2021年6月16日に東証マザーズ市場へ上場する「全研本社」について概要と期待度を見ていきたいと思います。
全研本社の上場日は!?期待度は?
同社はWebマーケティングや語学スクール等を運営する会社です。
Webメディアの制作・運用のほか、AI開発を手がけている一方、創業来のビジネスである英会話教室の運営を行うなど複数領域を運営する会社のIPOとなります。
今回は同社の概要を通して事業の成長性等分析していきたいと思います。
企業名 | 全研本社 |
上場市場 | 東証マザーズ |
銘柄コード | 7371 |
事業内容 | インターネットを利用する各種デジタルメディアの企画・開発・制作・運営管理・コンサルティング業、語学教室・研修などの企画・開催・運営、不動産賃貸業、これらに関連する一切の業務 |
所在地 | 東京都新宿区 |
設立 | 1978年 |
従業員 | 419名 |
会社HP | https://www.zenken.co.jp/ |
監査法人 | EY新日本 |
上場日 | 2021年6月16日(水) |
主幹事 | みずほ証券 |
BB期間 | 2021年5月31日(月)~ 2021年6月4日(金) |
価格決定日 | 2021年6月7日(月) |
購入申込期間 | 2021年6月8日(火)~ 2021年6月11日(金) |
どんなことをしている会社なの?
(参照:https://www.zenken.co.jp/services/)
同社は1978年に創業者・吉澤信男氏によって設立された会社ですが、1975年に設立された「ワールドミネル株式会社」が起源となっており、1988年に両者合併の上現法人格となっています。
創業当初は子供向け教育ビジネスとして、「子供英会話」や「学習塾」等の運営を行ってきましたが、その後、IT事業のスタートや事業の譲渡・買収を行い現在の体系となっています。かつて大証ヘラクレス市場に上場していた「ゼンケンホールディングス」は、創業当初からの事業であった子供英会話事業「ミネルヴァ」を分社化したものであり、その後MBOによって当時の経営陣に譲渡した経緯があります(現在はベネッセホールディングス傘下)。
同社の事業セグメントはITセグメント、語学セグメント、不動産セグメントの3セグメントで事業を行っています。
まずITセグメントは、「コンテンツマーケティング事業」「メディア事業」「AI事業」「海外IT人材事業」の4事業で構成されており、同社の売上に占める割合が7割となる主力セグメントです。社内にディレクターを抱えており、一気通貫でWebサイト制作運用を担える体制が整っています。2021年3月末時点でクライアントから受託している運用メディアは1,300件となっています。
語学セグメントでは、法人向け語学研修や留学斡旋、その他オンライン英会話教室など、創業時より手がけていた語学事業の流れを一部踏襲しています。
不動産セグメントでは、自社所有ビルによる安定した収益を獲得しています。
上場後は、主力のITセグメントにおける事業拡大を図っていく模様で、地方都市におけるマーケティング支援や海外のIT人材マッチングを成長事業として強化に努めていく模様です。
2016年6月期 | 2017年6月期 | 2018年6月期 | 2019年6月期 | 2020年6月期 | |
売上高(百万円) | 4,045 | 5,395 | 5,459 | 6,411 | 5,827 |
経常利益(百万円) | 1,071 | 534 | 290 | 640 | 755 |
当期純利益(百万円) | 660 | △1,031 | 653 | 1,013 | 377 |
純資産額 (百万円) | 8,353 | 7,256 | 7,554 | 8,634 | 8,982 |
BPS(円) | 74,510 | 64,725 | 67,387 | 770 | 801 |
EPS(円) | 5,889 | △9,196 | 5,828 | 90 | 34 |
自己資本比率(%) | 62 | 58 | 58 | 76.2 | 77.6 |
ROE(%) | 7 | – | 8.8 | 12.5 | 4.3 |
配当性向(%) | 3.4 | – | – | 2.2 | 7.1 |
業績は概ね成長してきましたが、前期の2020年6月期は、コロナ禍の影響で語学セグメントが足を引っ張ったことから減収となっています。2019年6月期より連結決算となっているため単純比較はできませんが、引き続きITセグメントは好調に推移しており、成長性に大きな問題はないと思われます。
尚、2021年6月期3Q(2021年3月)の売上高は4,494百万円、経常利益は890百万円と推移しており、利益面はすでに前期を上回っている状況です。
配当はこれまでも出してきており、上場後も内部留保確保しつつも配当を出していく方針です。なお、前期配当利回りは0.2%程度で、概ね同等水準の配当が期待されます。
公募株数 | 総数3,280,200株 (内、公募600,000株、売出2,680,200株) |
OA分 | 492,000株 |
発行済み株数 | 11,810,000株 |
想定価格 | 1,290円(100株単位:13万円) |
仮条件 | 1,290円 ~1,350円 |
初値予想 | 1,400円 ~1,700円 |
想定PER | 約40倍 |
想定PBR | 約2倍 |
配当利回り | 0.2% |
想定時価総額 | 152億円 |
今回の上場にあたっての吸収金額は49億円で、時価総額が152億円と東証マザーズ上場銘柄としては中型案件です。Webマーケティング支援等成長事業を手がけていることから、初値は一定水準の価格がついてくることが想定されます。
株主名 | 保有割合 | ロックアップ |
吉澤 信男 | 69.15% | 180日間 |
林 順之亮 | 14.12% | 180日間 |
松島 征吾 | 2.76% | 180日間 |
本村 建 | 1.31% | 180日間 |
松尾 陽二 | 1.23% | 180日間 |
鷲谷 将樹 | 1.05% | 180日間 |
上奥 由和 | 1.03% | 180日間 |
岡野 健二 | 0.91% | |
保科 衛 | 0.91% | 180日間 |
横井 文一 | 0.91% |
同社の株主構成ですが、創業者である吉澤信男氏で同社株の69%を保有するオーナーです。その他役員・従業員で保有されており、ファンド等外部の法人株主はいないようです。
今回の売出は吉澤氏を含めた4者で、2,680,200株の売出です。売出によって吉澤氏の保有株式は5割以下となるため、引き続き筆頭株主ではあるものの、支配株主からは後退します。
今回は公募で7億円の資金調達を行い、調達資金はプラットフォーム開発費用や広告宣伝費、人材採用費及び人件費に充てる予定です。
尚、大株主には180日のロックアップがかかっておりますが、経営陣や従業員が大多数のため、エグジットリスクは極めて低いでしょう。
今回は売出が公募を上回るエグジット案件ですが、創業者のエグジットイベントであるため大きな影響はないでしょう。
どうやって&どこで新規上場銘柄を買えるの?
今回の「全研本社」の取り扱い証券会社を以下にまとめましたので参考にしてください。
割当率 | 株数 | ||
主幹事 | みずほ証券 | 88.70% | 3,345,800株 |
幹事 | SMBC日興証券 | 2.61% | 98,400株 |
SBI証券 | 2.61% | 98,400株 | |
楽天証券 | 2.61% | 98,400株 | |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | 1.30% | 49,200株 | |
岡三証券 | 1.30% | 49,200株 | |
マネックス証券 | 0.87% | 32,800株 |
今回の主幹事はみずほ証券が主幹事を務めます。その他SMBC日興証券を含めた6社が幹事を務めます。
著者のまとめ
Webマーケティング関連の上場ということで、買いを集めやすい案件でしょう。ただし、マザーズ上場にしては中規模サイズであることから、一定の初値で落ち着きそうです。