2021年7月30日に東証2部市場へ上場する「AIメカテック」について概要と期待度を見ていきたいと思います。
AIメカテックの上場日は!?期待度は?
同社はディスプレイや半導体パッケージの製造装置メーカーです。
世の中においてなくてはならない存在である半導体の製造装置メーカーということで、期待感がある一方、東証2部への上場と事業的には成熟している印象を持つIPOと言えます。
今回は同社の概要を通して事業の成長性等分析していきたいと思います。
企業名 | AIメカテック |
上場市場 | 東証2部市場 |
銘柄コード | 6227 |
事業内容 | 半導体パッケージ製造装置、有機ELパネル製造装置および液晶パネル製造装置などの開発・製造・販売およびアフターサービス |
所在地 | 茨城県龍ケ崎市 |
設立 | 2016年 |
従業員 | 238名 |
会社HP | https://www.ai-mech.com/ |
監査法人 | A&Aパートナーズ |
上場日 | 2021年7月30日(金) |
主幹事 | みずほ証券 |
BB期間 | 2021年7月12日(月)~ 2021年7月16日(金) |
価格決定日 | 2021年7月19日(月) |
購入申込期間 | 2021年7月20日(火)~ 2021年7月27日(火) |
どんなことをしている会社なの?
(参照:https://www.ai-mech.com/wp_product/)
同社の設立は2016年となりますが、元々は1990年に茨城県龍ケ崎市で創業した日立テクノエンジニアリング株式会社竜ヶ崎工場が母体となっています。
日立テクノエンジニアリングはその後親会社である日立製作所に吸収合併されるものの、ノンコア事業として事業再編対象となったことから、投資ファンドであるポラリス・キャピタル・グループの傘下入りとなり、日立グループからの独立を果たしました。
同社は主に3つのセグメントで運営されています。1つ目は「IJPソリューション事業」です。IJP(インクジェット・プリンティング)技術は同社のコア技術であり、有機ELディスプレイや量子ドットディスプレイ(QD)の製造に使われています。同社はこれらの製造装置を開発しています。
2つ目は「半導体関連事業」で、特に半導体製造の後工程に使われる「はんだボールマウンタ装置」の製造を行なっています。
3つ目は「LCD事業」で、液晶ディスプレイ(LCD)の製造装置の開発製造を行なっています。
いずれもBtoB向けのビジネスであり、目立つ事業ではないものの、国内外のお客様向けに製造装置の販売を行なっています。上場によって信用度と知名度向上につなげたい模様です。
2017年6月期 | 2018年6月期 | 2019年6月期 | 2020年6月期 | |
売上高(百万円) | 11,816 | 19,449 | 20,261 | 14,521 |
経常利益(百万円) | 703 | 1,075 | 1,257 | 397 |
当期純利益(百万円) | 430 | 764 | 792 | 291 |
純資産額 (百万円) | 4,805 | 6,438 | 6,465 | 6,728 |
BPS(円) | 4,805,335 | 57,153 | 1,148 | 1,195 |
EPS(円) | 430,341 | 7,093 | 141 | 52 |
自己資本比率(%) | 33 | 34 | 32 | 34 |
ROE(%) | 9.4 | 13.2 | 12 | 4.4 |
配当性向(%) | – | – | 114.9 | – |
業績は一進一退の状況です。現法人格は2017年6月期からのスタートとなるため、トラックレコードが少ない状況です。また、2019年6月期より連結決算としているため単純比較はできませんが、売上高は増収基調から2020年6月期で減収に転落しています。利益についても大幅減益となっており、当時発生していた米中貿易摩擦とコロナ禍の影響を大きく受けた格好です。
尚、2021年6月期3Q(2021年3月)の売上高は11,240百万円、経常利益は135百万円となっており、大きな業績改善とは至っていません。
配当は2019年6月期は出していたものの、足元は無配でした。しかし、上場後は内部留保の確保しつつも配当を出していく方針です。尚、現時点で予定配当性向は不明です。
公募株数 | 総数3,427,000株 (内、公募0株、売出3,427,000株) |
OA分 | 514,000株 |
発行済み株数 | 5,630,000株 |
想定価格 | 1,920円(100株単位:19万円) |
仮条件 | 1,900円 ~1,920円 |
初値予想 | 1,700円 ~2,200円 |
想定PER | 約37倍 |
想定PBR | 約2倍 |
配当利回り | なし |
想定時価総額 | 108億円 |
今回の上場にあたっての吸収金額は76億円で、時価総額が108億円と東証2部上場銘柄としては中型案件です。事業としての目新しさがなく、足元の業績も優れないなど評価ポイントは低い状況です。
株主名 | 保有割合 | ロックアップ |
ポラリス第三号投資事業有限責任組合 | 73.03% | 90日間or1.5倍 |
Tiara CG Private Equity Fund 2013,L.P. | 24.09% | 90日間or1.5倍 |
阿部 猪佐雄 | 1.08% | |
石田 茂 | 0.54% | |
村上 克宏 | 0.54% | |
小菅 忠男 | 0.24% | |
土屋 敬三 | 0.24% | |
野澤 貞雄 | 0.12% | |
松浦 康晴 | 0.12% |
同社の株主構成ですが、投資ファンドであるポラリスキャピタル系ファンドが筆頭株主で、同社株の73%を有しています。同ファンドの海外ファンドも24%保有するため、97%程度がファンド保有となっています。その他は役員・従業員が株主となっています。
今回の売出は2ファンドで、計3,427,000株の売出です。両ファンドとも保有分の約6割以上を売出すため、売出後も筆頭株主であるものの、保有株数は過半数以下となります。
尚、今回は公募を行いません。
大株主のうちポラリス系ファンドには90日もしくは公募価格1.5倍のロックアップ制限がかかっています。半数以上をエグジットしているものの、3ヶ月後には更なるエグジットの可能性があります。
今回は売出のみエグジット案件で、ファンドのエグジットイベントです。業績面にも期待が持ちにくく公募割れリスクが極めて高いです。
どうやって&どこで新規上場銘柄を買えるの?
今回の「AIメカテック」の取り扱い証券会社を以下にまとめましたので参考にしてください。
割当率 | 株数 | ||
主幹事 | みずほ証券 | 91.32% | 3,598,800株 |
幹事 | 野村證券 | 2.17% | 85,600株 |
大和証券 | 2.17% | 85,600株 | |
SBI証券 | 1.30% | 51,400株 | |
楽天証券 | 1.30% | 51,400株 | |
SMBC日興証券 | 0.87% | 34,200株 | |
岡三証券 | 0.26% | 10,200株 | |
岩井コスモ証券 | 0.26% | 10,200株 | |
極東証券 | 0.17% | 6,800株 | |
水戸証券 | 0.17% | 6,800株 |
今回の主幹事はみずほ証券が主幹事を務めます。その他を野村證券含めた9社が幹事を務めます。
著者のまとめ
半導体製造装置関連で期待感は持てる一方で、上場規模や売出のみといったファンドエグジット要素の強い案件となるため公募割れの可能性が極めて高いです。とは言え上場後の価格の落ち着きが見えた後には期待したいところです。