2021年6月23日に東証2部市場へ上場する「ドリームベット」について概要と期待度を見ていきたいと思います。
ドリームベットの上場日は!?期待度は?
同社はベットやリビングソファー等のインテリア用品を製造販売する会社です。
自社ブランドの他、米国の高級マットレスメーカー「Serta(サータ)」の国内独占ライセンスを有しており、コロナ禍において寝具への注目が高まる中での上場となります。
今回は同社の概要を通して事業の成長性等分析していきたいと思います。
企業名 | ドリームベット |
上場市場 | 東証2部 |
銘柄コード | 7791 |
事業内容 | ベッド・リビングソファ・インテリア用品の製造、販売 |
所在地 | 広島県西区 |
設立 | 1957年 |
従業員 | 349名 |
会社HP | https://dreambed.jp/ |
監査法人 | あずさ |
上場日 | 2021年6月23日(水) |
主幹事 | 野村證券 |
BB期間 | 2021年6月7日(月)~ 2021年6月11日(金) |
価格決定日 | 2021年6月14日(月) |
購入申込期間 | 2021年6月15日(火)~ 2021年6月18日(金) |
どんなことをしている会社なの?
(参照:https://dreambed.jp/products/)
同社は1957年に設立された会社で、創業者の渡邊禮市氏が設立したベット販売会社「広島ベット商会」の製造部門を切り離して同社は誕生しました。その後、合併等によって一つの会社となっています。
創業来、ベットメーカーとして自社工場によるマットレス製造を手がけており、今日に至るまで一貫して高級ベットメーカーとして事業を継続させてきました。
同社の事業は、ホームファニシング事業の単一セグメントで、ベットフレームやマットレス、ソファの開発製造を手がけてきました。
同社の販売先は、百貨店や家具販売店向けが全体の7割を占めており、その他は商業施設向けが約18%となっています。また販売アイテムの半数はマットレスとなっており、ベットフレームやソファの3アイテムで売上の9割を占めています。
同社の特徴として2点挙げられます。1点目は海外メーカーの独占ライセンス契約を受けている点です。アメリカの高級マットレスメーカー「Serta(サータ)」の日本における独占ライセンス契約を有しています。多様なマットレス仕様を揃えており、利用者の使用方法に合わせたマットレスを提供しており、主に百貨店では人気になりつつあるブランドを日本で取り扱うことができています。
2点目は商業施設向けに販路を広げている点です。主に国内のラグジュアリーホテルに導入してもらうことで、Sertaブランドの知名度の向上に伴う購入動機を発掘しています。現在ホテルオークラ東京やヒルトン系をはじめとした人気高級ホテルに採用されています。
今回上場に至った経緯としては、20年ほど前より公開企業となるべく組織改革を行なってきた矢先の2017年に創業者が急逝したことから、パブリックな会社にしていくための方法としてIPOを選択した模様です。
2016年3月期 | 2017年3月期 | 2018年3月期 | 2019年3月期 | 2020年3月期 | |
売上高(百万円) | 9,288 | 9,235 | 9,235 | 10,205 | 10,035 |
経常利益(百万円) | 1,052 | 919 | 560 | 503 | 469 |
当期純利益(百万円) | 612 | 621 | 239 | 285 | 332 |
純資産額 (百万円) | 1,727 | 2,357 | 2,592 | 2,860 | 1,666 |
BPS(円) | 17,929 | 24,500 | 26,950 | 1,487 | 659 |
EPS(円) | 6,377 | 6,476 | 2,487 | 149 | 164 |
自己資本比率(%) | 24 | 33 | 37 | 42.4 | 25.1 |
ROE(%) | 42.6 | 30.4 | 9.6 | 10.5 | 14.6 |
配当性向(%) | – | – | – | – | – |
業績はまずまずといったところです。売上高は比較的横ばいを続けていますが、利益面は減益の一途を辿っています。ただし、2019年3月期から2期間は戦略的投資を行なっていた結果、利益が減少しているとのことで、今後は戻してくる見込みであるとのことです。
尚、2021年3月期3Q(2020年12月)の売上高は6,539百万円、経常利益は468百万円と推移しており、利益面は前期末程度と回復を見せています。
配当は直前期では無配でしたが、上場後は内部留保確保を優先しつつも配当を出していく方針です。
公募株数 | 総数1,715,800株 (内、公募860,000株、売出855,800株) |
OA分 | 257,300株 |
発行済み株数 | 4,152,820株 |
想定価格 | 1,400円(100株単位:14万円) |
仮条件 | 1,400円 ~1,460円 |
初値予想 | 1,200円 ~1,500円 |
想定PER | 約18倍 |
想定PBR | 約2倍 |
配当利回り | なし |
想定時価総額 | 58億円 |
今回の上場にあたっての吸収金額は28億円で、時価総額が58億円と東証2部上場銘柄としては中型案件です。業績面でも大きな成長が見られず、地味な業界ということもあり公募割れリスクが高いでしょう。
株主名 | 保有割合 | ロックアップ |
ブルーインベストメント投資事業有限責任組合 | 21.26% | 90日間or1.5倍 |
(株)広島銀行 | 19.90% | 90日間or1.5倍 |
ドリームベッド従業員持株会 | 11.78% | 継続保有 |
(株)もみじ銀行 | 8.07% | 90日間or1.5倍 |
渡辺 靖子 | 8.05% | 90日間 |
三宅 尚子 | 8.05% | 90日間 |
小出 克己 | 4.49% | 90日間 |
(株)商工組合中央金庫 | 4.01% | 90日間or1.5倍 |
(株)山陰合同銀行 | 3.04% | 継続保有 |
光正 明義 | 1.52% | 90日間 |
同社の株主構成ですが、筆頭株主はメインバンクである広島銀行系ファンド「ブルーインベストメントファンド」で21%程度を保有しています。その他、広島銀行を他金融機関が株式を保有する他、創業家や役員・従業員が株式を保有しています。
今回の売出は、ブルーインベストメントファンドと広島銀行、もみじ銀行の3者で、計855,800株の売出となります。
今回は公募で11億円の資金調達を行い、調達資金は全額八千代第一工場の新設及び増改築に充てる予定です。
尚、大株主には90日及び公募価格1.5倍のロックアップ、継続保有の制限がかかっていますが、金融機関等は経過を見て売却するリスクがあるため、上場後もエグジットリスクには注意が必要です。
今回は公募が売出をやや上回る資金調達案件ですが、支援した金融機関のエグジットの印象が強いため、業種柄公募割れの可能性が極めて高い状況です。
どうやって&どこで新規上場銘柄を買えるの?
今回の「ドリームベット」の取り扱い証券会社を以下にまとめましたので参考にしてください。
割当率 | 株数 | ||
主幹事 | 野村證券 | 91.31% | 1,801,700株 |
幹事 | ひろぎん証券 | 3.48% | 68,600株 |
みずほ証券 | 1.74% | 34,300株 | |
SMBC日興証券 | 1.74% | 34,300株 | |
東洋証券 | 0.87% | 17,100株 | |
SBI証券 | 0.87% | 17,100株 |
今回の主幹事は野村證券が主幹事を務めます。その他ひろぎん証券を含めた5社が幹事を務めます。
著者のまとめ
広島の企業によるIPOですが、大株主や役員が広島銀行系の面々が揃っているなど、組織的なエグジット案件という印象から初値高騰の可能性は極めて低いでしょう。また利益率の改善がまだの現状での上場は公募割れに十分覚悟して臨む方が良いでしょう。