2021年3月30日に東証マザーズ市場へ上場する「Appier Group[エイピア グループ]」について概要と期待度を見ていきたいと思います。
Appier Groupの上場日は!?期待度は?
同社はAIを活用したマーケティングツールを提供する会社です。
台湾で設立された会社で、世界的に注目されている会社が日本で上場して参ります。
今回は同社の概要を通して事業の成長性等分析していきたいと思います。
企業名 | Appier Group[エイピア グループ] |
上場市場 | 東証マザーズ |
銘柄コード | 4180 |
事業内容 | 最先端の機械学習を活用したAI技術によって、マーケティングとセールスの領域において、企業の持つデータが真の価値を発揮することを可能にするAIプラットフォームの提供 |
所在地 | 東京都港区 |
設立 | 2018年 |
従業員 | 492名 |
会社HP | https://www.appier.com/ja/ |
監査法人 | PwCあらた |
上場日 | 2021年3月30日(火) |
主幹事 | SMBC日興証券、みずほ証券、Bank of America証券 |
BB期間 | 2021年3月15日(月)~ 2021年3月19日(金) |
価格決定日 | 2021年3月22日(月) |
購入申込期間 | 2021年3月23日(火)~ 2021年3月26日(金 ) |
どんなことをしている会社なの?
(参照:https://www.appier.com/ja/aideal-the-most-intelligent-promotion-marketing/)
同社は2018年に設立された会社ですが、2012年に台湾で創業したAppier(エイピア)がスタートです。
創業来、人工知能(AI)を活用したマーケティングツールの研究開発を行い、台湾を皮切りに、ベトナム、オーストラリア、フィリピン、インド、中国、韓国、マレーシアといった東アジア諸国にてマーケティングツールの提供を進めてきました。
日本においては、2017年に大阪オフィスを設立後、2018年に東京にて同社を設立し、上場前の2021年2月に、当時の親会社(ケイマン諸島籍)が既存株主に対して同社株を分配したことによって、最終親会社として持株会社となるなどやや複雑な組織変更を実施した。これも全て東アジアで事業を伸ばすべく、主要国である日本で上場させることで更なる発展を目指すというものでした。
同社は「グローバルなAI SaaS」を目指すべく、デジタルマーケティングとセールス領域において、AIを活用したサービスの提供を行っています。AI予測や自動化処理によって、ユーザーの行動パターンの解析ができ、それ伴ってユーザー獲得や関係構築に向けた予測が可能となっています。
同社のソリューションは、ユーザー獲得プラットフォームの「CrossX」、ユーザーエンゲージメントプラットフォーム「AIQUA」、ユーザー購入動機付プラットフォーム「AIDEAL」、データサイエンスプラットフォーム「AIXON」の4種で、大手企業を中心に導入が進んでいます。現在世界17のオフィスを構えており、グローバルな事業展開を行っています。
現在のお客様はEC事業者やゲーム事業者、ソーシャル・エンタメ事業者と幅広く、AIシステムに関する需要が比較的高いとも言える。
同社の特徴として、自社のエンジニアの70%はAIやビッグデータ領域における博士・修士を取得しており、上場後は更なる事業拡大によってAIシステムの雄になることを目指していくことが想定されます。
2018年12月期 | 2019年12月期 | |
売上高(百万円) | 6,291 | 7,220 |
経常利益(百万円) | △1,964 | △2,253 |
当期純利益(百万円) | △1,950 | △2,350 |
純資産額 (百万円) | △4,246 | △6,514 |
BPS(円) | △47 | △72 |
EPS(円) | △21 | △26 |
自己資本比率(%) | △128.2 | △53.7 |
ROE(%) | – | – |
配当性向(%) | – | – |
業績はこれからといった様子です。2018年12月期より現在の法人格が誕生したため、トラックレコードがほぼありません。また、台湾発の会社ということもあり、台湾会計基準をこれまで用いていました。なお、現在はIFRS基準を用いています。
売上高は順調に伸びていますが、一方で利益に関しては赤字を広げており、純資産も65億円の債務超過状態が続いています。
