2019年12月16日に東証マザーズ市場へ上場する「ランサーズ」について概要と期待度を見ていきたいと思います。
ランサーズの上場日は!?期待度は?
企業名 |
ランサーズ |
上場市場 |
東証マザーズ |
銘柄コード |
4484 |
事業内容 |
オンライン仕事マッチングサービス「Lancers」プラットフォームの運営 |
所在地 |
東京都渋谷区 |
設立 |
2008年 |
従業員 |
144名 |
会社HP |
https://www.lancers.co.jp/ |
監査法人 |
トーマツ |
上場日 |
2019年12月16日(月) |
主幹事 |
大和証券 |
BB期間 |
2019年11月29日(金)~2019年12月5日(木) |
価格決定日 |
2019年12月6日(金) |
購入申込期間 |
2019年12月9日(月)~2019年12月12日(木) |
同社はクラウドワーキングプラットフォーム「ランサーズ」を運営する会社です。
オンライン上でフリーランス等の受注者と仕事を依頼したい発注者をマッチングさせ、働き方を変えようとする取り組みを進めている会社です。IPOが噂をされていた1社が満を持しての上場です。
どんなことをしている会社なの?
(参照:https://www.lancers.co.jp/service/)
同社は2008年4月にニフティ出身の秋好陽介氏(現代表取締役社長)によって設立されました。秋好社長は学生時代からWebサイト受託開発等の経験があり、同社起業によってフリーランスのためのオンライン完結の仕事マッチングサービスを提供しようとしました。
2008年12月に同社の基幹サービスである「ランサーズ」をリリースし、クライアント数は33,000社で、登録しているランサー(受注者)に仕事を依頼する形を取っています。
同社のビジネスモデルは、仕事の依頼したい発注者と仕事を受けたい受注者をつなぎ、そこで発生する報酬の一部を得るというビジネスモデルです。
ランサーズの中でも事業は大きく分けて2つあり、「オンラインスタッフィングプラットフォーム」と「クラウドソーシング」があります。前者は特定のランサーに対して仕事を発注するもので、後者は不特定多数のランサーに仕事を依頼するものです。
業界の先駆けとして事業を拡大してきた同社は、AI等活用し、よりクライアントとランサーのマッチングに努めることで業容の拡大に努めようとしています。
働き方改革や副業が当たり前となってきた今日、業界内でも重要な位置づけにいる会社です。
売上や成長性は?
|
2015年3月期 |
2016年3月期 |
2017年3月期 |
2018年3月期 |
2019年3月期 |
売上高(百万円) |
572 |
1,336 |
1,859 |
1,911 |
2,522 |
経常利益(百万円) |
△311 |
△274 |
△227 |
△352 |
△94 |
当期純利益(百万円) |
△314 |
△276 |
△230 |
△354 |
△18 |
純資産額 (百万円) |
858 |
582 |
345 |
1,011 |
993 |
BPS(円) |
△4,448 |
△7,518 |
△10,148 |
△139 |
△141 |
EPS(円) |
△3,484 |
△3,071 |
△2,561 |
△39 |
△2 |
自己資本比率(%) |
56.1 |
37.5 |
19.5 |
42.5 |
42.3 |
ROE(%) |
– |
– |
– |
– |
– |
配当性向(%) |
– |
– |
– |
– |
– |
業績は順調に拡大しているものの収益化まで至っていない状況です。2018年3月期より連結決算が導入されましたが、売上高は5期連続増収。一方経常利益は直前期で18百万円のマイナスで、5期赤字が継続しています。2020年3月期2Q(2019年9月末)の売上高は1,548百万円、経常利益はマイナス218百万円と収益化までの道のりが長い状況です。配当は赤字状態であるため創業来無配で、当面も内部留保を確保のため無配としています。
公募株数 |
総数7,337,400株 (内、公募2,270,000株、売出5,067,400株) |
OA分 |
1,100,600株 |
発行済み株数 |
16,175,100株 |
想定価格 |
900円(100株単位・9万円) |
仮条件 |
660円~730円 |
初値予想 |
700円~850円 |
想定PER |
約-倍 |
想定PBR |
約5倍 |
配当利回り |
なし |
想定時価総額 |
145億円 |
今回の上場にあたっての吸収金額は76億円で、時価総額が145億円です。東証マザーズー上場銘柄としては、中規模サイズで吸収金額も大きく、赤字状態が続いている点はネガティブです。
株主名 |
保有割合 |
ロックアップ |
秋好 陽介 |
56.79% |
180日間 |
グロービス4号ファンド投資事業有限責任組合 |
8.97% |
|
KDDI(株) |
5.41% |
|
Globis Fund Ⅳ, L.P. |
5.24% |
|
パーソルホールディングス(株) |
4.90% |
180日間 |
GMO VenturePartners 3 投資事業有限責任組合 |
2.78% |
|
(株)新生銀行 |
2.10% |
180日間 |
AT-I投資事業有限責任組合 |
1.08% |
|
山田 勝 |
0.88% |
180日間 |
パーソルキャリア(株) |
0.86% |
|
同社の大株主は、創業者の秋好社長で、同社株の過半数越えの57%を保有しています。グロービスファンド等VCが多く出資しており、その他資本業務提携を行っているKDDIやパーソルキャリアが大株主としています。
今回の売出は複数のファンドや秋好社長を含めた11者で5,067,400株の売出です。
公募は20億円の資金調達で、広告宣伝費や人件費、オフィス移転費用や借入金の返済等に充当する予定です。一部の大株主には180日のロックアップ条項がついていますが、VC等にはついていないため、上場後のエグジットリスクが高いです。
今回は売出が公募よりも大きいエグジット案件となり、初値高騰が見込みにくい上場案件となります。5期連続赤字であるにもかかわらずオーナーの売出もあるため、市場からの評価は受けにくいでしょう。場合によっては公募割れのリスクもあります。
どうやって&どこで新規上場銘柄を買えるの?
今回の「ランサーズ」の取り扱い証券会社を以下にまとめましたので参考にしてください。
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|
割当率 |
株数 |
主幹事 |
大和証券 |
–% |
–株 |
幹事 |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 |
–% |
–株 |
楽天証券 |
–% |
–株 |
|
SMBC日興証券 |
–% |
–株 |
|
SBI証券 |
–% |
–株 |
|
マネックス証券 |
–% |
–株 |
|
松井証券 |
–% |
–株 |
|
岩井コスモ証券 |
–% |
–株 |
今回の主幹事は大和証券が主幹事を務めます。また三菱UFJモルガン・スタンレー証券を含めた7社が幹事を務めます。
著者のまとめ
働き方改革の中で注目されながらも上場が遅れていた同社の上場となります。ただし、5期連続赤字を出している現状大きく成長できるまでの体力が見いだせず、投資には消極的になりそうな案件です。上場後成長ができるかをも見守っていきたいところです。