2021年3月19日に東証マザーズ市場へ上場する「T.S.I」について概要と期待度を見ていきたいと思います。
T.S.Iの上場日は!?期待度は?
同社は京都を中心に介護サービス付き高齢者向け住宅を運営する企業です。
京都地場の会社として堅実に介護ビジネスを展開しており、需要が高まっているサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を軸に引き続き事業拡大が見込めそうです。
今回は同社の概要を通して事業の成長性等分析していきたいと思います。
企業名 | T.S.I |
上場市場 | 東証マザーズ |
銘柄コード | 7362 |
事業内容 | サービス付き高齢者向け住宅の建築および介護サービスの提供 |
所在地 | 京都府京都市 |
設立 | 2010年 |
従業員 | 260名 |
会社HP | https://www.t-s-i.jp/ |
監査法人 | PwC京都 |
上場日 | 2021年3月19日(金) |
主幹事 | 野村證券 |
BB期間 | 2021年3月3日(水)~ 2021年3月9日(火) |
価格決定日 | 2021年3月10日(水) |
購入申込期間 | 2021年3月11日(木)~ 2021年3月16日(火) |
どんなことをしている会社なの?
(参照:https://www.t-s-i.jp/)
同社は、2010年に京都市西京区桂で注文建築を行う株式会社北山住宅販売(現同社連結子会社)の代表取締役であった北山忠雄氏を中心に設立された会社です。創業来介護ビジネスを行う会社として今日に至っています。
同社は本社・京都府を中心に、滋賀県、兵庫県、岡山県、愛知県、静岡県、神奈川県、計7府県でサービス付き高齢者向け住宅を運営しています。自社ブランドである「アンジェス」として24拠点、746室の運営を行っています。
サ高住と訳されることが多いサービス付き高齢者向け住宅は、サービス内容によって複数の形態に分けられますが、同社は介護体制がしっかりしており、自立から重度の方までを広く対応する「介護特化型」サ高住の運営に特化しています。
入居者から住宅入居にかかる賃料を受け取りながら、介護サービスを提供している他、訪問介護や居宅介護支援に関しても同社内で提供できる体制を整えています。
同社の特徴として、元々不動産事業を行ってきた背景から、アンジェスの設計・建築を
自社内で行えるという点が挙げられ、不要なコストを払わずとも求めるサ高住の建築を可能としています。
自社でもアンジェスを数棟保有するものの、基本は土地を所有している地主との間で建築請負契約を行うことで、自社で不動産を保有することにおけるリスクを低減し、介護事業の運営に特化することができる体制を整えています。
入居率は1年未満でも約8割で、1年以上経過後の平均稼働率は97.2%と満室に近い状態を維持しているなど、入居希望者からの高い需要を見せています。
上場後は引き続きドミナント戦略でサ高住の建築を進めていく模様です。
2015年12月期 | 2016年12月期 | 2017年12月期 | 2018年12月期 | 2019年12月期 | |
売上高(百万円) | 416 | 748 | 1,189 | 2,172 | 2,385 |
経常利益(百万円) | △44 | △45 | △12 | 61 | 107 |
当期純利益(百万円) | △45 | 19 | △14 | 78 | 77 |
純資産額 (百万円) | 4 | 24 | 0 | 59 | 135 |
BPS(円) | 499 | 2,640 | 22 | 48 | 110 |
EPS(円) | △7,996 | 2,140 | △1,234 | 64 | 62 |
自己資本比率(%) | 1 | 8.10 | 0.1 | 3.8 | 6.5 |
ROE(%) | – | 136.4 | – | 403.6 | 79 |
配当性向(%) | – | – | – | – | – |
業績については、順調に右肩上がり成長を続けています。2018年12月期から連結決算となっているため一概には言えないものの、売上高は5期連続増収で、利益に関しても黒字に転じています。
尚、2020年12月期3Q(2020年9月)の売上高は2,244百万円、経常利益は118百万円となっており、前期決算を上回る見込みです。
配当については創業来無配で、当面は内部留保の充実を優先するため無配を予定しています。
公募株数 | 総数400,000株 (内、公募300,000株 、売出100,000株) |
OA分 | 60,000株 |
発行済み株数 | 1,528,000株 |
想定価格 | 1,550円(100株単位:16万円) |
仮条件 | 1,700円 ~ 2,000円 |
初値予想 | 2,500円 ~ 3,000円 |
想定PER | 約31倍 |
想定PBR | 約4倍 |
配当利回り | なし |
想定時価総額 | 24億円 |
今回の上場にあたっての吸収金額は7億円で、時価総額が24億円とマザーズ上場銘柄としては小型案件です。小粒案件ですが、介護案件の上場に関しては高騰が見込みにくいため、公募価格を上回るとはいっても急騰は見込みにくいでしょう。
株主名 | 保有割合 | ロックアップ |
北山忠雄 | 53.58% | 90日間 |
北山優吾 | 10.42% | 90日間 |
北山千賀子 | 8.14% | 90日間 |
北山裕美 | 8.14% | 90日間 |
北山雄三 | 8.14% | 90日間 |
北田翔士 | 2.44% | 90日間or1.5倍 |
北山由紀子 | 2.04% | 90日間 |
吉国潤子 | 1.22% | 90日間 |
中村眞里 | 0.41% | 90日間 |
髙岡まり子 | 0.41% | 90日間 |
同社の大株主は創業者であり代表取締役である北山忠雄氏で、過半数越えの54%を有しています。その他北山家及び経営陣や従業員が名を連ねています。
売出は北山社長のみで、100,000株の売出です。
今回は公募で4.2億円の資金調達を行い、調達資金はアンジェス建築における土地仕入れ等の費用に充てる予定です。
大株主の大半には上場後90日及び90日または公募価格1.5倍のロックアップがかかっていますが、外部株主はほぼいませんのでエグジットリスクは極めて低いです。
今回は公募が売出を上回る資金調達案件ですが、アセットが必要なサ高住の建築に充てたものとなるため、数年後の業績を見据えた中長期投資となっているため、目先の急激な業績向上は見込めないでしょう。
どうやって&どこで新規上場銘柄を買えるの?
今回の「T.S.I」の取り扱い証券会社を以下にまとめましたので参考にしてください。
割当率 | 株数 | ||
主幹事 | 野村證券 | 93.04% | 428,000株 |
幹事 | 大和証券 | 1.74% | 8,000株 |
SMBC日興証券 | 1.74% | 8,000株 | |
SBI証券 | 1.74% | 8,000株 | |
西村証券 | 0.87% | 4,000株 | |
東海東京証券 | 0.87% | 4,000株 |
今回は野村證券が主幹事を務めます。その他大和証券を含め5社が幹事として名を連ねます。
著者のまとめ
同日にココナラが上場してくるため、同社への注目度はやや低めであると言えます。急激な業績向上が見込めないビジネスのため、一定期間の経過チェックが必要であると言えますが、堅実なビジネスを展開してきたことから中長期で十分に期待できる会社でしょう。