2019年9月24日に東証マザーズ市場へ上場する「HPCシステムズ」について概要と期待度を見ていきたいと思います。
HPCシステムズの上場日は!?期待度は?
| 企業名 | HPCシステムズ | 
| 上場市場 | 東証マザーズ市場 | 
| 銘柄コード | 6597 | 
| 事業内容 | 科学・工学向け高性能コンピュータのソリューション提供 | 
| 所在地 | 東京都港区 | 
| 設立 | 2006年 | 
| 従業員 | 86名 | 
| 会社HP | https://www.hpc.co.jp/ | 
| 監査法人 | 太陽 | 
| 上場日 | 2019年9月26日(木) | 
| 主幹事 | SMBC日興証券 | 
| BB期間 | 2019年9月9日(月)~2019年9月13日(金) | 
| 価格決定日 | 2019年9月17日(火) | 
| 購入申込期間 | 2019年9月18日(水)~2019年9月24日(火) | 
同社は科学技術・産業機械向けの高性能コンピュータ開発製造販売を行う会社です。
IoT時代において高速計算ができるコンピュータを求められているため、同社への注目が集まっています。AI時代には欠かせない高性能コンピュータの開発をする同社のIPOには注目したいところです。
どんなことをしている会社なの?
(参照:https://www.hpc.co.jp/product/)
同社は2006年に「株式会社エッチ・アイ・ティー」と「プロサイド株式会社」より分社し設立されました。創業来、「High Performance Computer」いわゆるスーパーコンピュータ(以下、HPC)の設計・製造・販売を行っています。
その中で、同社のHPCは、科学技術を「計算」によって解決する「計算科学」をベースに、「理論化学」の問題を取り扱える「計算化学」の分野に強みを持っています。
特に、生命科学や材料科学の分野が重要事業領域として、大手企業との付き合いを深めています。
HPCの開発には、クライアントの膨大な情報をシステム化し、クライアントの要望に合わせたアーキテクチャに構築することが求められ、高い専門性が求められます。同社はこれらの技術を持ち合わせていることで、多くのクライアントの要望に応えたHPCの開発ができています。
近年はクラウド化やAI技術の発展もあり、同社HPCにも導入することでクライアントのニーズをとらえています。
具体的な事例としては、2017年にヤフーへ納品したディープラーニング活用に特化したHPC「kukai(クウカイ)」が挙げられ、スパコン省エネ性能ランキングで世界2位を獲得しています。
売上や成長性は?
| 
 | 2014年6月期 | 2015年6月期 | 2016年6月期 | 2017年6月期 | 2018年6月期 | 
| 売上高(百万円) | 370 | 2,587 | 2,896 | 3,901 | 4,053 | 
| 経常利益(百万円) | △33 | 114 | 75 | 254 | 292 | 
| 当期純利益(百万円) | △30 | 42 | 39 | 163 | 190 | 
| 純資産額 (百万円) | 396 | 440 | 480 | 643 | 833 | 
| BPS(円) | 49,011 | 54,403 | 59,384 | 159 | 206 | 
| EPS(円) | △3,730 | 5,248 | 4,826 | 40 | 47 | 
| 自己資本比率(%) | 33.5 | 34.5 | 40.5 | 37 | 41.2 | 
| ROE(%) | △7.3 | 10.2 | 8.5 | 29 | 25.7 | 
| 配当性向(%) | – | – | – | – | – | 
業績は順調に伸ばしています。売上高は2015年6月期より急激に伸び、利益も黒字化となりました。その後も順調に推移し、2019年6月期の3Q(2019年3月)時点で、売上高は4,522百万円、経常利益は428百万円となっています。配当は内部留保を優先するため無配としていますが、今後の業績次第では配当を出していく方針です。
| 公募株数 | 総数2,781,400株 (内、公募50,000株、売出2,731,4000株) | 
| OA分 | 417,100株 | 
| 発行済み株数 | 4,090,000株 | 
| 想定価格 | 1,930円(100株単位・19万円) | 
| 仮条件 | 1,930円~1,990円 | 
| 初値予想 | 2,800円~4,000円 | 
| 想定PER | 約41.6倍 | 
| 想定PBR | 約8.7倍 | 
| 配当利回り | なし | 
| 想定時価総額 | 79億円 | 
今回の上場にあたっての吸収金額は61.7億円で、時価総額が78.9億円とマザーズIPOでは中規模な案件です。時価総額に対し、流通する株式数が多い印象です。
| 株主名 | 保有割合 | ロックアップ | 
| TKTH投資事業有限責任組合 | 70.10% | 180日間 | 
| 菱洋エレクトロ(株) | 10.34% | 180日間 | 
| ナラサキ産業(株) | 6.41% | 180日間 | 
| 小野 鉄平 | 3.06% | 180日間 | 
| 椎名 訓子 | 1.03% | 
 | 
| (株)ハイアテック | 0.92% | 
 | 
| 長谷川 真樹 | 0.69% | 180日間 | 
| 関 浩行 | 0.65% | 180日間 | 
| 齋藤 正保 | 0.65% | 180日間 | 
| 廣石 昭彦 | 0.59% | 
 | 
同社の大株主は積極的なハンズオンを行うPEファンド会社トライハード・インベストメンツが運営する「TKTH投資事業有限責任組合」で、同社株の70.1%を有する大株主です。その他大株主は上場会社の菱洋エレクトロやナラサキ産業が保有し、上位3社で86%以上を保有する形です。
その他、同社取締役や従業員が株式を保有しています。
売出はTKTH投資事業有限責任組合のみで、現保有の約9割に当たる2,731,400株の売出です。大株主には180日のロックアップが掛かっております。売出によってTKTH投資事業有限責任組合は筆頭株主ではなくなります。
公募は0.8億円の資金調達で、ソフトウェア開発費やサーバー取得費、工場設備投資等に充当する予定です。
公募株より売出株の方が圧倒的に多い、ファンドエグジットIPOです。ただし、大株主であったTKTH投資事業有限責任組合のみの売出となる他、180日のロックアップが掛かっているため、上場後はある程度安定して値を進める可能性があります。
どうやって&どこで新規上場銘柄を買えるの?
今回の「HPCシステムズ」の取り扱い証券会社を以下にまとめましたので参考にしてください。
| 
 | 
 | 割当率 | 株数 | 
| 主幹事 | SMBC日興証券 | 91.51% | 2,588,900株 | 
| 幹事 | SBI証券 | 2.55% | 72,100株 | 
| みずほ証券 | 2.55% | 72,100株 | |
| 東海東京証券 | 1.70% | 48,000株 | |
| むさし証券 | 0.85% | 24,000株 | |
| 岩井コスモ証券 | 0.85% | 24,000株 | 
今回の主幹事はSMBC日興証券が主幹事を務めます。その他SBI証券を含めた5社が幹事を務めます。
著者のまとめ
スパコンやAIといったこれから企業が求めるものを早くより手掛けている同社の上場です。順調に業績を伸ばしたこともあり、引き続きの成長は十分に望めそうです。
一方、ファンドエグジットがメインのIPOであるため、初値高騰は難しいかもしれません。いずれにせよ上場後が楽しみな銘柄であると言えましょう。

 
						 
	        		             
	        		             
	        		             
	        		             
	        		             
	        		             
	        		            