2021年4月15日に東証マザーズ市場へ上場する「サイバートラスト」について概要と期待度を見ていきたいと思います。
サイバートラストの上場日は!?期待度は?
同社はIoT機器へのトラストサービスを手がける会社です。
SSL/TLSサーバ証明書やデバイス証明書の認証サービスを手掛けており、今回は新しい業界の上場会社となります。
今回は同社の概要を通して事業の成長性等分析していきたいと思います。
企業名 | サイバートラスト |
上場市場 | 東証マザーズ |
銘柄コード | 4498 |
事業内容 | トラストサービス事業 |
所在地 | 東京都港区 |
設立 | 2000年 |
従業員 | 256名 |
会社HP | https://www.cybertrust.co.jp/ |
監査法人 | トーマツ |
上場日 | 2021年4月15日(木) |
主幹事 | みずほ証券 |
BB期間 | 2021年3月31日(水)~ 2021年4月5日(月) |
価格決定日 | 2021年4月6日(火) |
購入申込期間 | 2021年4月7日(水)~ 2021年4月12日(月 ) |
どんなことをしている会社なの?
(参照:https://www.cybertrust.co.jp/)
同社は2000年に設立し、当初は「ミラクル・リナックス株式会社」として企業向けOS「Linux」の開発会社として、日本オラクルやNECの出資を受けて設立しました。
その後、2014年にソフトバンクグループの子会社である「ソフトバンク・テクノロジー株式会社」の連結子会社となり、SSL認証ビジネスを行っていた、旧サイバートラスト社と合併によって現社が誕生しています。
同社はトラストサービス事業単一セグメントで運営されていますが、サービスが3つに分かれています。
まず1つは「認証・セキュリティ」で、主にWebサイトの安全性を証明する「SSL/TLS証明書」である「SureServer」を提供しています。近年ECサイトを始めインターネットビジネスが拡大する中、不正利用などの問題が山積している一方、証明書付きのWebサイトであることを証明することで、利用者に安心して利用できるものとして注目を集めています。
国内で認証局を有している会社でかつ国際的な認証レベルの最上級を有していることから、同社の認証を受けているWebサイトは原則安全であることを証明できるということで、利用する顧客が増えています。
その他、コロナ禍によって加速しているテレワークに合わせ、モバイル端末におけるデバイス認証サービスを手掛けており、社外にいても社内システムにアクセスできるよう、利用者の部署や立ち位置に合わせた運用を可能としています。
2つ目の「OSSサービス」は、創業来の事業であるサーバOSの提供を行っているもので、製造業を始め基幹サーバ向けのLinuxサーバの開発運営管理を行っています。
3つ目は「IoTサービス」で、近年注目が集まっているIoT機器向けの組込みLinuxの提供を行っています。様々な機器がネット上につながる中、不正アクセスのリスクも高まってしまうため、同社の強みであるセキュリティ面をカバーしたOSの提供で伸ばしている事業です。
上場後は事業拡大を目指しつつも、合併したことによってすり合わせが出来ていない社内体制を盤石に構築することで、より発展を進めていく方針です。
2016年3月期 | 2017年3月期 | 2018年3月期 | 2019年3月期 | 2020年3月期 | |
売上高(百万円) | 890 | 1,137 | 2,630 | 4,169 | 4,421 |
経常利益(百万円) | 154 | 198 | 369 | 440 | 536 |
当期純利益(百万円) | 103 | 144 | 269 | 208 | 351 |
純資産額 (百万円) | 566 | 709 | 2,614 | 3,094 | 3,445 |
BPS(円) | 70706 | 88,679 | 148,005 | 845 | 941 |
EPS(円) | 12872 | 17973 | 20,992 | 57 | 96 |
自己資本比率(%) | 56.5 | 55.4 | 68.2 | 70.3 | 70.2 |
