2020年9月25日に東証2部市場へ上場する「STIフードホールディングス」について概要と期待度を見ていきたいと思います。
STIフードホールディングスの上場日は!?期待度は?
企業名 |
STIフードホールディングス |
上場市場 |
東証2部 |
銘柄コード |
2932 |
事業内容 |
水産原料素材の調達から製造・販売までを一貫して行う食品製造販売事業 |
所在地 |
東京都港区 |
設立 |
2017年 |
従業員 |
624名 |
会社HP |
https://www.shintokyo.co.jp/ |
監査法人 |
仰星 |
上場日 |
2020年9月25日(金) |
主幹事 |
野村證券 |
BB期間 |
2020年9月7日(月)~ 2020年9月11日(金) |
価格決定日 |
2020年9月14日(月) |
購入申込期間 |
2020年9月15日(火)~ 2020年9月18日(金) |
同社は水産物由来の食品製品の製造販売会社です。
製品については、主にセブンイレブンで販売されているおにぎりや総菜等の製造販売を行っており、意外と身近な製品を作っている会社と言えます。同社の状況を解説していきます。
どんなことをしている会社なの?
(参照:https://www.shintokyo.co.jp/kaihatsu.html?id=bloc02)
同社は2017年に設立した法人格ですが、1988年に設立した水産食品輸出入販売業の新東京インターナショナルが元々の法人格です。尚、新東京インターナショナルは事業こそ好調であったもの、為替取引の大規模損失が発生したことから資金繰りに窮し、2010年に民事再生法の適用申請し、2013年に清算されています。
民事再生後、大手水産業の極洋をスポンサーに新会社を設立し、同社の事業譲渡を行い再出発となり、2017年に現在の法人格になり今に至ります。
同社は創業来、水産物の輸出入販売を手掛けており、1997年には生鮮いくらの管理技術の特許を取るなど、水産物を生かした中食向けの食品製造に強みを有しています。
1998年からはセブンイレブン向けにおにぎりの具を中心に取引が開始し、上場時点で売上高の8割以上をセブンイレブン向けとなっているなど、セブンイレブン向けの中食製造を行っている会社とも言えます。
近年ではコンビニ弁当の進化や、生鮮食品の販売など、コンビニの成長が著しい中、同社はさばの塩焼きやたこぶつなど、セブンイレブンで販売する生鮮食品をほとんどを手がけるなど、成長に寄与してきたとも言えます。
製造拠点は全国に有しており、セブンイレブンの発展とともに同社への需要も高まることが予想されています。
2017年12月期 |
2018年12月期 |
2019年12月期 |
|
売上高(百万円) |
– |
17,844 |
20,645 |
経常利益(百万円) |
△2 |
711 |
591 |
当期純利益(百万円) |
△2 |
507 |
456 |
純資産額 (百万円) |
△1 |
1,769 |
1,960 |
BPS(円) |
△714,304 |
346 |
389 |
EPS(円) |
△1,714,304 |
101 |
91 |
自己資本比率(%) |
△71.4 |
18.90 |
21.1 |
ROE(%) |
– |
34.3 |
24.8 |
配当性向(%) |
– |
110.92 |
40.4 |
業績はまずまずといったところです。現法人は2017年12月期よりスタートしているため、トラックレコードは少ないですが、売上高は上向きです。利益に関してはまずまずな状況ですが、今後の中食の発展次第では大きく伸びてくることが予想されます。
尚、2020年12月期2Q(2020年6月末)の売上高は10,706百万円、経常利益は460百万円と折り返し時点では前期を上回る可能性が高い状況です。新型コロナウイルスの影響で、外食よりも中食に世の中が注目し出している点も追い風となっています。
配当はこれまで配当は出してきており、上場後は内部留保を確保しつつ連結配当性向30%を目処として配当を出していく方針です。尚、前期では1株140円の配当を出しています。
公募株数 |
総数1,300,500株 (内、公募300,500株、売出1,000,000株) |
OA分 |
195,000株 |
発行済み株数 |
5,300,500株 |
想定価格 |
1,790円(100株単位:18万円) |
仮条件 |
1,790円~1,900円 |
初値予想 |
1,800円~2,500円 |
想定PER |
約21倍 |
想定PBR |
約4倍 |
配当利回り |
1.5% |
想定時価総額 |
95億円 |
今回の上場にあたっての吸収金額は26.7億円で、時価総額が94.8億円と東証2部上場銘柄としては中規模案件です。業態としてはそこまで人気化しにくい案件ですが、中食ブームもあるためある程度堅調に推移することが想定されます。
株主名 |
保有割合 |
ロックアップ |
㈱十見 |
36.00% |
90日間 |
㈱極洋 |
27.27% |
90日間 |
十見 裕 |
18.55% |
90日間 |
㈱セブン‐イレブン・ジャパン |
9.09% |
90日間 |
川島 渉 |
4.55% |
|
㈱キャメル珈琲 |
1.82% |
90日間 |
柳澤 重英 |
0.55% |
|
山﨑 敬介 |
0.27% |
|
野田 和哉 |
0.14% |
|
小川 隆 |
0.09% |
|
同社の株主構成ですが、同社社長の十見社長の資産管理会社である「(株)十見」で、36%の株式を有しています。十見社長個人でも19%を保有しており、合わせて過半数超えの55%を保有するオーナーです。元々民事再生となったものの、経営危機を乗り越え引き続きオーナーとして運営されている状況です。
2位は同社の民事再生時に支援を行った(株)極洋で27%を有しています。その他メイン取引先であるセブン・イレブン・ジャパンや、食品小売店舗「カルディコーヒーファーム」を運営するキャメル珈琲が株主に名を連ねています。役員や従業員は一部保有しています。
今回の売出は極洋のみで、保有する3分の2にあたる100万株の売出を予定しています。同社の支援による投資回収の意味合いが強いエグジットです。
公募によって4.9億円の資金調達を実施し、子会社の工場向けの投融資やシステム投資に充てる予定です。
大株主には90日のロックアップがかかっています。固定の株主が多いため、上場後のエグジットリスクは高くありません。
今回は売出が公募を上回るエグジット案件ですが、同社の支援を行ってきた極洋のエグジットが一つのテーマとなるIPOであるため、上場後の動向が気になるところです。
どうやって&どこで新規上場銘柄を買えるの?
今回の「STIフードホールディングス」の取り扱い証券会社を以下にまとめましたので参考にしてください。
|
|
割当率 |
株数 |
主幹事 |
野村證券 |
96.52% |
1,443,500株 |
幹事 |
いちよし証券 |
2.61% |
39,000株 |
エース証券 |
0.87% |
13,000株 |
|
東海東京証券 |
1.91% |
13,000株 |
今回の主幹事は野村證券が主幹事を務めます。その他いちよし証券を含む3社が幹事を務めます。
著者のまとめ
コンビニの冷蔵商品が増えている背景には、同社をはじめとする食品製造会社の事業努力の賜物が表れています。上場を機に更なる拡大を図っていくことが予想されるため、上場直後は業種柄大きく上がらないものの、緩やかに株価が上がっていくことが予想されます。
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