2019年12月17日に東証マザーズ市場へ上場する「フリー」について概要と期待度を見ていきたいと思います。
フリーの上場日は!?期待度は?
企業名 |
フリー |
上場市場 |
東証マザーズ |
銘柄コード |
4478 |
事業内容 |
スモールビジネス向けクラウドERPサービスの提供 |
所在地 |
東京都品川区 |
設立 |
2012年 |
従業員 |
409名 |
会社HP |
https://corp.freee.co.jp/ |
監査法人 |
あずさ |
上場日 |
2019年12月17日(火) |
主幹事 |
大和証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券 |
BB期間 |
2019年12月3日(火)~2019年12月6日(金) |
価格決定日 |
2019年12月9日(月) |
購入申込期間 |
2019年12月10日(火)~2019年12月13日(金) |
同社は中小企業や個人事業主向けの会計ソフト「freee」を運営する会社です。
クラウド会計ソフトのシェアNo.1で、利用者数を順調に伸ばしています。かねてからの期待銘柄の上場案件となります。
どんなことをしている会社なの?
(参照:https://corp.freee.co.jp/service/)
同社は2012年に設立された会社です。創業者の佐々木大輔社長は、グーグルでアジアヘッドを務めたことのある方です。
同社はスモールビジネスの拡大に寄与するビジネスを提供することをミッションに、SaaSモデルのサービスを提供しています。
メインサービスは「クラウド会計ソフトfreee」です。中小企業や個人事業主向けに、インターネット上で会計処理や確定申告等が行えるサービスを提供し、2013年3月のサービス開始からクライアント数を伸ばしています。個人事業主に留まらず、有力スタートアップ企業500社の内、42%が利用するなど一定のシェアを獲得しています。
サービスの特徴は①簡単かつ自動化で使える点、②様々な付随作業を同時に実行できるバックオフィス能力、③経営者にとって重要な経営状況が可視化できるシステム、④他社ソフトとの連携が可能、いずれの点に特徴があります。
SaaSモデルで月額課金制であるため、解約がなければ毎月安定した収入を受けることができ、会員数が増えれば増えるほど業績が伸びるビジネスモデルです。
今後も引き続きスモールビジネスのためのプラットフォーム事業を拡大し、個人事業主や中小零細企業向けの金融事業を提供し、一気通貫のビジネスを展開する方針です。
売上や成長性は?
|
2015年6月期 |
2016年6月期 |
2017年6月期 |
2018年6月期 |
2019年6月期 |
売上高(百万円) |
216 |
569 |
1,202 |
2,415 |
4,517 |
経常利益(百万円) |
△983 |
△2,130 |
△2,206 |
△3,399 |
△2,851 |
当期純利益(百万円) |
△986 |
△2,139 |
△2,258 |
△3,406 |
△2,778 |
純資産額 (百万円) |
431 |
2,880 |
4,042 |
693 |
4,510 |
BPS(円) |
△139 |
△309 |
△465 |
△248 |
△288 |
EPS(円) |
△108 |
△200 |
△194 |
△93 |
△68 |
自己資本比率(%) |
59.5 |
81.8 |
77.3 |
19.4 |
56.8 |
ROE(%) |
– |
– |
– |
– |
– |
配当性向(%) |
– |
– |
– |
– |
– |
業績は順調です。freeeの広告宣伝やシステム開発のため赤字が続いていますが、売上高は年毎に倍増ペースで伸ばしています。2020年6月期1Q(2019年9月末)売上高は1,491百万円、経常損失は489百万円で、黒字化までの道は長いですが増収が見込まれています。もちろん配当は赤字が続いているため引き続き無配が予想されています。
公募株数 |
総数17,476,300株 (内、公募5,435,200株、売出12,041,100株) |
OA分 |
1,089,700株 |
発行済み株数 |
46,639,891株 |
想定価格 |
1,800円(100株単位・18万円) |
