2017年12月13日に東証1部or2部市場へ上場する「SGホールディングス」について概要と期待度を見ていきたいと思います。
SGホールディングスの上場日は!?期待度は?
企業名 |
SGホールディングス |
上場市場 |
東証1部or2部市場 |
銘柄コード |
9143 |
事業内容 |
一般貨物自動車運送事業等を行うグループ会社の経営管理およびそれに付随する業務等 |
所在地 |
京都府京都市南区 |
設立 |
2006年 |
従業員 |
46185名 |
会社HP |
http://www.sg-hldgs.co.jp/ |
監査法人 |
トーマツ |
上場日 |
2017年12月13日(水) |
主幹事 |
大和証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券 |
BB期間 |
2017年11月27日(月)~2017年12月1日(金) |
価格決定日 |
2017年12月4日(月) |
購入申込期間 |
2017年12月5日(火)~2017年12月8日(金) |
会社名だけではぴんとこない方もいらっしゃると思いますが、「佐川急便」といったら多くの日本人は知っているでしょう。
同社は運送業「佐川急便」の持ち株会社として2006年に設立されました。佐川急便は国内大手の宅急便事業会社で、トップのヤマト運輸に次ぐ業界2位に位置しています。
業界大手では他に日本郵便がありますが、親会社である「日本郵政」はヤマト運輸の親会社の「ヤマトホールディングス」と共に東証1部にすでに上場しておりました。
今回未上場であった同社が万を辞して上場を決めました。2017年における最大の上場案件となることは間違いありません。
どんなことをしている会社なの?
純粋持株会社である同社は、連結子会社102社、持分法適用の関連会社9社により構成されており、「デリバリー事業」、「ロジスティクス事業」、「不動産事業」等の事業を中心にビジネスをしています。
中でも同社の主軸子会社「佐川急便」は運送業であるため荷主から届け先の顧客に荷物を届けるビジネスがメインとなります。主に法人顧客を荷主ターゲットとしている点は、業界大手のヤマト運輸と色が異なる点です。
荷主からの荷物の集荷はもちろんですが、予め受託を受け、同社の「デリバリー事業とロジスティックス事業」といった業界でも卓越した物流ソリューションを連携させ、荷受先まで届けるという物流サービスも展開しています。
同社の創業は1957年に佐川清によって京都に誕生した「有限会社佐川」が源流です。当時は京都・大阪間の運送を行っていました。そこから徐々に日本全国に物流インフラを拡大していきました。創業以来法人からの荷物の依頼を受け輸送する「特別積合せ事業」がメインでしたが、1998年に「飛脚宅急便」サービス開始と同時に宅急便業に進出しました。
平成29年9月時点でセールスドライバーが19000人以上を抱えており、全国の物流網を支えています。またセールスドライバーはただ荷物を運ぶだけではなく、荷主・荷受先のニーズや悩みについてヒアリングし、最適なリソースの提案をする一助を担っています。
また国内外に「流通加工センター」や「物流センター」、「倉庫管理センター」といった、最先端なロジスティックス施設を多数有しており、法人顧客の異なる配送先からの荷物を一度集めた上で一括配送を行う「スマート納品」や、企業から物流を一括で受託して各店舗等の配送を自社のロジスティックス施設を用いて行う「館内物流サービス」も行うなど、顧客の物流に対する悩みの解消に寄与しています。
また同社が有するロジスティックス施設等の不動産管理や他社への賃貸を通して不動産ビジネスも展開しています。
同業のヤマト運輸や日本郵便とは異なり、企業からの物流業務委託に大きな強みをもっている同社(from B)は、先進的ロジスティクスプロジェクトチーム「GOAL(GO Advanced Logistics)」という「顧客の物流課題解決に向けた提案活動を行うチーム」を結成し、持続的な成長を目指しています。デリバリーとロジスティックスを有効活用したソリューションの提供に努めています。
併せて同社は同業の「日立物流」と平成28年に資本業務提携を締結して、両社間でシナジー共有を行うなど業容拡大にも余念がありません。
持続的な成長のために海外進出についても積極的で、グローバル化する企業の現地法人まで同社で完結するための「ラストワンマイル・ネットワーク」構築にも高進度で進めているところです。
ただ、昨今の働き方改革等で運送業界の雇用問題が噴き出しており、同社もその範疇に属しています。しかしながら今回の上場を通し、より従業員の雇用条件の改善等に努めて行く姿勢が同社には見受けられます。
売上や成長性は?