ROE(%) | 20 | 22.6 | 10.3 | 7.3 | 10.7 |
配当性向(%) | – | – | – | – | – |
業績は堅調に推移しています。2019年3月期から合併したこともあり単純比較はできませんが、概ね事業は順調に推移しています。
なお、2021年3月期第3四半期(2020年12月)の売上高は3,358百万円で、経常利益は326百万円と、前期よりも業績は上回る公算が高くなっています。
配当はこれまでも無配で、上場後も事業投資を優先するため当面無配が予想されています。
公募株数 | 総数550,000株 (内、公募250,000株、売出300,000株) |
OA分 | 82,500株 |
発行済み株数 | 3,910,600株 |
想定価格 | 1,660円(100株単位:17万円) |
仮条件 | 1,600円 ~ 1,660円 |
初値予想 | 2,800円 ~ 5,500円 |
想定PER | 約19倍 |
想定PBR | 約2倍 |
配当利回り | なし |
想定時価総額 | 65億円 |
今回の上場にあたっての吸収金額は10億円で、時価総額が65億円と東証マザーズ上場銘柄としては中型案件です。事業としては注目を集めやすい領域のため初値高騰に期待が持てるでしょう。
株主名 | 保有割合 | ロックアップ |
SBテクノロジー(株) | 64.83% | 180日間 |
(有)SPCトラスト | 9.85% | |
日本電気(株) | 5.52% | 180日間 |
(株)オービックビジネスコンサルタント | 5.52% | 180日間 |
(株)ラック | 5.52% | 180日間 |
(株)エヌ・ティ・ティ・データ | 1.58% | 180日間 |
(株)日立製作所 | 1.58% | 180日間 |
(株)サンブリッジコーポレーション | 1.58% | 180日間 |
セコム(株) | 1.58% | 180日間 |
大日本印刷(株) | 1.58% | 180日間or1.5倍 |
同社の株主構成ですが、筆頭株主は親会社であるソフトバンク・テクノロジー株式会社で、同社株の65%を有しています。その他、NECやオービックビジネスコンサルタントを始め、日立やNTTデータなど大手企業が多く名を連ねています。2018年にセコムと大日本印刷に出資を受けているなど、注目度の高さが伺えます。
その他、注目する点としては株主2位の有限会社SPCトラスト。この会社は同社の経営陣に対して株式の割り当てを行う信託の機能を有しており、基準日に指定された方に株式が割り振られることとなっています。経営陣への事業度合いに応じた株式配分が行われています。
今回の売出はソフトバンクテクノロジー社のみで1,300,000株の売出です。尚、上場後もソフトバンクテクノロジー社の連結子会社であり、株主順位に大きな変動はありません。
今回は公募で3.8億円の資金調達を行い、調達資金は設備投資資金に充てる予定です。
尚、大株主には180日のロックアップがかかっております。取引先が多いものの、エグジットリスクが非常に少ない案件と言えます。
今回は売出が公募を上回るエグジット案件ですが、ソフトバンクテクノロジーによる保有分調整と資金調達を兼ね備えているため、パブリックな会社として成長を目指すメッセージが感じられます。
どうやって&どこで新規上場銘柄を買えるの?
今回の「サイバートラスト」の取り扱い証券会社を以下にまとめましたので参考にしてください。
割当率 | 株数 | ||
主幹事 | みずほ証券 | 87.83% | 555,500株 |
幹事 | 大和証券 | 5.22% | 33,000株 |
SBI証券 | 5.22% | 33,000株 | |
いちよし証券 | 0.87% | 5,500株 | |
楽天証券 | 0.87% | 5,500株 |
今回の主幹事はみずほ証券が主幹事を務めます。その他大和証券を含めた4社が幹事を務めます。
著者のまとめ
サーバ認証サービスなど、不正アクセスで大きな問題が発生している会社が多い中注目を集めているビジネスで、株式市場も高い評価を与える可能性が高いです。事業性も引き続き拡大する公算で楽しみな会社のIPOと言えます。