2021年2月26日に東証ジャスダックスタンダード市場へ上場する「室町ケミカル」について概要と期待度を見ていきたいと思います。
室町ケミカルの上場日は!?期待度は?
同社は医薬品や健康食品、化学品製造を行う会社です。
福岡県大牟田市に本社を構えており、地方銘柄として関心が集まっている他、大手企業との取引を有しており、老舗企業の上場と何かと話題のある銘柄です。
今回は同社の概要を通して事業の成長性等分析していきたいと思います。
企業名 | 室町ケミカル |
上場市場 | 東証JQスタンダード |
銘柄コード | 4885 |
事業内容 | 医薬品の製造・販売、健康食品の企画・製造・販売、イオン交換樹脂の販売・加工 |
所在地 | 福岡県大牟田市 |
設立 | 1947年 |
従業員 | 191名 |
会社HP | https://www.muro-chem.co.jp/ |
監査法人 | トーマツ |
上場日 | 2021年2月26日(金) |
主幹事 | 野村證券 |
BB期間 | 2021年2月8日(月)~2021年2月15日(月) |
価格決定日 | 2021年2月16日(火) |
どんなことをしている会社なの?
(参照:https://www.muro-chem.co.jp/)
同社の歴史は長く明治時代に遡ります。明治時代に目薬の製造からスタートし、1917年に家庭薬製造会社として「大洋商店」が創業しました。創業100年を経過した今日においてようやく上場を目指したという経緯があります。
尚、元々は福岡県福岡市で事業を行っていましたが、1996年からは現在の本社地である福岡県大牟田市に移転しています。
同社の事業は大きく分けると3事業に分かれており、「医薬品事業」と「健康食品事業」、「化学品事業」で運営されています。
まず医薬品事業は、医薬品メーカーに対して原薬の製造販売を行っています。原薬商社としての機能もあり、多くの医薬品メーカーとの取引があります。
健康食品事業は、主にスティックゼリータイプの健康食品の企画製造を手掛けています。自社製品はもちろんのこと、健康食品メーカーのODM製造も手掛けています。
化学品事業では、イオン交換樹脂及び分離膜といった液体処理関連製品の販売を行っています。主に純水や液体の精製、液体から金属の回収等の用途に使われています。
事業ポートフォリオは医薬品事業が48%、化学品事業が31%、健康食品事業が21%となっており、事業分散ができている状況です。
2016年5月期 | 2017年5月期 | 2018年5月期 | 2019年5月期 | 2020年5月期 | |
売上高(百万円) | 4,039 | 4,447 | 4,537 | 5,420 | 5,280 |
経常利益(百万円) | 168 | 105 | △20 | 91 | 272 |
当期純利益(百万円) | 167 | △22 | △88 | 29 | 32 |
純資産額 (百万円) | 170 | 173 | 71 | 182 | – |
BPS(円) | 424 | 434 | 179 | 91 | – |
EPS(円) | 417 | △56 | △220 | 14 | 16 |
自己資本比率(%) | 4.4 | 3.90 | 1.5 | 3.9 | – |
ROE(%) | 98.4 | – | – | 16.9 | – |
配当性向(%) | 1.4 | – | – | 1.1 | 3.5 |
業績は緩やかに拡大推移しています。2019年5月期より連結決算となっており単純比較はできませんが、売上高は緩やかですが右肩上がりに拡大しています。一方利益はアップダウンが大きく、安定していない状況です。
尚、2021年5月期2Q(2020年11月)の売上高は2,483百万円、経常利益は220百万円となっており、利益面では好調に推移しています。
配当はこれまで業績次第では配当を出していましたが、上場後は内部留保を確保しつつも配当を出していく方針です。尚、配当利回りは0.1%程度が予想されています。
公募株数 | 総数1,470,000株 (内、公募970,000株、売出500,000株) |
OA分 | 220,500株 |
発行済み株数 | 3,875,000株 |
想定価格 | 770円(100株単位:8万円) |
仮条件 | 770円 ~820円 |
初値予想 | 750円 ~1,200円 |
想定PER | 約95倍 |
想定PBR | 約3倍 |
配当利回り | 0.1%% |
想定時価総額 | 29.8億円 |
今回の上場にあたっての吸収金額は13億円で、時価総額が29.8億円と東証ジャスダックスタンダード上場銘柄としては中型案件です。サイズ感の割には吸収額が大きいため、初値高騰は大きくは望めないでしょう。
株主名 | 保有割合 | ロックアップ |
村山 哲朗 | 37.85% | 90日間 |
村山 ひとみ | 17.21% | |
青木 淳一 | 11.18% | 90日間 |
室町ケミカルグループ従業員持株会 | 7.74% | 継続保有 |
服部 英法 | 5.16% | 90日間 |
髙宮 一仁 | 3.70% | 継続保有 |
大辻 正高 | 2.58% | 90日間 |
穗苅 久美 | 2.58% | 90日間 |
井内 聡 | 1.55% | 継続保有 |
井ノ口 浩俊 | 1.20% | 継続保有 |
同社の株主構成ですが、同社の創業家であり現代表取締役会長の村山哲朗氏筆頭株主で、38%の株式を有しています。2位は村山会長の奥様で11%を保有しています。その他は役員及び従業員が保有しており、事業会社やVC等は入っていません。
今回の売出は村山ひとみ氏のみで、500,000株の売出です。
今回は公募にて6.8億円の資金調達を行い、調達資金は製造設備導入や借入金返済に充てる予定です。
尚、大株主には90日のロックアップがかかっており、外部株主がいないためエグジットリスクは非常に少ないでしょう。
今回は公募が売出を上回る資金調達案件ですが、資金調達を経たあとの事業の伸びが期待しにくく、機関投資家からの資金が集まるかは不明瞭です。
どうやって&どこで新規上場銘柄を買えるの?
今回の「室町ケミカル」の取り扱い証券会社を以下にまとめましたので参考にしてください。
割当率 | 株数 | ||
主幹事 | 野村證券 | 91.30% | 1,543,500株 |
幹事 | FFG証券 | 2.61% | 44,100株 |
みずほ証券 | 1.74% | 29,400株 | |
SBI証券 | 1.74% | 29,400株 | |
大和証券 | 0.87% | 14,700株 | |
楽天証券 | 0.87% | 14,700株 | |
岡三証券 | 0.87% | 14,700株 |
今回の主幹事は野村證券が主幹事を務めます。その他地元証券会社であるFFG証券を含めた6社が幹事を務めます。
著者のまとめ
ジャスダック上場銘柄としては中規模な同社ですが、同日にcoly.が上場してくるため、注目はcoly.に集まることが予想されています。初値高騰は見込みにくく、公募割れリスクもありますが、公募価格を挟んだ展開が見込まれるため、今後のIRを含めチェックしていく必要があるでしょう。