同社の業績は成熟しているといえます。
売上について連結決算を導入した平成28年3月期より大幅に急増していますが、翌期は減収となっています。また利益についても売上と同様のことが言えます。社歴が長い会社であり、大企業ということもあり高い成長性は見込みくい部分は否めません。しかしながら単体における利益は5期連続で増益となっており、採算性の高いビジネスに転換している点は評価できるでしょう。
事業拡大はもちろんですが配当政策についても同社は積極的に行う予定です。今期は36円の配当を支払う予定で、3月と9月に支払う予定です。上場時にはすでに9月決算分は過ぎているため、3月配当は18円と予想されます。また連結配当性向については30%を目標としているため、配当取り銘柄としても魅力的でしょう。
公募株数 |
総数71,582,900株 (内、公募0株、売出71,582,900株) |
OA分 |
7,192,500株 |
発行済み株数 |
320,197,200株 |
想定価格 |
1,580円(100株単位・16万円) |
仮条件 |
未定 |
初値予想 |
1,550円~1,800円 |
想定PER |
約17倍 |
想定PBR |
約1.6倍 |
配当利回り |
約2.3% |
想定時価総額 |
5059億円 |
今回のIPOによって市場より吸収される金額が1244億円ほどで、市場に与えるインパクトは今年一大きい上場となります。公募株ゼロの完全な売り出しとなるため初値高騰は期待できません。一方で知名度の高い会社であるため安定株として購入する方も多いと考えられます。
大株主 |
保有割合 |
ロックアップ |
SGホールディングスグループ従業員持株会 |
27.03% |
180日間 |
新生興産(株) |
11.83% |
180日間 |
公益財団法人佐川美術館 |
7.56% |
180日間 |
栗和田 榮一 |
5.00% |
180日間 |
(株)三菱東京UFJ銀行 |
4.67% |
180日間 |
(株)三井住友銀行 |
3.94% |
180日間 |
三井住友海上火災保険(株) |
3.94% |
180日間 |
住友生命保険相互会社 |
3.94% |
180日間 |
佐川印刷(株) |
3.53% |
180日間 |
損害保険ジャパン日本興亜(株) |
3.19% |
180日間 |
同社株は非上場時から設置している従業員持ち株会が筆頭株主となります。第4位の栗和田榮一氏は同社の代表取締役会長であり、「新生興産株式会社」や「公益財団法人佐川美術館」、「佐川印刷株式会社」は同社の関連会社となっています。
その他大株主には銀行や保険会社等が名を連ねていますが、上場後180日ロックアップが掛かっているため、公募割れを起こす材料はあまりないと言えましょう。
売出はSGホールディングスグループ従業員持株会と元代表取締役の近藤宣晃氏の2者となっています。今回の総売出株式数は71,582,900株であり、国内および海外での売出となっています。内訳は国内売出分が 47,950,300株、海外売出分が23,632,600株を予定しています。最終的な内訳は12月4日に需給動向を踏まえて決定する予定です。
どうやって&どこで新規上場銘柄を買えるの?
今回の「SGホールディングス」の取り扱い証券会社を以下にまとめましたので参考にしてください。
|
証券会社名 |
割当率 |
株数 |
主幹事 |
大和証券 |
% |
株 |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 |
% |
株 |
|
幹事 |
SMBC日興証券 |
% |
株 |
みずほ証券 |
% |
株 |
|
野村證券 |
% |
株 |
今回は大和証券と三菱UFJモルガン・スタンレー証券が共同主幹事を獲得しております。また海外向けのグローバル・オファリングのジョイント・グローバル・コーディネーターも両社となっています。(大和証券とMorgan Stanley & Co. International(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の関係会社)が担当)
今回は比較的当選確率が高いため、申込みをするのであればどこの証券会社でもいいでしょう。特に主幹事2社では獲得が容易でしょう。
著者のまとめ
2017年の暮れにようやく今年の大型IPOがやってきました。日本人で知らない人はいないほどの運送会社である佐川急便の上場ということもあり、高い注目度が想定されます。
一方で12月13日はSGホールディングスを含めて4社同時上場日となるため、売買ボリュームが分散する可能性は否めません。公募株の上場はあまりいい印象を市場は受けないため大きな初値高騰は見込めないでしょう。
しかし現在運送業界は「物流クライシス」といわれるほど危機に瀕しているため、働き方の改善等の加減からも株価に対して高い評価を受ける可能性は秘めています。
2017年の暮れを締めくくる大型IPOの動向に目が離せません。
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