2020年8月3日に東証マザーズ市場へ上場する「モダリス」について概要と期待度を見ていきたいと思います。
モダリスの上場日は!?期待度は?
企業名 |
モダリス |
上場市場 |
東証マザーズ |
銘柄コード |
4883 |
事業内容 |
コアとなるプラットフォーム技術である『切らないCRISPR技術』を用いた遺伝子治療薬の研究開発 |
所在地 |
東京都中央区 |
設立 |
2016年 |
従業員 |
16名 |
会社HP |
https://www.modalistx.com/ |
監査法人 |
あずさ |
上場日 |
2020年8月3日(月) |
主幹事 |
みずほ証券 |
BB期間 |
2020年7月14日(火)~ 2020年7月20日(月) |
価格決定日 |
2020年7月21日(火) |
購入申込期間 |
2020年7月22日(水)~ 2020年7月29日(水) |
同社はゲノム編集技術を活用した新薬開発を行う創薬ベンチャーです。
東大発のベンチャー企業で、「遺伝子疾患」を原因とした希少疾患の治療薬開発に特化しており、引き続き高い期待を寄せられている業界の一社です。市場からの期待も高い会社の上場です。
どんなことをしている会社なの?
(参照:https://www.modalistx.com/jp/)
同社は2016年に東大卒でバイオ医薬品研究の実績を有した森田晴彦現CEOによって設立された会社です。森田CEOは複数のバイオテック企業の設立に関わった実績を持つシリアルアントレプレナーです。
同社が手掛けるのは、たくさんの疾病の中でも「遺伝子疾患」に対する創薬です。人間の疾患は約10,000と言われていますが、その内7,000は希少疾患に分類され、治療法が確立されていないのが実情です。
特に遺伝子疾患は希少疾患に属することが多く、人間の遺伝子配置によって症状が異なるなど、世界で約4億人の方が遺伝子疾患で悩んでいると言われています。通常製薬メーカーの場合、「採算を取れる」ために疾患数の多い症状にフォーカスした創薬を行うため、希少疾患向け創薬は避けられる傾向にあります。
しかし、希少疾患にこそ創薬業界において拡大余地があるということで、同社はゲノム編集技術「CRISPR」を活用した創薬に取り組んでいます。
CRISPRとは、異常型配列のDNAを正常なものに戻す治療のことで、同社は独自の創薬プラットフォームシステム「CRISPR-GNDM」を開発し、通常のゲノム編集治療に比べても早期に安全、そして転用が可能な創薬開発を実現しています。
通常の創薬では、多額の研究開発費が必要となり、かつ成功する確率も高くないなど、多くのリスクが顕在化していますが、同社の場合はベースを活用した創薬が開発なモデルであるため、早く収益化に目途が立ちやすいビジネスモデルを作り上げています。
上場時点で、協業が5本、自社が2本のパイプラインが進行中で、臨床試験前ですが着実に実績を伸ばしている状況です。上市のタイミングでは見込まれた収益の実現が可能となります。
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2016年12月期 |
2017年12月期 |
2018年12月期 |
2019年12月期 |
売上高(百万円) |
– |
18 |
65 |
645 |
経常利益(百万円) |
△46 |
△141 |
△213 |
146 |
当期純利益(百万円) |
△46 |
△142 |
△218 |
141 |
純資産額 (百万円) |
64 |
1,422 |
1,202 |
3,843 |
BPS(円) |
507 |
△389 |
△15 |
153 |
EPS(円) |
△367 |
△1,029 |
△11 |
6 |
自己資本比率(%) |
94.4 |
99.1 |
98.2 |
97.6 |
ROE(%) |
– |
– |
– |
5.6 |
配当性向(%) |
– |
– |
– |
– |
業績は急拡大期にあるといえます。2016年に設立したばかりなので、売上および利益共に発展途上にありますが、2019年12月期ではライセンス契約による売上増もあり、経常利益が黒字になっています。尚、2020年12月期1Q(2020年3月末)の売上高は13百万円、経常利益は117百万円の赤字となっており、ここからの事業成功が不可欠な状況です。
