2017年12月12日に東証1部or 2部市場へ上場する「カチタス」について概要と期待度を見ていきたいと思います。
カチタスの上場日は!?期待度は?
企業名 |
カチタス |
上場市場 |
東証1部or2部市場 |
銘柄コード |
8919 |
事業内容 |
戸建ての空き家を中心に買い取り、リフォームにより再生して販売する中古住宅再生事業 |
所在地 |
群馬県桐生市 |
設立 |
1978年 |
従業員 |
668名 |
会社HP |
http://katitas.jp/ |
監査法人 |
トーマツ |
上場日 |
2017年12月12日(火) |
主幹事 |
大和証券 |
BB期間 |
2017年11月27日(月)~2017年12月1日(金) |
価格決定日 |
2017年12月4日(月) |
購入申込期間 |
2017年12月5日(火)~2017年12月8日(金) |
同社は中古住宅を入札や買取等にて入手し、リフォーム等を行い再度販売するという「中古住宅再生事業」を事業モデルとしている企業です。
今日の日本においては大都市一極集中傾向が高まっており、地方都市の過疎化がじわじわと進んでいます。それに伴い東京などに住んでいる子供が相続によって地方にある実家を受けたとしても、所有に困ってしまうというケースも見受けられます。
同社はそのような「少々難あり」の物件をリフォームやリノベーション等を通じて付加価値のついた中古物件として再販するというビジネスを川上から川下まで行っています。
これまで4万件以上の案件を手がけているなど、日本の「空き家対策」に貢献する企業であるといえます。
どんなことをしている会社なの?
CMでも見かけるようになった犬と鳥のキャラクターでおなじみの同社のビジネスモデルを見ていきます。
同社は大きなくくりで「不動産販売業」に属していますが、他社と大きく違う点は「中古再生住宅」に特化している点です。不動産販売というと、「新築物件の販売」か「顧客から受けた中古物件の販売」、「賃貸仲介」が出てきますが、同社のビジネスはこれらの概念を超越した「第4の不動産ビジネス」であるといえます。
同社はまず中古物件を調達します。調達にはまず相続や空き家になってしまった物件をお持ちの方から物件を購入する「買取仕入」と差し押さえ等で競売にかけられた物件を購入する「競売仕入」の大きく分けて2種類から物件調達を行います。空き家が全国的に増えているため年々仕入れ物件は増加しています。
その後「リフォーム」等を行い、新築そっくりなほどまで「商品化」のために動きます。その際にはシロアリ対策など物件引渡し後にトラブルにならないためにも万全の対策で利ドームを行っていきます。
その後その物件を「販売」していきます。元々は売却や処分に困っていた物件ですので、リフォームをしたとしても中古物件に比べても価格競争力のある物件になっています。特に新築の半額以下等になるため、若い世代でも家賃ほどの金額でマイホームを持てるということから、高い再販実績を有しています。
併せて上記のCM等を用いてイメージアップに努めています。
CM放映の結果、買取仕入件数が年々増加傾向にあり、同社ビジネスの入り口が大きく広がってきているといえます。
リフォームした物件ですが、上記のように前後では新築のような違いが生まれるほどの高いデザイン性を誇ります。
これらの物件は自社サイトでの掲載はもちろんですが、他社の不動産サイトにも掲載されており、リフォーム中であっても買い手が多く付くという喜ばしい状態となっています。
平成29年9月末現在、全国に123店舗を有しており、地方を中心に開拓事業を展開しています。
同社は1978年に群馬県で石材業として創業した「株式会社やすらぎ」が発端となっており、以後不動産業を営んでいました。1998年の法改正を期に現在のビジネスモデルに転換し、2004年に名証セントレックス市場に上場しました。
しかしながらリーマンショック等を経験し経営難に陥った同社は、事業分割等を行いながら2012年に上場廃止となりました。その上で業容を回復させ今回再上場に至りました。
同社は2017年に家具大手のニトリホールディングスと資本業務提携を締結し、相互に協力的な関係を結ぶなど、将来性に期待できるといえましょう。
売上や成長性は?
