2019年8月9日に東証マザーズ市場へ上場する「ステムリム」について概要と期待度を見ていきたいと思います。
ステムリムの上場日は!?期待度は?
企業名 |
ステムリム |
上場市場 |
東証マザーズ市場 |
銘柄コード |
4599 |
事業内容 |
医薬品・医療機器および遺伝子治療など製品の研究、開発、製造、販売 |
所在地 |
大阪府茨木市 |
設立 |
2006年 |
従業員 |
20名 |
会社HP |
https://stemrim.com/ |
監査法人 |
EY新日本 |
上場日 |
2019年8月9日(金) |
主幹事 |
SMBC日興証券 |
BB期間 |
2019年7月25日(木)~2019年7月31日(水) |
価格決定日 |
2019年8月1日(木) |
購入申込期間 |
2019年8月2日(金)~2019年8月7日(水) |
同社は再生誘導医薬品の開発を行うバイオベンチャー企業です。
一時よりはブームが過ぎたバイオベンチャーですが、iPS細胞等の再生医療と同等の治療効果が見込める再生誘導医薬品の開発を行っており、特色のある銘柄となりそうです。
どんなことをしている会社なの?
(参照:https://stemrim.com/about/)
同社は2006年に、大阪大学医学部の玉井克人教授らが中心となって骨髄多能性幹細胞動員因子を医薬品として開発する目的で設立されました。
同社は「再生誘導医薬」の開発に取り組んでいます。ノーベル賞を受賞したiPS細胞など生きた細胞の投与によって治療を行う「再生医療」と比べ、生きた細胞を必要とせず簡便かつ安全に治療できる「再生誘導医薬」の開発によって、普及可能な再生医療方法の一端を担う目的があります。
玉井教授を中心に行ってきた研究によって発見された「骨髄由来間葉系幹細胞の損失組織への集積による組織再生誘導メカニズム」を活用し、これまでの医療では対応できなかった重度の疾患に対する治療薬の開発に努めています。
現在5プロジェクト7本のパイプラインが走っており、第Ⅱ相試験中が2本、準備中が1本となっています。国内の再生医療市場予測では、2020年950億円で2050年2.5兆円と拡大が予想されており、将来的な期待を持てる環境にあります。
売上や成長性は?
|
2014年7月期 |
2015年7月期 |
2016年7月期 |
2017年7月期 |
2018年7月期 |
売上高(百万円) |
228 |
269 |
597 |
300 |
200 |
経常利益(百万円) |
△64 |
△126 |
240 |
△157 |
△327 |
当期純利益(百万円) |
△44 |
△115 |
201 |
△124 |
△324 |
純資産額 (百万円) |
229 |
914 |
1,115 |
991 |
1,872 |
BPS(円) |
2,109 |
7,733 |
9,437 |
28 |
47 |
EPS(円) |
△398 |
△976 |
1,703 |
△4 |
△8 |
自己資本比率(%) |
64.8 |
92.5 |
88.7 |
95 |
97.3 |
ROE(%) |
– |
– |
19.8 |
– |
– |
配当性向(%) |
– |
– |
– |
– |
– |
業績については、引き続き開発中ということもあり低調な推移です。バイオベンチャーの場合、事業会社からの資金供給や共同プロジェクト締結による契約金等が売上高となるため、実質まだ売り上げが発生している状況ではありません。配当政策は、赤字かつ研究開発優先のため無配を予定しています。
公募株数 |
総数8,400,000株 (内、公募8,100,000株、売出300,000株) |
OA分 |
1,260,000株 |
発行済み株数 |
50,282,700株 |
想定価格 |
850円(100株単位・9万円) |
仮条件 |
1,000円~1,700円 |
初値予想 |
2,050円~3,000円 |
想定PER |
なし |
想定PBR |
約8倍 |
配当利回り |
なし |
想定時価総額 |
427億円 |
今回の上場にあたっての吸収金額は130億円で、時価総額が679億円とマザーズ上場サイズの中では比較的大きい上場案件です。
時価総額が約700億円である一方、売上が2億円と相当過大な株価評価をうけています。従って公募割れを覚悟する必要がある案件といえましょう。
株主名 |
保有割合 |
ロックアップ |
玉井 克人 |
19.78% |
180日間 |
玉井 佳子 |
10.17% |
180日間 |
冨田 憲介 |
9.47% |
180日間 |
大久保 俊幸 |
8.76% |
180日間 |
(株)SMBC信託銀行 信託口08900027 |
5.37% |
180日間 |
山﨑 尊彦 |
5.09% |
180日間 |
みやこ京大イノベーション投資事業有限責任組合 |
4.60% |
継続保有 |
大阪バイオファンド投資事業有限責任組合 |
4.58% |
180日間 |
大和日台バイオベンチャー投資事業有限責任組合 |
4.40% |
継続保有 |
金崎 努 |
3.98% |
180日間 |
同社の大株主は発起人でもある玉井教授で同社株の19.8%を有しています。また2位は奥様で同じく再生医療研究を行う玉井佳子弘前大医学部教授で、10.2%の株式を有します。
その他現経営陣や従業員が株式を有しています。複数のバイオベンチャー投資ファンド等の資金を集めて研究開発を行っていきましたが、今後は市場からの資金供給を受け研究開発に取り組む予定です。
売出は取締役の山崎氏を含めた計2者で30万株の売出です。
大株主の大半には180日もしくは継続保有の条件が付いています。ただし、一部VCにはロックアップが掛かっておらず、上場後にエグジットのリスクは十分にあります。
公募では101億円の資金調達を行い、動物実験施設や研究所の設立資金、パイプライン研究費、人材確保のための人件費等に充てられる予定です。
資金調達が大きいIPOですが、事業としてはまだ研究段階であるため収益化までには相当な時間がかかります。従って現状のバリュエーションでは割高過ぎるため公募割れが予想されます。
どうやって&どこで新規上場銘柄を買えるの?
今回の「ステムリム」の取り扱い証券会社を以下にまとめましたので参考にしてください。
|
|
割当率 |
株数 |
主幹事 |
SMBC日興証券 |
–% |
–株 |
幹事 |
大和証券 |
–% |
–株 |
野村證券 |
–% |
–株 |
|
みずほ証券 |
–% |
–株 |
|
SBI証券 |
–% |
–株 |
|
いちよし証券 |
–% |
–株 |
|
岡三証券 |
–% |
–株 |
|
楽天証券 |
–% |
–株 |
|
西村証券 |
–% |
–株 |
今回の主幹事はSMBC日興証券が主幹事を務めます。その他大和証券を含め8社が幹事会社として名を連ねています。獲得はしやすい案件です。
著者のまとめ
仮条件時点で、想定価格を3,050円から850円まで引き下げ、売出株を減らすなど動きが起きており、やや印象はよくありません。期待されるバイオベンチャー企業ですが、目先の投資に値するとは言い切れず、消極参加の方が無難でしょう。
公募割れも意識する必要がある案件です。