2021年4月22日に東証マザーズ市場へ上場する「ステラファーマ」について概要と期待度を見ていきたいと思います。
ステラファーマの上場日は!?期待度は?
同社は新たながん治療法「BNCT」に用いる薬剤の開発を手がける製薬メーカーです。
悪性脳腫瘍など、手術リスクの高いがんの治療法として注目を集めているBNCTですが、BNCT治療の確立に必要不可欠な薬剤を開発したということで国内外で期待を受けている会社の上場です。
今回は同社の概要を通して事業の成長性等分析していきたいと思います。
企業名 | ステラファーマ |
上場市場 | 東証マザーズ |
銘柄コード | 4888 |
事業内容 | BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)に使用されるホウ素医薬品の開発及び製造販売 |
所在地 | 大阪府大阪市 |
設立 | 2007年 |
従業員 | 43名 |
会社HP | https://stella-pharma.co.jp/ |
監査法人 | EY新日本 |
上場日 | 2021年4月22日(木) |
主幹事 | みずほ証券 |
BB期間 | 2021年4月6日(火)~ 2021年4月12日(月) |
価格決定日 | 2021年4月13日(火) |
購入申込期間 | 2021年4月14日(水)~ 2021年4月19日(月 ) |
どんなことをしている会社なの?
(参照:https://stella-pharma.co.jp/bnct)
同社は2007年に上場会社であるステラケミファの100%子会社としてスタートしました。同社代表取締役会長である浅野智之氏は元々親会社にてBNCT向けのホウ素薬剤の開発を手掛けてきました。
BNCTとは「ホウ素中性子捕捉療法」の頭文字で、がん細胞にホウ素薬剤を取り込み、熱中性子線を当てることで、他の正常細胞を傷つけることなく、がん細胞のみを殺すという画期的ながん治療法です。特に脳など外科治療では極めて難しい箇所のがんでもBNCTでは治療できるということで、近年世界的注目を集めています。
このBNCTは、1936年には既に提唱された治療法でしたが、「効果的なホウ素薬剤」と「高強度の中性子源」の2つが必要で、近年まで実現が不可能と言われていました。しかし、ステラケミファにおけるホウ素薬剤の開発と、住友重機械工業による小型の中性子発生装置の開発によって、BNCTが実現できることになり、当社が設立されました。
同社は、抗悪性腫瘍剤ステボロニンを開発し、薬事承認がおりています。点滴によりがん細胞にホウ素薬剤を取り込み、中性子発生装置によって患部に中性子線を照射することで治療を行います。
従来の放射線治療では約30回程度のX線照射が必要となりますが、BNCTの場合は1回で終了することから、人体への影響を極力抑えた治療を可能としています。
上場後は現在の開発パイプラインをを推し進め、国内外でBNCT治療の最前線企業として高い競争力を保つ方針です。
2015年12月期 | 2016年12月期 | 2018年3月期 | 2019年3月期 | 2020年3月期 | |
売上高(百万円) | 418 | 145 | – | – | – |
経常利益(百万円) | 29 | △440 | △1,052 | △856 | △959 |
当期純利益(百万円) | 19 | △298 | △1,055 | △859 | △962 |
純資産額 (百万円) | 264 | 3,566 | 2,511 | 1,652 | 690 |
BPS(円) | 132132 | 509 | △7,629 | △143 | 35 |
EPS(円) | 9710 | △2,964 | △8,138 | △66 | △62 |
自己資本比率(%) | 14.2 | 67.8 | 56.5 | 45.6 | 25.9 |
ROE(%) | 7.6 | – | – | – | – |
配当性向(%) | – | – | – | – | – |
業績については評価することはありません。2020年3月にステボロニンの上市が承認されましたが、それまでの期間は研究開発が中心となったため売上高は計上されていません。そのため研究開発に費用がかかっていることから赤字状態が継続しています。
なお、2021年3月期第3四半期(2020年12月)の売上高は156百万円で、経常損益は502百万円の赤字と、売上計上がなされ、赤字幅は減少しています。
配当はこれまでも無配で、上場後も研究開発を優先するため当面無配が予想されています。
公募株数 | 総数7,391,400株 (内、公募7,391,400株、売出0株) |
OA分 | 1,108,600株 |
発行済み株数 | 27,528,800株 |
想定価格 | 510円(100株単位:5万円) |
仮条件 | 400円 ~460円 |
初値予想 | 400円 ~ 800円 |
想定PER | 約-倍 |
想定PBR | 約3倍 |
配当利回り | なし |
想定時価総額 | 140億円 |
今回の上場にあたっての吸収金額は43億円で、時価総額が140億円と東証マザーズ上場銘柄としては中型案件です。売上高がまだ全く立っていない状況のため、強い期待は持てなく、公募割れリスクも孕んでいます。
株主名 | 保有割合 | ロックアップ |
ステラケミファ(株) | 60.43% | 180日間 |
(株)INCJ | 33.15% | 90日間 |
住友重機械工業(株) | 0.95% | 180日間 |
浅野 智之 | 0.88% | 180日間 |
藪 和光 | 0.79% | 180日間 |
上原 幸樹 | 0.76% | 180日間 |
(株)スズケン | 0.42% | 継続保有 |
(株)ハイメディック | 0.42% | 継続保有 |
槌谷 武 | 0.17% | |
藤井 祐一 | 0.16% | 180日間 |
同社の株主構成ですが、筆頭株主は創業親会社であるステラケミファで、同社株の60%を有しています。その他は中性子発生装置を開発する住友重機械工業やスズケンなどの取引先や、旧産業革新機構(現・INCJ)といった官民ファンドからの出資を受けています。一部取締役や従業員も保有しています。
今回の売出を行う予定はありません。尚、親会社となるステラケミファとの関係としては、ホウ素薬剤の原料供給における契約はあるものの、現経営陣における出向者もおらず、独立した意思決定のもと経営を行っていく模様です。
公募によって34億円の資金調達を行い、調達資金は製品開発資金に充てる予定です。
尚、大株主には180日もしくは90日のロックアップがかかっております。今回は売出を行っておらず、既存株主によるエグジットリスクは極めて低い案件と言えます。
今回は公募のみの資金調達案件で、上市したばかりとここからの会社となるため、将来性の期待を持ち続けることができる投資家が集まる案件と言えます。
どうやって&どこで新規上場銘柄を買えるの?
今回の「ステラファーマ」の取り扱い証券会社を以下にまとめましたので参考にしてください。
割当率 | 株数 | ||
主幹事 | みずほ証券 | 78.26% | 6,652,400株 |
幹事 | 大和証券 | 10.43% | 886,900株 |
SMBC日興証券 | 3.48% | 295,600株 | |
いちよし証券 | 1.74% | 147,800株 | |
エース証券 | 1.74% | 147,800株 | |
岩井コスモ証券 | 1.74% | 147,800株 | |
SBI証券 | 1.74% | 147,800株 | |
楽天証券 | 0.87% | 73,900株 |
今回の主幹事はみずほ証券が主幹事を務めます。その他大和証券を含めた7社が幹事を務めます。
著者のまとめ
同日上場が3社となるため、同社への注目度はやや低いことが想定されます。ただし、将来性やこれからの会社としては資金を集める可能性もあるため、株価は注視したい所です。