なお、2020年12月期の売上高は90億円で、経常利益は引き続き赤字でしたが、費用等を除いた「ARR(年間経常収益)」では94億円と順調に伸ばしている状況です。
配当は赤字状態のため無配を続けており、上場後も内部留保や投資を優先するため当面無配が予想されます。
公募株数 | 総数17,890,500株 (内、公募9,101,000株、売出8,789,500株) |
OA分 | 984,700株 |
発行済み株数 | 99,872,490株 |
想定価格 | 1,400円(100株単位:14万円) |
仮条件 | 1,400円 ~ 1,600円 |
初値予想 | 1,800円 ~ 2,500円 |
想定PER | 約-倍 |
想定PBR | 約-倍 |
配当利回り | なし |
想定時価総額 | 1,398億円 |
今回の上場にあたっての吸収金額は264億円で、時価総額が1,398億円と東証マザーズ上場銘柄としては大型案件で、今期では最大規模の上場となります。期待感の高いAI事業者ですが、時価総額の大きさから初値高騰は見込みにくいでしょう。
株主名 | 保有割合 | ロックアップ |
Plaxie Inc. | 18.54% | 360日間 |
SEQUOIA CAPITAL INDIA INVESTMENTS IV | 16.67% | 180日間 |
Global Premier Group Limited | 6.90% | 180日間 |
TA STRATEGIC PTE. LTD. | 5.88% | 180日間 |
蘇 家永 | 4.75% | 360日間 |
ソフトバンクグループ(株) | 4.74% | 180日間 |
HIPPO TECHNOLOGY INVESTMENT COMPANY LIMITED | 3.95% | 180日間 |
GSEN APPIER CLIENT ASSET ACCOUNT | 3.86% | |
ASEAN CHINA INVESTMENT FUND III L.P. | 3.79% | 180日間 |
HIPPO II TECHNOLOGY INVESTMENT COMPANY LIMITED | 3.62% | 180日間 |
同社の株主構成ですが、筆頭株主は同社の経営陣が株主である資産管理会社で、同社株の19%を保有しています。その他は取引先を始めアジア諸国の企業やファンドがこぞってなを連ねています。中にはソフトバンクグループも名を連ねています。
今回の売出はソフトバンクグループのみで、2,203,000株の売出です。
今回は公募で55億円の資金調達を行い、調達資金は製品開発を行うためのエンジニアを含めた人材採用費、SaaSサービスのためのクラウドサービス利用料、広告宣伝費や借入金返済に充てる予定です。
尚、大株主には360日もしくは180日のロックアップがかかっております。既存株主の多くは当面は譲渡の可能性が低く、エグジットリスクは低いと言えます。
今回は公募が売出を上回る資金調達案件で、AI技術の発展に向けた積極投資姿勢であることが伺えます。ただし、規模感を含めると割高感が強く、初値高騰は難しいでしょう。
どうやって&どこで新規上場銘柄を買えるの?
今回の「Appier Group」の取り扱い証券会社を以下にまとめましたので参考にしてください。
割当率 | 株数 | ||
主幹事 | SMBC日興証券 | 25.80% | 3,045,500株 |
みずほ証券 | 8.73% | 1,029,800株 | |
BofA証券 | 1.02% | 120,000株 | |
幹事 | 野村證券 | 1.02% | 120,000株 |
楽天証券 | 0.29% | 34,200株 | |
SBI証券 | 0.29% | 34,200株 | |
UBS証券 | 0.29% | 34,200株 |
今回の主幹事はSMBC日興証券とみずほ証券、バンク・オブ・アメリカ証券が共同主幹事を務めます。その他野村證券を含めた4社が幹事を務めます。今回は海外売出を合わせて行いますが、規模でいけば国内売出よりも海外売出の方多く、外国人投資家による影響を受ける可能性があります。
著者のまとめ
同日にはスパイダープラスが上場してきますが、同社よりも規模感が小さいため、初値にはややネガテイブな模様です。台湾発のベンチャー企業が日本での上場を目指すといった新しい形での上場ということもあり、今後の動向には注目したいところです。
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