2021年6月25日に東証マザーズ市場へ上場する「日本電解」について概要と期待度を見ていきたいと思います。
日本電解の上場日は!?期待度は?
同社は電解銅箔の製造販売を行う会社です。
電子機器に使われる回路基盤やリチウムイオン電池に欠かすことのできない部材であり、EV向け関連銘柄として注目の中上場してまいります。
今回は同社の概要を通して事業の成長性等分析していきたいと思います。
企業名 | 日本電解 |
上場市場 | 東証マザーズ市場 |
銘柄コード | 5759 |
事業内容 | 電解銅箔の製造販売 |
所在地 | 茨城県筑西市 |
設立 | 2016年 |
従業員 | 276名 |
会社HP | https://www.nippon-denkai.co.jp/ |
監査法人 | 太陽 |
上場日 | 2021年6月25日(金) |
主幹事 | SMBC日興証券 |
BB期間 | 2021年6月10日(木)~ 2021年6月16日(水) |
価格決定日 | 2021年6月17日(木) |
購入申込期間 | 2021年6月18日(金)~ 2021年6月23日(水) |
どんなことをしている会社なの?
(参照:https://www.nippon-denkai.co.jp/)
同社は2016年に設立された会社です。元々は、1958年に京都の高速電気鋳造株式会社(現・徳岡工業株式会社)の電解銅箔部門が分社し、合わせて日立製作所と住友ベークライトの共同出資して誕生した「旧日本電解」が源流です。
その後、三井物産や三井住友銀行、日本政策投資銀行によって運営されている「MSD
企業投資」のファンドによって吸収後、現在の法人格となっています。
同社は主に「銅箔」の製造販売を行なっています。銅箔は電子部品の回路基盤やリチウムイオンの負極材に使用されるもので、EVや5G向けに使われる部材の一つとして陰ながら貢献しています。
同社の電解銅箔は、他社のものに比べて強度が強いなど独自性の高いハイエンドな製品であるため、大手リチウムイオン電池メーカーや携帯メーカーからの引き合いが強い点が特徴です。
また、2020年3月に米国唯一の電解銅箔メーカーである「Oak-Mitsui(三井金属の子会社)」を買収しており、電解銅箔における市場シェア拡大を図っています。
今後もさらなる銅箔への需要が見込まれるため、高付加価値製品に向けた研究開発と、製品提供に向けて進む中でのIPOとなり、信用度向上によって優秀な技術者の確保につながると想定しており、電解銅箔メーカーとして唯一無二の存在として成長を見込んでいます。
2017年3月期 | 2018年3月期 | 2019年3月期 | 2020年3月期 | |
売上高(百万円) | – | – | 10,866 | 12,480 |
経常利益(百万円) | △163 | △2 | 418 | 843 |
当期純利益(百万円) | △163 | △3 | 23 | 1,988 |
純資産額 (百万円) | 2,237 | 2,233 | 2,462 | 4,434 |
BPS(円) | 931,990 | 930,600 | 342 | 616 |
EPS(円) | △75,563 | △1,390 | 3 | 276 |
自己資本比率(%) | 48 | 50 | 24 | 32.3 |
ROE(%) | – | – | 0.9 | 57.7 |
配当性向(%) | – | – | – | – |
業績は概ね順調に推移しています。2017年3月期以降に吸収合併等行なっているため、一概には比較できませんが、売上・利益共に成長しています。尚、2020年3月期の当期純利益の大幅増益は、米国企業の買収による負ののれん計上によるものです。
尚、2021年3月期3Q(2020年12月)の売上高は10,489百万円、経常利益は486百万円となっており、概ね前期の数字を伺う状況です。
配当はこれまで無配で、上場後も内部留保を確保を優先するため無配方針です。
公募株数 | 総数6,335,700株 (内、公募50,000株、売出6,285,700株) |
OA分 | 842,300株 |
発行済み株数 | 7,250,000株 |
想定価格 | 1,900円(100株単位:19万円) |
仮条件 | 1,800円 ~2,480円 |
初値予想 | 1,800円 ~2,000円 |
想定PER | 約9倍 |
想定PBR | 約4倍 |
配当利回り | なし |
想定時価総額 | 179億円 |
今回の上場にあたっての吸収金額は178億円で、時価総額が179億円と東証マザーズ上場銘柄としては大型案件です。事業柄人気を集めそうですが、吸収金額が大きく、初値には期待できないでしょう。
株主名 | 保有割合 | ロックアップ |
MSD第一号投資事業有限責任組合 | 89.00% | 180日間or1.5倍 |
日鉄ケミカル&マテリアル(株) | 10.00% | |
徳岡工業(株) | 1.00% | 180日間 |
同社の株主構成ですが、投資ファンドであるMSD投資系ファンドが筆頭株主で、同社株の89%を有しています。その他は、日本製鉄子会社と創業家企業である徳岡工業の計3社が大株主です。
今回の売出は、MSD系ファンドと日本製鉄子会社の2社で、計6,285,700株の売出を行います。日本製鉄子会社は全株売出となります。
今回は公募で1億円の資金調達を行い、調達資金は全額米国子会社への投融資に充てる予定です。
尚、大株主には180日のロックアップもしくは180日及び公募価格1.5倍のロックアップがかかっていますが、基本的には上位2社のエグジットは売出によって対応しているため、大きなエグジットリスクは発生しないでしょう。
今回は売出が公募を上回るエグジット案件で、上位2社によるエグジットイベントとなるため、高い初値が着く可能性は極めて低いでしょう。
どうやって&どこで新規上場銘柄を買えるの?
今回の「日本電解」の取り扱い証券会社を以下にまとめましたので参考にしてください。
割当率 | 株数 | ||
主幹事 | SMBC日興証券 | 91.94% | 3,057,800株 |
幹事 | 野村證券 | 2.01% | 67,000株 |
SBI証券 | 1.21% | 40,200株 | |
マネックス証券 | 1.21% | 40,200株 | |
楽天証券 | 1.21% | 40,200株 | |
岩井コスモ証券 | 1.21% | 40,200株 | |
水戸証券 | 1.21% | 40,200株 |
今回の主幹事はSMBC日興証券が主幹事を務めます。その他野村證券を含めた6社が幹事を務めます。
著者のまとめ
同日にステムセル研究所が上場してきますが、エグジットイベント色が強い同社については初値高騰は難しいでしょう。また、公募価格が下限寄りと投資家からの評価が低いため、公募割れリスクも覚悟が必要です。事業としては成長性の高い事業のため、上場後は安定した推移をすることが予想されます。