2018年6月26日に東証1部市場へ上場する「国際紙パルプ商事」について概要と期待度を見ていきたいと思います。
国際紙パルプ商事の上場日は!?期待度は?
企業名 |
国際紙パルプ商事 |
上場市場 |
東証1部or2部市場 |
銘柄コード |
9274 |
事業内容 |
国内外における紙パルプ卸売業 |
所在地 |
東京都中央区 |
設立 |
1924年 |
従業員 |
1008名 |
会社HP |
http://www.kppc.co.jp/ |
監査法人 |
新日本 |
上場日 |
2018年6月26日(火) |
主幹事 |
みずほ証券 |
BB期間 |
2018年6月7日(木)~2018年6月13日(水) |
価格決定日 |
2018年6月14日(木) |
購入申込期間 |
2018年6月18日(月)~2018年6月21日(木) |
同社は創業90年以上の老舗紙パルプ卸売企業です。
製紙業界大手の王子ホールディングスを中心に紙パルプを仕入れ、国内外に販売するという卸売事業が主軸となっています。
将来性が期待される企業のIPOが多い中不人気の業種が上場してくるため、少々心配なIPOであると言えます。
どんなことをしている会社なの?
(参照:http://www.kppc.co.jp/ja/service/product/printing.html)
同社は1924年に大阪で創業し、当時より紙製品の販売を行ってきました。現在の事業は王子ホールディングス等の製紙会社から紙パルプを仕入れて、新聞や包装紙向け、ダンボール向けに卸売事業を行っています。
現在国内売上比率が8割で、残り2割は海外売り上げで、アジア向けが中心となっています。紙パルプ卸以外に不動産賃貸事業を行っています。
その他小売店に古紙回収ボックスを設置し、買い物ポイントと交換できるサービス「タウンecomo」や、紙のECサイト「Papermall(ペーパーモール)」を運営するなど、紙需要が減少していると言われている現代においての生き残り策を模索しています。
今後は紙卸事業では経営が成り立っていかないという危機感から、国内事業の再編と他業種を含めたM&Aによる海外事業強化によって事業拡大を目指しており、今回のIPOはその戦略に向けた一つの動きと言えます。
売上や成長性は?
|
2013年3月期 |
2014年3月期 |
2015年3月期 |
2016年3月期 |
2017年3月期 |
売上高(百万円) |
327,512 |
375,098 |
387,594 |
389,678 |
366,777 |
経常利益(百万円) |
2,147 |
3,013 |
1,957 |
1,853 |
1,114 |
当期純利益(百万円) |
5 |
2,032 |
1,126 |
1,215 |
2,215 |
純資産額 (百万円) |
34,132 |
38,300 |
41,281 |
40,969 |
44,044 |
BPS(円) |
510 |
573 |
618 |
614 |
660 |
EPS(円) |
0 |
31 |
17 |
18 |
33 |
自己資本比率(%) |
19 |
20.9 |
21 |
22.1 |
23.8 |
ROE(%) |
0 |
5.6 |
3 |
3 |
5.2 |
配当性向(%) |
241.0 |
22.5 |
72.8 |
66.6 |
21.2 |
同社の業績推移ですが、売上高、利益共に目を見張るものはありません。上場後の2019年3月期の決算期は増収減益を予想しており、IPOとしては魅力が薄いと言わざるを得ません。配当政策は年1回の配当を予定しており、前期の配当性向は21.2%です。配当としては2%程度の配当利回りが期待できそうです。
公募株数 |
総数7,000,000株 (内、公募7,000,000株、売出0株) |
OA分 |
1,050,000株 |
発行済み株数 |
74,027,406株 |
想定価格 |
2,570円(100株単位・26万円) |
仮条件 |
314円~344円 |
初値予想 |
300円~350円 |
想定PER |
約12倍 |
想定PBR |
約0.6倍 |
配当利回り |
約2% |
想定時価総額 |
254億円 |
今回の上場にあたっての吸収金額は28億円と中規模で、時価総額254億円と東証1部直接上場ですので初値高騰は期待できません。業種から初値割れも覚悟が必要かもしれません。
株主名 |
保有割合 |
ロックアップ |
王子ホールディングス(株) |
18.90% |
90日間or1.5倍 |
日本製紙(株) |
10.05% |
90日間or1.5倍 |
(株)みずほ銀行 |
4.24% |
90日間or1.5倍 |
(株)三菱UFJ銀行 |
3.89% |
90日間or1.5倍 |
(株)三井住友銀行 |
3.89% |
90日間or1.5倍 |
農林中央金庫 |
3.89% |
90日間or1.5倍 |
国際紙パルプ商事従業員持株会 |
3.86% |
|
北越紀州製紙(株) |
3.74% |
90日間or1.5倍 |
三菱UFJ信託銀行(株) |
3.23% |
90日間or1.5倍 |
三井住友海上火災保険(株) |
2.71% |
90日間or1.5倍 |
同社は仕入れ先である王子ホールディングスと日本製紙の2社が筆頭株主となっており、その他メガバンクを含めた銀行、保険会社が大株主となっています。オーナー企業ではない点もIPOとしての妙味を削ぐ要因です。
売出はゼロで、全て公募という形を取っています。
公募によって調達する22億円は設備更新と借入金返済に充てられる予定です。
どうやって&どこで新規上場銘柄を買えるの?
今回の「国際紙パルプ商事」の取り扱い証券会社を以下にまとめましたので参考にしてください。
|
|
株数 |
割当率 |
主幹事 |
みずほ証券 |
6,020,000株 |
86.0% |
幹事 |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 |
350,000株 |
5.0% |
SMBC日興証券 |
350,000株 |
5.0% |
|
岡三証券 |
140,000株 |
2.0% |
|
いちよし証券 |
70,000株 |
1.0% |
|
SBI証券 |
70,000株 |
1.0% |
今回は大株主にも名を連ねているみずほ銀行系証券のみずほ証券が主幹事です。今回はメガバンク系証券中心となっています。
人気は低いことが想定されますので、当選しやすいでしょう。
著者のまとめ
ここ数年のIPOの中でも一番魅力が薄い業種の上場となります。業界縮小傾向であるのにも関わらず、非オーナー系、業績まちまち、ALL公募、借入金返済を公募資金で賄うと行った不人気と言われても文句が言えない上場案件です。
銀行系証券の提案かわかりませんが、個人投資家としては公募株を受け取りたくないと思ってしまう案件のため、筆者としては参加しません。上場後にはPER、PBR共に割安のため安値をつけたところでは上値を狙えるかもしれません。
機関投資家を中心に案件をさばいて捌いてくれることを期待しています。