配当はこれまで無配で、上場後も内部留保を確保するため当面無配方針です。
公募株数 |
総数2,700,000株 (内、公募2,100,000株、売出600,000株) |
OA分 |
405,000株 |
発行済み株数 |
27,200,000株 |
想定価格 |
820円(100株単位:8万円) |
仮条件 |
1,000円~1,200円 |
初値予想 |
1,200円~2,000円 |
想定PER |
約159倍 |
想定PBR |
約4倍 |
配当利回り |
なし |
想定時価総額 |
223億円 |
今回の上場にあたっての吸収金額は25億円で、時価総額が223億円とマザーズ上場銘柄としては中規模案件です。上市が事業会社としてスタートラインに立つ創薬ベンチャー案件としては、同社はまだまだ課題が多いため、今後の展開に期待したいところです。
株主名 |
保有割合 |
ロックアップ |
(株)ライフサイエンスイノベーションマネジメント |
17.86% |
180日間 |
濡木 理 |
16.07% |
180日間 |
富士フイルム(株) |
8.39% |
90日間or1.5倍 |
ファストトラックイニシアティブ2号投資事業有限責任組合 |
8.39% |
90日間or1.5倍 |
SBIベンチャー投資促進税制投資事業有限責任組合 |
3.75% |
90日間or1.5倍 |
協創プラットフォーム開発1号投資事業有限責任組合 |
3.57% |
継続保有 |
片山 晃 |
2.86% |
継続保有 |
SMBCベンチャーキャピタル3号投資事業有限責任組合 |
2.68% |
90日間or1.5倍 |
Sosei RMF1投資事業有限責任組合 |
2.68% |
90日間or1.5倍 |
みずほ成長支援第2号投資事業有限責任組合 |
2.59% |
90日間or1.5倍 |
同社の株主構成ですが、創業者である森田社長が取締役を務める㈱ライフサイエンスイノベーションマネジメントが18%の株式を有する筆頭株主です。個人でも2%程度保有するオーナーです。2位の濡木氏は創業のきっかけとなる東大研究室の教授で、同社の社外取締役となっています。
その他は、富士フイルム等の事業会社やVCを中心とした株主構成で、中には著名個人投資家の片山晃氏も株主に名を連ねています。
今回の売出は森田社長を含めた16者で、60万株の売出を予定しています。
公募によって15.3億円の資金調達を実施し、新薬開発資金に充てる予定です。
大株主には180日もしくは90日及び公募価格1.5倍のロックアップ制限がかかっており、初値高騰後はエグジットリスクに晒されます。
今回は公募と売出を上回る資金調達案件で、上市に向けた研究開発を行うための資金調達といえます。創薬ベンチャーの場合は長期戦となるため、長い目線で見ていく必要があるでしょう。
どうやって&どこで新規上場銘柄を買えるの?
今回の「モダリス」の取り扱い証券会社を以下にまとめましたので参考にしてください。
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割当率 |
株数 |
主幹事 |
みずほ証券 |
78.26% |
2,430,000株 |
幹事 |
SBI証券 |
9.57% |
297,000株 |
SMBC日興証券 |
9.57% |
297,000株 |
|
いちよし証券 |
1.30% |
40,500株 |
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エース証券 |
1.30% |
40,500株 |
今回の主幹事はみずほ証券が主幹事を務めます。その他SBI証券を含む4社が幹事を務めます。
著者のまとめ
新型コロナウイルスに対する治療薬やワクチンが今時点でできていない状況下、製薬メーカーへの注目が高まっています。その中で上場してくる同社は非常に注目を集めることでしょう。初値高騰も期待できますが、長期的な目線で同社の動向を見ていきたいところです。