仮条件 |
1,800円~2,000円 |
初値予想 |
2,000円~2,500円 |
想定PER |
約-倍 |
想定PBR |
約9倍 |
配当利回り |
なし |
想定時価総額 |
839億円 |
今回の上場にあたっての吸収金額は334億円で、時価総額が839億円と東証マザーズ上場銘柄としては大型です。しかし知名度も高い会社ですので初値は公募価格を中心に動くことが想定されます。
株主名 |
保有割合 |
ロックアップ |
佐々木大輔 |
24.90% |
360日間 |
DCM VI, L.P. |
11.66% |
360日間 |
A-Fund, L.P. |
6.84% |
360日間 |
IVP Fund II A, L.P. |
5.04% |
180日間 |
(株)リクルート |
4.81% |
360日間 |
横路隆 |
4.75% |
360日間 |
LINE(株) |
4.42% |
180日間 |
Palace Investments Pte. Ltd. |
3.72% |
180日間 |
(株)SMBC信託銀行 (特定運用金外信託口 契約番号12100440 ) |
3.17% |
180日間 |
東後澄人 |
3.14% |
180日間 |
同社の大株主は、創業者である佐々木社長で同社株の25%を保有しています。その他役員や従業員が株式を保有していますが、多くのVCや事業会社が株主として名を連ねています。特に事業会社ではリクルートやLINEが名を連ねています。
今回の売出はVCを中心に佐々木社長を含めた18名が実施し、4,313,000株の売出を行います。
公募は48億円の資金調達で、freeeの広告プロモーション費用やエンジニア採用費、その他人件費等に充当する予定です。大半の大株主には360日もしくは、180日のロックアップ条項がついており、大株主によるエグジットリスクは低いです。
またこの他、海外で公募2,483,200株、売出7,728,100株、計10,211,300株を割り当てる予定です。
今回は売出が公募を大幅に上回るエグジット案件となり、VCや創業メンバーを含め売出イベントがメインのIPOです。市場からの期待は高いものの、マネタイズができていない状況でのIPOに対する市場の評価は高くありません。
ただし、前例として大型ベンチャーの上場を株式市場はこなしてきているため、公募価格中心の値動きとなるでしょう。
どうやって&どこで新規上場銘柄を買えるの?
今回の「フリー」の取り扱い証券会社を以下にまとめましたので参考にしてください。
|
|
割当率 |
株数 |
共同主幹事 |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 |
41.50% |
6,285,700株 |
大和証券 |
4.79% |
726,000株 |
|
メリルリンチ日本証券 |
0.27% |
40,900株 |
|
幹事 |
SBI証券 |
1.34% |
202,400株 |
野村證券 |
0.61% |
92,800株 |
|
みずほ証券 |
0.23% |
34,400株 |
|
岩井コスモ証券 |
0.04% |
6,800株 |
|
東洋証券 |
0.04% |
6,800株 |
|
楽天証券 |
0.04% |
6,800株 |
|
いちよし証券 |
0.02% |
3,400株 |
|
エース証券 |
0.02% |
3,400株 |
|
ちばぎん証券 |
0.02% |
3,400株 |
|
東海東京証券 |
0.02% |
3,400株 |
|
松井証券 |
0.02% |
3,400株 |
|
丸三証券 |
0.02% |
3,400株 |
|
水戸証券 |
0.02% |
3,400株 |
今回の主幹事は三菱UFJモルガン・スタンレー証券と大和証券およびメリルリンチ証券の3社が共同主幹事を務めます。またSBI証券を含めた13社が幹事を務めます。海外売出もあるため、大規模なIPOとなります。
著者のまとめ
同日にはIR関連事業を行うウィルズの上場もあり、規模の大きさからも初値高騰は見込めないでしょう。ただし、当初より期待されていたベンチャー企業の上場でもあり、将来的には安定した収益を獲得できるSaaSビジネスモデルを評価する方であれば、長期的に上昇しそうですのでお勧めです。