2019年10月25日に東証マザーズ市場へ上場する「BASE」について概要と期待度を見ていきたいと思います。
BASEの上場日は!?期待度は?
企業名 |
BASE |
上場市場 |
東証マザーズ |
銘柄コード |
4477 |
事業内容 |
Eコマースプラットフォーム『BASE』およびオンライン決済サービス『PAY.JP』の運営など |
所在地 |
東京都港区 |
設立 |
2012年 |
従業員 |
126名 |
会社HP |
https://binc.jp/ |
監査法人 |
あずさ |
上場日 |
2019年10月25日(金) |
主幹事 |
大和証券、SBI証券 |
BB期間 |
2019年10月9日(水)~2019年10月16日(水) |
価格決定日 |
2019年10月17日(木) |
購入申込期間 |
2019年10月18日(金)~2019年10月23日(水) |
同社はEコマースプラットフォーム「BASE(ベイス)」やオンライン決済サービス「PAY.JP」事業等の開発・運営を行う会社です。
オンライン決済サービスなど人気の高い業界ですが、今回海外向けにも売出を行うなどマザーズ大型案件となるため、不人気になる可能性を秘めています。
どんなことをしている会社なの?
(参照:https://binc.jp/)
同社は現CEOの鶴岡裕大氏が2012年に弱冠22歳で設立された会社です。創業当時、Eコマースへの転換を進める企業が増えてきた中、中小零細のネットショップを開設しようとしている方々にとっては不便かつコストが割高になってしまう事象が起きていました。
そこで、同社は「誰でも、簡単に、デザイン性をもった」ネットショップを運営できるよう、Eコマースプラットフォーム「BASE」の提供を始めました。
BASEの特徴は、簡単にデザイン性を持ったネットショップを構築できる他、オンライン決済サービスを実装しているため、BASEを使うだけで簡単に販売および資金回収ができるという特徴を持っています。
特にオンライン決済サービスは自社決済サービスである「PAY ID」を提供しており、BASEを利用していない方でも、クレジットカードを登録すればQRコード決済を行うことができます。
PAY IDと合わせて、BASE利用クライアント以外でも、簡単にオンライン決済サービスを導入できる「PAY.JP」を提供しています。
BASEは2019年8月時点で80万ショップの利用クライアントを突破し、2年連続でネットショップ開設実績数1位を記録しています。
またPAY IDは250万人の利用ユーザーを抱え80万店舗以上でオンラインでの決済の他、オフラインによるQRコード決済を行える状況です。
今後は、零細ネットショップ向けに資金融通ができるような資金調達サービス「YELL BANK」を伸ばしていく方針です。
売上や成長性は?
|
2014年12月期 |
2015年12月期 |
2016年12月期 |
2017年12月期 |
2018年12月期 |
売上高(百万円) |
39 |
147 |
444 |
1,147 |
2,352 |
経常利益(百万円) |
△131 |
△297 |
△564 |
△1,261 |
△799 |
当期純利益(百万円) |
△131 |
△308 |
△567 |
△1,269 |
△855 |
純資産額 (百万円) |
403 |
95 |
1,328 |
1,561 |
1,737 |
BPS(円) |
△5,392 |
△22,453 |
△53,883 |
△311 |
△429 |
EPS(円) |
△7,271 |
△17,060 |
△31,431 |
△176 |
△118 |
自己資本比率(%) |
63.3 |
13.2 |
46.3 |
29.4 |
25 |
ROE(%) |
– |
– |
– |
– |
– |
配当性向(%) |
– |
– |
– |
– |
– |
業績は急激に伸ばしている状況です。売上高は直近5期間増収で急拡大しています。利益面は5期間とも赤字を計上しており、収益化までは至っていません。なお、2019年12月期の2Q(2019年6月)時点で、売上高は1,688百万円、経常利益は136百万円の赤字で、売上高は延びている一方赤字状態が続きます。配当は赤字状態ですので当面は内部留保優先で無配が予想されています。
公募株数 |
総数8,011,800株 (内、公募405,000株、売出7,606,800株) |
OA分 |
1,201,700株 |
発行済み株数 |
19,227,000株 |
想定価格 |
1,630円(100株単位・16万円) |
仮条件 |
1,150円~1,300円 |
初値予想 |
1,000円~1,800円 |
想定PER |
約-倍 |
想定PBR |
約14倍 |
配当利回り |
なし |
想定時価総額 |
313億円 |
今回の上場にあたっての吸収金額は150億円で、時価総額が313億円です。マザーズIPO銘柄としては大規模に該当する銘柄です。人気の業種ではあるものの、時価総額に対する吸収額が大きく初値は期待できません。
株主名 |
保有割合 |
ロックアップ |
鶴岡 裕太 |
21.13% |
180日間 |
グローバル・ブレイン6号投資事業有限責任組合 |
9.31% |
継続保有 |
(株)サイバーエージェント |
8.74% |
|
SBI Ventures Two(株) |
8.04% |
90日間or1.5倍 |
グローバル・ブレイン5号投資事業有限責任組合 |
7.71% |
90日間or1.5倍 |
(株)丸井グループ |
6.11% |
継続保有 |
(株)メルカリ |
6.02% |
90日間or1.5倍 |
Fin Techビジネスイノベーション投資事業有限責任組合 |
6.00% |
90日間or1.5倍 |
イーストベンチャーズ投資事業有限責任組合 |
5.52% |
90日間or1.5倍 |
(株)partyfactory |
5.08% |
90日間or1.5倍 |
同社の大株主は、創業者の鶴岡CEOで、同社株の21%を保有しています。その他はVCを始め、上場会社等幅広く投資されています。
今回の売出は鶴岡CEOを含めVC等22者で、約761万株の売出です。尚、売出者の中には、芸能人の田村淳氏も名を連ねています。芸能活動の傍ら若手経営者へのエンジェル投資を行っているようで、今回は保有株の半分を売出す予定です。
公募は6.5億円の資金調達で、事業拡大のためのサポートおよびマーケティング機能の増設にかかる費用、オフィス増床、広告宣伝費に充当する予定です。
今回は売出が圧倒的に多いエグジット案件です。また、今回は同時に海外投資家への売出を行うため、流動性が非常に高くなり初値高騰は見込めません。大株主には90日もしくは公募価格1.5倍のロックアップ制限がかかっていますが、株価推移によってはVCのエグジットが加速する可能性があります。
どうやって&どこで新規上場銘柄を買えるの?
今回の「BASE」の取り扱い証券会社を以下にまとめましたので参考にしてください。
|
|
割当率 |
株数 |
主幹事 |
大和証券 |
80.00% |
6,649,500株 |
SBI証券 |
13.04% |
1,084,200株 |
|
幹事 |
みずほ証券 |
2.83% |
234,800株 |
野村証券 |
1.30% |
108,400株 |
|
SMBC日興証券 |
0.87% |
72,200株 |
|
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 |
0.87% |
72,200株 |
|
いちよし証券 |
0.87% |
72,200株 |
|
極東証券 |
0.22% |
18,000株 |
今回の主幹事は大和証券とSBI証券が共同主幹事を務めます。その他みずほ証券を含めた6社が幹事を務めます。大手証券会社が名を連ねています。
著者のまとめ
上場前より噂があった会社で、市場の注目度は高いです。しかしながら売出株の多さや海外投資家への販売など、不人気になる条件を占めているため初値高騰は見込めないでしょう。
また想定価格を下回る公募価格となったため場合によっては初値割れのリスクもあります。直近Chatworkが初値割れを起こしているため、同社も影響があるでしょう。