2020年12月21日に東証1部市場へ上場する「ポピンズホールディングス」について概要と期待度を見ていきたいと思います。
ポピンズホールディングスの上場日は!?期待度は?
同社は介護及び保育ビジネスを展開する会社です。
同社は女性社長が擁する「女性主体企業」で、市場からも期待されている会社です。
今回は同社の概要を通して事業の成長性等分析していきたいと思います。
企業名 |
ポピンズホールディングス |
上場市場 |
東証1部 |
銘柄コード |
7358 |
事業内容 |
ベビーシッター派遣等を中心とした在宅サービス事業及び保育・学童施設等の運営を行うエデュケア事業等 |
所在地 |
東京都渋谷区 |
設立 |
2016年 |
従業員 |
2,806名 |
会社HP |
https://www.poppins.co.jp/ |
監査法人 |
海南 |
上場日 |
2020年12月21日(月) |
主幹事 |
大和証券 |
BB期間 |
2020年12月4日(金)~2020年12月10日(木) |
価格決定日 |
2020年12月11日(金) |
購入申込期間 |
2020年12月14日(月)~2020年12月17日(木) |
どんなことをしている会社なの?
(参照:https://www.poppins.co.jp/)
同社は2016年に設立した持株会社ですが、創業は1987年に現取締役会長の中村紀子氏によって設立した「ジャフィサービス株式会社」が同社の起源となっています。中村会長は元テレビ朝日のアナウンサーで、その後結婚・子育てを経て、女性経営者や女性官僚によって構成された団体「日本女性エグゼクティブ協会(JAFE)」を発足させ、その場で得た情報を元に「ベビーシッター派遣サービス」をスタートさせたことが同社の始まりです。
同社は連結子会社・関連会社の計6社で事業を行っており、セグメントは「在宅サービス事業」、「エデュケア事業」、「その他サービス事業」の3セグメントで運営されています。
まず「在宅サービス事業」は創業時より運営しているベビーシッターやナニーの派遣サービスや、高齢者向けの家事代行及び介護ケアサービスを行っているものです。ベビーシッターは「子守り」を軸に、短時間・短期間の子育て支援を行うもので、ナニーはイギリス発の中長期的な「子育て教育」を支援する保育サービスです。
30年続くビジネスで、女性に対する子育て支援を推進する法人600社と契約しており、気軽に利用できる体制をとっています。またベビーシッターは月間400名の利用登録者を伸ばしています。
次に「エデュケア事業」は認可保育園及び認可外保育園の運営を行っており、2020年10月末現在322施設の運営を行っています。エデュケアとは、「教育」と「保育」の造語であり、最先端の幼児教育を積極的に取り入れた保育アプローチを行っています。
その他サービス事業では保育ビジネス向けの教育研修や人材紹介事業を行っています。
同社の特徴としては女性によって事業運営されている点で、全社員の9割以上が女性で、管理職の約8割が女性であるなど、他社に比べても女性比率が高い会社です。
|
2016年12月期 |
2017年12月期 |
2018年12月期 |
2019年12月期 |
売上高(百万円) |
119 |
833 |
17,127 |
21,548 |
経常利益(百万円) |
119 |
325 |
998 |
1,360 |
当期純利益(百万円) |
73 |
219 |
222 |
900 |
純資産額 (百万円) |
1,293 |
1,406 |
1,240 |
1,941 |
BPS(円) |
121,547 |
132,215 |
152 |
237 |
EPS(円) |
6,761 |
20,668 |
27 |
110 |
自己資本比率(%) |
96.1 |
35.40 |
14.7 |
19.2 |
ROE(%) |
5.8 |
16.3 |
17.8 |
56.6 |
配当性向(%) |
147.9 |
82.3 |
140 |
81.5 |
業績は順調に伸ばしています。2018年12月期より連結決算となっている他、現法人の設立より日が浅いことから単純な比較はできませんが、売上高・利益ともに増収増益となっています。
尚、2020年12月期3Q(2020年9月)の売上高は16,835百万円、経常利益は1,086百万円となっており、コロナ禍ではあるものの、最高業績を記録する予定です。
配当はこれまで出してきており、上場後は内部留保を優先しつつも年1回の配当を出していく方針です。
公募株数 |
総数3,250,000株 |
OA分 |
487,500株 |
発行済み株数 |
9,780,000株 |
想定価格 |
2,850円(100株単位:29万円) |
仮条件 |
2,650円 ~ 2,850円 |
初値予想 |
2,600円 ~ 3,000円 |
想定PER |
約31倍 |
想定PBR |
約6倍 |
配当利回り |
0.9% |
想定時価総額 |
278億円 |
今回の上場にあたっての吸収金額は106億円で、時価総額が278億円と東証1部直接上場銘柄としては大型案件です。女性主体のビジネスとして注目を集める一方、規模を踏まえて公募割れリスクが高いです。
株主名 |
保有割合 |
ロックアップ |
(株)スピネカ |
46.72% |
180日間 |
轟 麻衣子(戸籍名:軣 麻衣子) |
20.76% |
180日間 |
中村 紀子(戸籍名:軣 紀子) |
17.93% |
180日間 |
軣 怜大 |
3.54% |
180日間 |
軣 有紗 |
3.54% |
180日間 |
森 榮子 |
2.83% |
180日間 |
杉本 五十洋 |
1.42% |
180日間 |
中村 靖 |
0.47% |
180日間 |
井上 正明 |
0.12% |
|
田中 博文 |
0.12% |
|
同社の株主構成ですが、創業者である中村会長の資産管理会社が筆頭株主で、同社株の47%を保有しています。個人分を合わせると64%を有するオーナーです。また次点には現社長である実子の轟麻衣子氏で21%を有しています。基本オーナー一族や役員・従業員にて株が保有されており、その他ファンド等は入っていない模様です。
今回の売出は中村会長を含めて7者で、215万株の売出です。
今回は公募にて31.1億円の資金調達を行い、調達資金は基幹システムの開発資金や子会社への投融資、借入金返済費用に充てる予定です。子会社への投融資は主に認可保育所開設等の費用に充てられる予定です。
尚、大株主には180日のロックアップがかかっており、エグジットリスクは極めて低い案件です。
今回は売出が公募を上回るエグジット案件で、創業家の保有比率の低下とパブリックな企業への転向が趣旨の案件です。東証1部ダイレクト上場であり、売出がメインとなっているため、初値への期待感は極めて低いです。
どうやって&どこで新規上場銘柄を買えるの?
今回の「ポピンズホールディングス」の取り扱い証券会社を以下にまとめましたので参考にしてください。
|
|
割当率 |
株数 |
主幹事 |
大和証券 |
91.30% |
3,412,500株 |
幹事 |
SBI証券 |
4.35% |
162,500株 |
みずほ証券 |
2.61% |
97,500株 |
|
SMBC日興証券 |
1.74% |
65,000株 |
今回の主幹事は大和証券が主幹事を務めます。その他SBI証券を含めた3社が幹事を務めます。
著者のまとめ
12月21日にはいつもが上場してきますが、当社への注目は高い一方様子見のスタンスをとる方が多いでしょう。場合によっては公募割れも覚悟したほうがいいため、慎重に投資を行いたいところです。一方でビジネスとしては女性主体の事業展開であるため、SDGsの観点から上場後ファンドからの投資が集まりそうです。
ポピンズホールディングス株価、PTS株価、ADR株価はこちら