同社の業績は成熟しているといえます。
売上について連結決算を導入した平成28年3月期を含めて横ばいを続けています。一方利益については5期連続で増益を記録しています。社歴は長いですが、高い成長を続けているといえます。
配当政策については積極的に行う予定です。連結配当性向については30%を目標としているため、配当取り銘柄としても魅力的でしょう。前期は1株につき821円の配当を出していました。平成29年9月22日付けで1対30の株式分割を行っているため、27円の配当を出していたと想定できます。想定価格が1640円となっているため、前期の配当利回りは1.6%です。
公募株数 |
総数21,056,300株 (内、公募0株、売出21,056,300株) |
OA分 |
1,969,000株 |
発行済み株数 |
39,325,320株 |
想定価格 |
1,640円(100株単位・17万円) |
仮条件 |
未定 |
初値予想 |
1,600円~1,900円 |
想定PER |
約18倍 |
想定PBR |
約5.7倍 |
配当利回り |
約1.6% |
想定時価総額 |
644億円 |
今回のIPOによって市場より吸収される金額が377億円ほどで、市場に与えるインパクトは比較的大きい上場となります。併せて公募株ゼロの完全な売り出しとなるため初値高騰は期待できないでしょう。
大株主 |
保有割合 |
ロックアップ |
(株)ニトリホールディングス |
31.80% |
180日間 |
投資事業有限責任組合アドバンテッジパートナーズIV号・適格機関投資家間転売制限付分除外少人数投資家向け |
23.10% |
180日間 |
SMS AIV Unlimited Company |
15.10% |
180日間 |
Japan Ireland Investment Partners Unlimited Company |
14.00% |
180日間 |
(株)カチタス |
6.40% |
|
新井 健資 |
1.80% |
180日間 |
フォーティースリー投資組合 |
1.50% |
180日間 |
AP Cayman Partners II,L.P. |
1.10% |
180日間 |
星山 敏秀 |
0.90% |
|
横田 和仁 |
0.30% |
180日間 |
同社は再上場案件となるため、いくつかのファンドが大株主として存在しています。第2位、3位、4位、7位、8位に入っているファンドが今回の売り出しに参加しているため、ファンドの資金化という点を毛嫌う投資家もいるでしょう。
一方で筆頭株主であるニトリホールディングスの保有比率は変わりませんので、引き続き同社のメインサポーターとして経営を牽引していくことを考えれば大きな公募割れは考えにくいです。
売出は大株主のファンド5社となっています。今回の総売出株式数は21,056,300株であり、国内および海外での売出となっています。内訳は国内売出分が 13,128,900株、海外売出分が7,927,400株を予定しています。最終的な内訳は12月4日に需給動向を踏まえて決定する予定です。
どうやって&どこで新規上場銘柄を買えるの?
今回の「カチタス」の取り扱い証券会社を以下にまとめましたので参考にしてください。
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証券会社名 |
割当率 |
株数 |
主幹事 |
大和証券 |
% |
株 |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 |
% |
株 |
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みずほ証券 |
% |
株 |
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幹事 |
SMBC日興証券 |
% |
株 |
岩井コスモ証券 |
% |
株 |
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エース証券 |
% |
株 |
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SBI証券 |
% |
株 |
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岡三証券 |
% |
株 |
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マネックス証券 |
% |
株 |
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水戸証券 |
% |
株 |
今回は大和証券と三菱UFJモルガン・スタンレー証券、みずほ証券の3社が共同主幹事を獲得しております。また海外向けのグローバル・オファリングのジョイント・グローバル・コーディネータは3社とシティグループが引き受けとなっています。
今回は比較的当選確率が高いことが想定されますが、申込みを考えるであれば主幹事の大和証券かネット証券のマネックス証券かSBI証券あたりが当選の確率は高いでしょう。
著者のまとめ
2017年12月はIPOラッシュが続きます。それに伴い市場の資金需要がどのように動くかは正直不透明な部分があります。
12月12日の同社上場日は一家ダイニングプロジェクトとの同時上場となるため、両社を比較されてしまう可能性が高いです。特に同社は東証1部か2部を予定しているため、活発な売買はあまり見込めないといえます。
しかしながら、同社のビジネスは「地方創生」、「空き家対策」という観点で非常に注目される銘柄ですので、上場後の大口の買いが入る可能性は十分高いでしょう。
新しい価値を生み出そうとしている同社の株価に注目したいです。