
主幹事 | 野村證券 | 93.05% | 4,497,600株 |
幹事 | SBI証券 | 1.74% | 84,000株 |
楽天証券 | 0.87% | 42,000株 | |
マネックス証券 | 0.87% | 42,000株 | |
松井証券 | 0.87% | 42,000株 | |
岡三証券 | 0.87% | 42,000株 | |
いちよし証券 | 0.87% | 42,000株 | |
岩井コスモ証券 | 0.87% | 42,000株 |
今回の主幹事は野村證券が主幹事を務めます。その他をSBI証券含めた7社が幹事を務めます。
著者のまとめ
リーガル関連のビジネスモデルとしては注目を集めていますので、上場後の動向次第では面白い会社ですが、ファンドによるエグジットが大きいため、需給的に急激な株価上昇の可能性は低いでしょう。